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百合の姫の想い。

作者: ノダ梨緒菜

「なぁ、お前はどう思う?」

僕は猫五郎に聞いてみた。黒色の毛並みに白い線が入った綺麗な縞模様は、眠そうな顔で何のこと?というように顔をこちらに向けていた。

「僕は、勇気を出せると思う?"普通"から、抜け出せると思う?」

なぁ~と、気だるい声を出した猫五郎は、僕を蹴って腕の中を飛び出した。腕の中に残った猫五郎の毛は、温もりを見失ってハラハラと散っていった。どうやらシンキングタイムは終了を迎えたようだ。僕はとりあえず、宿題をするために机へと向かった。


今はまだ少し肌寒い5月。日差しが差していてもまだ夏ではないというように、風が吹き荒れていた。

「おはよ、錦!」

元気な声で後ろから肩を叩いたのは晃だった。眩しい真夏の太陽のようなその笑顔から、このゴールデンウィークがさぞかし楽しかったのであろうことを伝えてくる。

「なぁ、聞いてくれよ今年のゴールデンウィーク!なんと、あの“百合の姫”に会ったんだよ!」

「え…?百合の姫?まじ?」

「マジマジ!家族旅行が同じ行き先って奇跡だよなぁ…!家族での姫さんも姫さんっていうか、いつものクールにオーラ放ってる感じ、してたな~!」

「え、家族旅行でも笑ってないの?」

「そんなの見れるくらいの距離にいなかったよ。それとも何?俺が姫さんに話しかけられると思ってたの?ムリムリ、高嶺の花過ぎて緊張通り越して死を感じるよ、ムリムリ。」

別にそこまで言ってないのに。でも確かに高嶺の花過ぎるってのは賛成する。

今年同じクラスになった長谷川さんは、誰にも笑顔を見せたことがないことで有名だ。しかしその優しい顔つきと漆黒の長い髪が魅力的で、窓からの日差しが彼女を輝かせる。髪を耳にかける仕草などしたらクラス中の男子も女子も、ほぅと声にならないため息を漏らす。勉強もできて、運動もできる、そんな高嶺の花についた名前は"百合の姫"。百合のように穏やかで優しいオーラを醸し出す…。入学してきたとき、違うクラスの僕でさえその存在を知っていた超有名人だ。初めて会ったときにその二つ名がぴったりであることを知った。

「そっか。まぁそこまでじゃないにしろ、僕たちが姫に関わることはないだろうな。」

「いやそれはないだろ。俺は隣の席になれることを全力で祈る!」

「話しかけられないのに?」

「隣の席になったら話すことはいっぱいあるだろぉー!なめんなよ俺そんなやわじゃねぇーよ!」

ははっと晃を笑って、僕は空を見上げた。雲はまばらにあるが、晴れだった。まぁ確かに、席が近かったらいいなぁ。


久しぶりに教室に入ると、僕の席がなかった。連休後は自分の席が分からなくなる。というか、連休直前に席替えするなんてどうかしている。普通連休後だろ。

自分の席だと思っていた場所には人が座っていた。静かに本を読んでいる姿は、凛としていて、話しかけると壊れてしまうようで、一瞬立ち止まってしまった。本当はどこの席なのか探そうと教室を見渡すが、特に何もなかった。僕は置き勉をするタイプじゃない。形から、勉強できるように見せるタイプだ。珍しい人種とはいえ、全部の机を覗いていく姿は滑稽すぎる。

「おい…俺どこの席か思いっきり忘れた。」

晃が言った。

「確かお前の席の4個横の3個前の席だったと思うんだが…」

「そこまで覚えてるのに分かんないの…?」

「お前と話すのに教卓という難関と雪菜という難関を通らないといけないと思っていたからな…。」

「誰が難関だって?」

そこには、僕たちの幼馴染、この席替えを強行した張本人、雪菜の姿があった。

「…わぉぅ。おはよう雪菜。ていうか何で連休前に席替えするかなぁ、みんな戸惑ってない?座ってるの姫さんだけじゃん。」

「晃くんの記憶力が悪いんだよ~。私はちゃんと、昨日座席表作るの忘れてたの思い出して、クラス全員分の席を思い出したんだからな!」

そういって差し出す手には、1枚の作りこまれた紙があった。

「これ、ちゃんと書かれてる?お前がみんなの記憶が抜けてるのをいいことに、自分の都合のいいように席変えたとかある?」

「心外だなぁ晃くん。私がそんな女の子に見えるのかい?私が暗記力クラス最強なのは知ってるでしょ?じゃあクラスの中で何か1つでも不満があったら、私が負けを認めてやるよ。」

ひらひらとなびく表を見て、改めて僕は固まった。

「雪菜…、本当にそれは正しいんだよな?」

「神に誓って。何かあった?」

「じゃあ、姫が僕の席に座ってる…。」

「マジか!いいなぁ!」

「いいなぁじゃねぇよ!僕話しかけられないよ!」

「えぇ~可愛い女の子だからビビってるんだぁ~!私には話しかけられるのに?」

「お前は幼馴染だろ!それに、なんか気品があるっていうか、壊しちゃいけないって感じがするというか…。」

「へっ、うぶなだけのくせに!…長谷川っち~!おはよー!」

話を切り上げ、まっすぐに姫の方に向かった雪菜に、姫はびっくりしながらも丁寧に対応して、そしてこちらにお辞儀をして自らの席へ戻っていった。

「俺は羨ましいぜ。あんなに気軽に話しかけられるコミュ力お化けが。」

「僕もだよ。…席違うよって言うだけなんだけどな。」


「何で、僕が…。」

「どんまい、仕方ないさ頑張れよ。この晃さまがちゃんと、お前の仕事が終わるまで待ってやるって。」

「部活なかったら帰ってただろ。」

さっきすれ違った雪菜から、問答無用の命令が告げられた。どうやら生徒会の先輩と一緒に新しいイベントの練習をしていて、チョークの粉を教室にぶっ放したらしい。雪菜のいつもの突飛な計画が実行されたのだろう。生徒会長にたっぷり怒られた雪菜だったが、会長の怒りむなしく、片付けを僕に押し付けてきた。

「あのコミュ力お化け…。反論する頃にはもう目の前にいなかった…。」

そのままにしたら生徒会長がまた怒り狂うだろう。晃と別れた僕は、幼馴染の尻をふくために、教室のドアを開けた。


「あっ、私だけじゃなかったんだ。良かったぁ~。」

声の主をみると、そこにはほっとした顔で箒を持った姫がいた。

「私も雪菜ちゃんに頼まれちゃって。自分でやれよ!って言ったんだけど、『先生とお・は・な・し☆』って…。そう言われたら断れないよね。お話じゃなくて絶対説教でしょ…。もう、いっつも色々やらかすんだから。」

雪菜そっくりの声真似をする姫は、表情をクルクルと変えて話していた。いや、姫…なのか?

「えっ、あの、あれ?…もしかして…は、せ、がわ…さん?」

「…クラスメイトの顔忘れるの?錦くんってそんな人だったんだね、知らなかったわ~。」

「いや、そうじゃなくて!なんか、いつもと様子が違うから…。」

「あぁ、あれか。百合の姫…だっけ?そのイメージで接してたわけね。もうやになっちゃうよね、私は何も言ってないのに~。私があんまり教室で発言しないタイプだからって、私がおとなしめの子だって決めつけて~。おかげで話しかけてくれる人いないんだよね~。静かに読書してるしかないっていうか。私と普段から仲良くしてくれるの、雪菜ちゃんだけなんだよ!…あっ、そういえば今日は朝、席間違えちゃってごめんね!私置き勉してるのに、机見ればよかったよね!お詫びにここの掃除は全部私がやるよ!」

「えっ、いやいいよ。思ってた以上にチョークの量すごいし…。何やったんだろあいつ…。」

こんなに饒舌なタイプだったのか…。それからも姫、いや長谷川さんの饒舌っぷりは続き、上靴の半分くらいまであった大量のチョークの粉が片付けられた。

「ふぅ~本当に何やったんだろうね~雪菜ちゃん。」

僕ほとんど話してないんだけどな、この人もコミュ力お化けだったのか…。

「ていうか、錦くん全然話さないじゃん。人と話すの苦手?」

「いや、まぁ、普通かな…。」

そう答えると、急に長谷川さんは顔を曇らせた。

「普通、ね。そうか、普通かぁ~。」

え、僕全然よく話してる方じゃないと思うんだけど…。そう思っていると、長谷川さんの質問が続いた。

「ね、今日のテストどうだった?」

「えっ、普通だったかな。」

「じゃあ、英語の先生のこと、どう思う?」

「急に…?特に何も思わないけど…。」

「うーん、他の先生と比べて、とか。」

「えぇ…普通かな。もうちょっとゆっくり話してほしい、くらい…?」

「じゃあ、お母さんのご飯、好き?」

「ふ、普通かな…。何、この質問…?」

「やっぱりかぁ~。」

何が目的なのか。脈絡のない質問たちに僕は疑問を隠せなかった。

「あのね、“普通”って、“誰でも”って意味なんだよ。」

「“普通”が“誰でも”…?」

「そう、塾の先生が言ってたの。さっきの返しを翻訳するとね、

お母さん『今日のテストどうだった?』

錦くん『誰でも~』

お母さん『英語の先生はどうなのよ?』

錦くん『誰でも~』

お母さん『私のご飯、美味しい?』

錦くん『誰でも~』

なの。めちゃくちゃ意味分かんないよね。」

「え、ま、まぁそうかな…?なぜに1人2役…?」

「そうだよ。まぁ“通常”って意味が辞書では出てきたんだけど、それでも先生の話を聞いて、私思ったの。“普通”って変だなって。だから私、“普通”って返事するのやめたの。だから、錦くんにも、“普通”って返事してほしくない。じゃあ練習ね。錦くんは他の生徒と比べてどう?」

「え、普通かな…あっ。」

「まだまだ修行が足りぬようだね。じゃあね!」

そういうといつの間にか箒を片付けていた長谷川さんは帰っていった。


「ほうほう、終わったようじゃな錦くん。ご苦労じゃった。」

「雪菜…先生の説教は終わったのか?」

「うむ終わった。いやはや長かった…。1時間もよく話すことがあるもんじゃ…。」

「そりゃ普通でしょ…あっ。」

「おや、その反応は長谷川っちのあの話を聞いたんじゃな。あれ、意味分かった…?」

「いや、あんまり…。言葉で説明しろと言われると難しいかな…。」

「そうじゃろうな…私も聞いたときはよく分からなった。もっと説明してって言ったら、そこまで覚えてないっていうんだもん。永遠の謎だよ。」

「ていうか、長谷川さんがあんな人だったって教えてくれればよかったのに。あんな普通な人だったなんて。変に緊張して話せなかったじゃん。いや、普通ではなかったか…?」

「ほうほう、長谷川っちは“誰でも”人、か。」

「あっ…。」

「私もまだよく分かってないけど、多分、“普通”を“誰でも”って意味で以外、使うなってことなんだろうね。なんか“誰でも”って平均って言われてるっていうか、そういう嫌な気持ち?になるんだと思う。知らんけど。」

「出た、“知らんけど”。便利な言葉だよな~。」

「“普通”も、便利な言葉だったよね~。まぁもう使えないけど。」


次の日、長谷川さんの方を見ると、普通に、いや失礼、ずっと笑っていた。僕が長谷川さんを“百合の姫”だと思い込んで、笑わない人だと決めつけていたようだ。長谷川さんがずっと1列目の席だということもあるのだろうか。そういえば昨日の弾丸トーク中にそんなことを言っていたような…。

そんなことを思っていると、長谷川さんが僕の方へやってきた。

「ねぇ錦くん、放課後、遊ばない?雪菜ちゃんからはOKもらってるの。」

そのとき、クラスがざわついた。あの百合の姫がなぜ僕に…という顔をしている。

「えっ、雪菜が…?まぁ別にいいけど何で僕…?」

「じゃあ決まり!放課後校門前で!遅れないでね!」

そう言うと長谷川さんは嵐のように去っていった。

「え、お前話しかけられたの!?あんなにうぶだった錦が!?」

「…うるさい晃。この前ちょうど話す機会があったんだよ!」

「いいなぁ、姫さんと一緒に遊べるって…。俺も誘ってほしい…。」

「来ればいいじゃん。雪菜もいるらしいし。」

「は!?羨まし!行きてぇけど部活があるんだよ~。また誘われたら俺を誘え!いいな錦!」

「はいはい、分かったよ。次ね、次。」

晃は昼休み中、ずっと長谷川さんがいかに素晴らしい女性かを延々に語っていた。本当はかなりの変人と言おうとしても弾丸トークにさえぎられる。自分は話しかけもできないくせに延々と自分の妄想を語っている姿はかなり滑稽だった。僕の周りは変な奴しかいなかった。


放課後、校門前に着くともう既に2人が待っていた。

「おっそいぞー錦くんよぉ!生徒会の私でさえ待ってたぞー!」

「ごめんごめん、晃にギリギリまで捕まってて。部活だから来れないって自分で言ってたくせになかなか部活行かずに駄々こねるんだからあの変人…。」

「…だから誘ってないんだよ。」

「え?どうしたの長谷川さん。」

「いや、何でもないよ。行こうか。」

3人そろってカラオケ店へ向かう。日差しは少しずつ強くなっていて、無防備な首がじりじり焼けるのを感じる。横には、黒髪を耳にかけ、風に髪を遊ばせている長谷川さんの姿があった。まるで長谷川さんの周りだけに風が吹いているかのようだった。その隣には、同じく風に茶髪をなびかせ、元気よく童謡を歌う雪菜の姿があった。試しに雪菜に長谷川さんの真似をさせると、綺麗な長い髪が2つ、僕の隣を彩っていて、少しドキドキした。

「おや、美人が2人いると困っている顔じゃな錦くん。仕方ない、この茶髪はとっても綺麗に手入れされた髪なのだから。」

「そ、そんなんじゃ…!」

「ハーレムだね錦くん。どう、今の感想は?」

「いやどうもしないよ!長谷川さんまでからかわないでよ!」

「そんな真っ赤な顔を見たらからかいたくもなるよ~なんたって私たちは変人だからね!」

「心外だな長谷川っち!私は変人じゃないよ、ふつ…素敵なお姉さんだよ!」

「「変人だよ!」」

そんなことを言っているうちにカラオケ店の前に着いていた。涼しいエアコンの風を体中に通らせてから、僕たちは指示された部屋へと向かった。


外を見ると既に空が真っ赤に染まっていて、帰宅時間がすぐそこまできていた。

「まるで僕の顔のように真っ赤だな…。」

「もう真っ赤じゃないよ!てか何で今思ってること分かったんだ雪菜!」

「錦くんは意外とロマンチックだからね。空を見てるってことは小説みたいな思考してたんだろ。」

「確かに、すっごくロマンチックな曲ばっか歌ってたもんね~。」

「長谷川さんまで…。というか、長谷川さんはアニメの曲ばっか歌ってましたね、新鮮でしたよ。あの姫がアニソンを全力で歌ってる姿見たら、晃びっくりするだろうな~。」

すると、2人の表情が暗くなった。あまりの空気の変わりように、僕は息をのんだ。その静寂を破ったのは雪菜だった。

「おっと錦くん、長谷川さんの前で晃くんの話をするのは禁止だよ。」

「なんで…」

「私から言うわ、雪菜ちゃん。あのね、錦くん…」

長谷川さんから聞いた話は衝撃的だった。実は晃は、長谷川さんと話したことがあったらしい。しかし、姫だと思っていた長谷川さんがあの饒舌っぷりを披露すると、晃は戸惑い、混乱し、何も言わなくなり、ついにはその凶変っぷりに文句を言ってバカにしてきたらしいのだ。

「それで手が滑って、そしたらいつの間にか晃くんが倒れてて…。」

「長谷川っちが殴ったんでしょ。私見てたんだから!自分が暴力変人女だって認めなさい!」

「いや、私は何もしてないんだよ。だけど倒れた衝撃か、晃くんは何も覚えてないみたい。」

「暴力変態!暴力変態!」

「雪菜うるさいだまって!…でもそうなのか…。あ、だから晃のこと名前呼びだったのか。まだ話したことのない晃が僕と違って名前呼びだったの、ちょっとだけ気になってた。」

「なんじゃ錦くん、僕も名前で呼んでぇって思っとんたんかい、変態。」

「雪菜、お前変態って言いたいだけだろ。」

「初めて話したとき名前で呼んでって。その後一瞬も話してないけど…。」

晃は彼女のギャップに耐えられなかったようだ。しかしそうなるのも無理はない。晃は僕と違って1年生の頃から同じクラスで、“百合の姫”としてのイメージがこびりついていたのだ。僕も同じ立場だったら…と思うとぞっとした。

「私ね、ちゃんと分かってるの。自分が変人だって。だから、私を受け入れられるのは心の広い、優しい人しかいないの…。特に私は大きなギャップがあるからね。最初錦くんと話したとき、それをすっかり忘れてて、しまった!って思ったんだけど、錦くんは優しいから受け止めてくれたんだよね。本当に良かった。ありがとね。だから遊びに誘ったの。で、一緒に晃くんが来るとまた同じことになっちゃうから、部活の時間に誘うことで、来れないように仕組んだの。」

「いや、僕は優しいってわけじゃ…。」

だって晃と同じ立場だったら僕は、あの日長谷川さんにどう対応したのか分からない。それくらい、思い込みってすごいものだから。

「そうだよ、錦くんは優しいわけじゃないよ、うぶなだけだよ。うぶだから、女の子に話しかけられて頭真っ白になっただけだって。」

「…あ、やっぱりそうだったかも。錦くん、私のこと本人か疑ってたもんね。」

「やーい、うぶー!」

「うるさい雪菜!違う!うぶではない!」

そんなことを言いながら、その日は解散となった。晃がそんなことを言うとは思えなかったが、雪菜が見たというならそうなのだろう。人の思い込みは恐ろしいと思う話だった。笑わない、みんなの憧れの“百合の姫”が実は、饒舌で、アニソンを全力で歌っていて、暴力でもある…。噂がおとなしいイメージがあり、かなりびっくりはしたが、そんなギャップは人間らしくあり、長谷川さんに僕は興味を持った。髪や表情だけではなく、その想いや信念まで…。

「ねぇ長谷川さん、また遊ばない…?…も、もちろん、雪菜も一緒に!」

「ほうほう、これは恋の始まりってやつですかな?私は入れなくてもいいんですぜ旦那!」

「違うって!」

「えー違うの?私が他の男に取られちゃってもいいの?」

「え、何それどういうこと!?」

「嘘だよ錦くん顔真っ赤!可愛いうぶさんですね~。」

「長谷川さんまでからかわないで!ただ、もっと長谷川さんのこと知りたいなって思って…って、なんかこれ告白みたいじゃない!?」

「いいじゃん告っちゃえよぉ~私は空気だからさ!」

「お前みたいな変人が空気になれるわけないだろ!」

「失敬な!雪菜ちゃんはは素敵なお姉さんだよ!」

「「変人だよ!」」


口には出さなかったが、今までのギャップにやられた僕は、これからアピールするために、長谷川さんにたくさん話しかけに行こうと思う。そのためには雪菜の冷やかしをかわし、今回みたいな空気にならないように、オシャレなカフェや夜景のところで自分の気持ちを伝えようと思う。振られないように、親交を深めてから。

でも、告白は普通のじゃだめだよな…。だって彼女は、“普通”が嫌いなんだから。


ここまで読んでくださりありがとうございました!

初投稿です!きっかけはSVB大賞ですが、今後も何かあれば思いついたら書いてみます!温かい目でご覧ください~。

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