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悪役令嬢と男の子

私は勇気を振り絞り孤児院の子に話しかけてみることにした。

「ねぇ…」

「このお姉ちゃんも髪黒い、怖い!」

ダメだった。陽キャで明るい性格だったら、子供と話せたのかな。

せめて、ミウナーだけでも同年代と話させてあげたい。

ここに来てかはミウナーは表情が硬くなっている。

どうすればミウナーは子供達と仲を深められるのだろうか。

うーん。物語の中だと何かトラブルとかあって、それを乗り越えて更に絆は深まるという展開をよく見る。

トラブル、トラブル…


あ、良いこと思いついた!


「…お姉ちゃんは、怖い人?」

考え事をしているとピュアな子供が服をクイクイ引っ張って話しかけてきた。私の髪の色を見て本当に悪い人か気になって確認したいのだろう。

良い子だな、偏見を持っていないこのピュアさ素直な子、可愛いな。

ミウナーの次くらいに。

でもごめん!私は最愛(ミウナー)のためにしないといけないことがあるんだ。


私は話しかけてきた子供の肩を押す。

すると子供は尻餅をついて涙目になる。

怪我は無いみたいだ。

はあー。緊張した。

子供を押すときに光属性の魔法をかけた。それはもう精密な。

まず、身体強化で痣などできないように、次に痛覚無感。身体強化だけでは瞬間の痛みは消えないが痛覚無感を使用することで痛いと感じさせない。因みに痛覚無感を通常時から使っていると偶に切り傷や痣が知らないう内にできていたりする。

そしてこれらを子供がお尻を着いた時に素早く解除。

そして念のためにヒール、回復魔法をかける。これを約3秒でこなす。


「平民が私に触らないで」

私は冷たい声で言うと周りが騒めく。

あいつ貴族なのか?、やっぱり悪い子だったね

と、聞こえてくる。

「ね、姉様!?」

ミウナーも動揺しているようだ。

「姉様なんて呼ばないで?貴女は私の隣で私の髪色を白っぽく見せれば良いの…」

「っ!?ね、姉様、私のこと好きだと言ってくれれたのは嘘?」

ミウナーは目を見開き驚いた後悲しそうに顔を歪めている。

以外だ。ミウナーがこんな顔するなんて。

小さい頃より表情が豊かになったが表情を見せる頻度は少なくなったのだ。

本人曰く私の真似だと。

私は他人に表情を見られるのが苦手で、前世での話だが表情がぎこちないと言われた事があり表情を見せるのが苦手になってしまったが、ミウナーは表情が豊かの方が可愛いし見せて欲しいのだ。


「私は貴女のことを好きだと言った記憶は無いは。それどころか、貴女のことが嫌いだったのよ?黒髪なのも嫌いだった要因の一つよ?まあ、利用させてもらっているけど」

「嘘…」

そう、嘘だ。

私はミウナーのこと好きだし、黒髪は羨ましいので嘘になる。が、好きと言った記憶がないのは本当だったりする。因みに黒髪が羨ましいのは微妙に白い黒髪だとお年寄りみたいだから余計に羨ましい。

ミウナーの顔を見るのが心苦しくなってきた。

これもミウナーのため、だろうか?

悪役令嬢になれば結束力とか共に悪役から酷いことをされたとかで仲間意識が芽生えてく欲しいのだが。

ここまではやりすぎだろうか。

その時ある子が言う、妹の方可哀想、と。

よっし!これで仲間意識が芽生えるはず。

そんなことを考えていると背後から気配を感じた。

私は振り返るとそこにはマリーが立っていた。

「お嬢様何をしているのですか?」

「…マリー向こうに行きましょう」

そう言い私はマリーの腕を取り引っ張りながら部屋の奥に行く。


「それでお嬢様はミウナー様に嫌われるようなことを言って大丈夫だったのですか」

「大丈夫なわけないわ。ミウは大切な妹だもの。」

「その大切なミウナー様を何故」

そう聞かれて私は白状した。


「なんでそうなったんで…」

「そのためにニキを突き飛ばしたのか!!?」

マリーの声に被せるように怒鳴り声が響き音のする方を向くと声の主だろう男の子がいた。

ニキというのは私が突き飛ばしてしまった女の子の名前らしい。

「それは…ごめんなさい。」

私は素直に謝る。

悪いのは私。たとえ痛みが無かろうと怖い思いさせたことには変わりない。

「それを本人に言え!」

「いつかは言うつもり。けれど今は無理。妹が馴染めたら必ず言うわ」

男の子は目をつぶり考えているようで、そうして数秒が経ち躊躇いながら言う。

「…………そうか。話を聞く限りではお前は妹に友達を作らせてあげたいだけみたいだし、今言ったらお前のお膳立てが台無しだもんな」

「解ってくれて嬉しいわ。あの子、ニキ?さんには謝っても謝りきれないほど申し訳ないと思っているの。アフターケアをしてくれると嬉しいわ。一応痛くないようにしたけど人に触れられるのが怖くなっていたりしたらその子の人生が滅茶苦茶になってしまうもの」

「多分大丈夫だ。ニキはさっきは普通だった。」

「それは良かったわ。」

私は心底安心するがまだ症状に出ていないだけかもしれないしと考え直した。

「そういえば、貴方の名前はなんて言うの?」

「俺はシド、13歳。お前の名前は?聞いてもいいか」

私は一瞬偽名にするか迷ったがチラリと見たマリーの反応を見ると使わなくても大丈夫だろう。

「私はマイナー、妹はミウナーよ。」

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