いないはずの姉と妹2
行数は少し長いです。
書き出しで拙いですがお読み頂き有難うございます。
「だーれ?」
ミウナーが聞いてくる。
かわいい!
「だ」伸ばしてる。
私はゆっくり話すのを心がけて答える。
しゃがんで話した方がいいかな?
「私はミウナーのお姉ちゃんだよ。」
あぁああ
ミウって呼べなかったぁぁ。しかも呼び捨てぇぇ。
だって急にミウって呼んだら変じゃない?
え?急に愛称で呼んでいいの?
急に愛称で呼ぶなんて陽キャしかできないと思う。
「おねえちゃん?おねえちゃん!」
初めてできた否、初めて会った姉妹に興奮していみたいで、先ほどの私の心の中をそのまま子供らしく体現したようにぴょんぴょんと跳ねている。
うん。私も内心ではこんな感じに嬉しかったが精神年齢的にきついんだ。
精神年齢が子供ってだけで若々しく見えるなんて。
マリーがこちらを見ている。
私の反応が異常なんだろ?分かっている。
私のこと内心どう思っているか知らないが老けていると思っているんだろう?
はー。若いってすごい。
そういえばミウナーって今何歳なんだろ?
言葉が拙いけど喋れるってことは、一歳ぐらいか?
「ミウナーって今何歳なの?」
「?」
首を横に傾けたことにより私の髪とは違うサラサラな髪が揺れる。
あぁあ。その小首を傾げる仕草がキュートだよぉ。
でも頭が重いのか安定感がない。少し心配だ。
「ミウナー様は二歳だと伺っております。」
ミウナーが答えられないようなのでマリーが答えれくれる。
そうか二歳か。
二歳ってどんな歳かわからないな。
離乳食とか、寝る時間とか。
後で書斎で調べておこう。
私はミウナーになんて話そうかと考える。
今まで何してた?好きなことは?一緒に遊ぼう?ミウって呼んでもいい?
この中だと「好きなことは?」が一番無難だろうか。
ミウナーかわいいね。ミウって呼んでもいい?好きなことは何?
こんな感じだろうか?
何故だろう。文字だけで見ると犯罪臭がする…
私がなんか言おうと考えておるとマリーがミウナーに声をかける。
「ミウナー様、一緒に話ししませんか?マイナーお嬢様も一緒にどうですか」
「えっと、会話する。」
「うん!する」
妹は社交的だな。姉とは正反対だ。
マリーには感謝しないと。
マリーがいなかったら私はミウナーと碌に話せなかった。
それから私達は他愛のない話をした。黒髪が綺麗だとか、何が好きだとか…
はー。楽しい。二歳でもかなり喋れるんだな。会話が一応成立している。
そして私はやっと言えたのだ。
ミウ、と。
「ミウナー貴女のことはミウって呼んでも良い?」
「いい!」
いやという反応ではないしニュアンス的にもOKで間違いないだろう。
き、聞けたよ。
うう。先程ずっと考えていた愛称が使える。
私は自分の成長への感動と愛称が呼べる嬉しさで胸がいっぱいだ。
会ったばかりだが、ミウは私の癒しにして最高の天使だ。
私は試しに読んで見ることにした。
「み、ミウ。」
「なーに、ねえさま?」
かわいい!
やばい、ニヤケそう。
父と会った瞬間、妹がいると知った瞬間、私は常に平静を表面上は保っていた。
今日の中で表情を動かした瞬間は乙女ゲームのことを思い出した時だけだと思う。
あくまで表面上をと取り繕っているだけで内心はかなり動揺しまくっていたけれど。
「ミウは本好き?」
「本?好き!」
「そっか。それじゃあ今度書斎から持ってくるね。」
「お嬢様が読んでいる本はミウナー様には難しいので」
「分かっているわ。」
書斎ですることが増え、うきうきと何持ってこようか考えているとマリーに釘を刺された。
別にそこらへんは大丈夫だ。心配しないで貰いたい。
部屋のドアをノックされ開かれ、マリーと同年代ほどの若い侍女が入ってくる。
「マリー、ご飯…し、失礼しました。お嬢様がいると思わずに。」
あー知らなかったのか。この部屋元々使われてなかったから仕方ない気もする。
「…知らなかったのなら仕方ないわ。」
私はボソボソと大丈夫だと伝えたのだが
「す、す、すみませんでした。」
逃げるように出て行ってしまった。
なんで?
「あ、メアリー。お嬢様、私も失礼させて貰えますか?」
「え、ええ。」
マリーも出て行ってしまった。
あ、マリーが出て行ったと言うことはミウと二人きりだ。
どうしよう。マリーは私のコミ障をカバーしてくれていた。マリーは居なくなってしまったら私は会話自体ができないかもしれない。
「本読む!」
「そっか。本読みたいの?それじゃあ書斎行こっか。」
私達が部屋から出るとマリーとメアリーと呼ばれた侍女が話しをしていた。
「お嬢様どうかなさいましたか?」
お取り込み中だったマリーは話を切り上げ話しかけてきた。
「書斎にミウも連れて行くから一応報告。」
「そうですか。私も付いて行きます。」
マリーはメアリーにお辞儀をして別れを告げ、私達と一緒に歩き始める。
書斎に繋がる廊下を歩いていると使用人達がヒソヒソ話している。
こう言う話って案外本人に聞こえるんだよね。
「お嬢様達恐ろしいわね。」「ええ。あんな髪色私だったら部屋にこもりっぱなしだわ」
「いつも通り書斎と自室から出てこないでほしいわ。」
私だけだった時は只怖がるだけだった使用人は妹が増えたせいか、より恐怖心が強まったのだろう。