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プロローグ

私には前世の記憶がある。


こう言うとどうしても冗談に聞こえるが本当だ。


私の前世はラノベばかり読むいわゆるオタクでよく読んでいたのは物語の中のヒロインだったり悪役だったりに転生するものだった。

特に悪役になってしまい運命を変えようと奮闘する彼女たちはかっこいいと思いよく読んでいた。


まだ学生だったと思うが転生もの定番の事故で亡くなった。

…こう考えると私の人生薄いな

因みに私の思う異世界転生の定番では一位はダントツで事故死。それ以外も不幸な亡くなり方からの転生は多いだろう。


だが、まさか私が転生するなんて思わなかった。

私は今5歳。生まれた頃から前世の記憶があったため喋れるのも、歩けるのもかなり早かった。と思う。

大人とまではいかないが成人そこらの精神年齢。

寝ている時間が暇だと感じた。

趣味は昼寝という人がいるがよく眠れるなと思う。

子供は寝るのが仕事だと言うが暇すぎてそれをサボって書斎によく通いつめていた。

本で見る地図を見るとなんか聞いたことのある地名があるな、なんて思っていたが気のせいだと思っていた。

だが、今日確信した。



「マイナーお嬢様、ご主人様が参りました。」

マイナー。まだ少し馴染めないが私の新しい名前。

「ええ。わかったわ。」

私の転生先はそれなりに格式のあるお家である。

そのためなのか、あっ、ひょっとして別の理由かもしれないが両親には会ったことが無い。


玄関ホールに行くとお父様らしき人が立っていた。

なぜか子供を抱えて。

ん?お父様、らしき人の後ろに側仕えさんがいるのになんでお父様が眠っている子供抱いているの?

普通側仕えさんが抱えるものじゃ無いの?

私がそんな疑問で頭がいっぱいになっているとお父様らしき人が話しかけてきた。


「お前がマイナーか。」

「お初、にお目にかかります。お父様。」


初めて会う父は怒ったような顔をしていて第一イメージは怖い人だった。

顔立ちは非常に整っていてかっこいいとは思うのだが、顔立ちが厳つめなのだ。


「ふん。お前のことは聞いている。たしかに利発そうだな。本家に来るか?」


ふー。やはりお父様らしき人はお父様だった。

無駄に緊張した。

しかし質問がどういう意味かはわからない。

本家ということは私の家は分化筋だったのか、いや、この人は父親だ。

言葉的にはこの人が本家の人間で私を迎え入れるか聞いているようだ。

でも、私この人の娘よね?

…困ったらとりあえず断るのが正解だろう。

少なくともなんでもyesと答えるイエスマンよりもましなはずだ。

いやでも、分からないものは素直に分からないと言った方が良かったりする場合もある。


私が悩んでいると父親のイラっとしたオーラが増していく気がする。

これで分からないので意味を教えてください、なんて言ったら更に怒らせてしまいそうで怖い。

転生してもコミュ障は相変わらずらしい自分に少し残念な気持ちになる。


「本家というののはどういうことでしょう?」

声を振り絞ってそう聞くと予想通りだった

「そんなこともわからないのか。」

ただ少し違ったのは呆れたような声だったこと。

「簡単に言うと私と暮らすかここに残るかだ。」

おー、お父様の説明分かりやすい。

ついでにさっきから気になっていた質問も聞いておこう。聞くなら今がチャンスだ。

多分。


「あの、話題を逸らすようで申し訳ないのですが何故お父様が子供を抱っこされているのですか?」

「こいつは髪が黒いからな。使用人が怖がって抱いてくれないんだ。」

黒い髪は畏怖の対象だと書斎で読んだことがあるが本当だったか。

前世日本人には信じられないことだ。

私の髪は灰色で黒に近いが少し白っぽい。例えるなら鉛筆の芯を光に透かしたような色だろうか。


私も髪は黒っぽいのだがお世話をしてくれるマリーは普通だ。

他の使用人とは話したことが無いが気のせいだろう。

決して私は黒髪だからと遠巻きにはされてない、といいなぁ。

「そうなのですね。因みにどちらのお子さんですか?」

「お前の妹のミウナーだ。」

い、妹。…私お姉ちゃんだ!

前世では一人っ子だったので兄弟、姉妹に憧れていたのだが転生して遂に夢が叶った。

夢のお姉ちゃんデビューだ!

…なんか妹の名前、聞いたことあるような。

多分気のせいかな。


でも、お父様と一緒に来ているのが不自然だ。

小さい子供はお家にお留守番だろう。

「もしかしてなのですが妹はここで暮らしたりしますか?」

「そうだ。」


私の感が的中。

でもそうか。私がここを出て本家に行くことになったら妹と会えないのか。

妹はここに私は本家に行くとしたら入れ違いだ。

それに妹は黒髪で碌に世話もされないかもしれない

心配である。


「…先ほどの話なのですが私はここに残りたいです。」

「…そうか。こっちは別にどちらでもいい。

そう言えばお前の家名は知らされてないだろう。お前らの家名はローレヌだ。」

ローレヌか。

私の名前はマイナー・ローレヌか。

お前らと言うことは妹の名前も多分同じだからミウナー・ローレヌ

ミウナー・ローレヌ、ミウナー・ローレヌ…なんども妹の名前を反芻する。

聞いたことあるような知っているようなこの感覚は、何か思い出せないとき前世でよくあった感覚だ。

私はミウナー・ローレヌを知っている!

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