AREA[不明]act-1
今日は紗夜がいない。正しくは会社へ行った。
俺は現在、休業中。専業主夫ってのも辛いもんだな。なんて甘い考えをしながらSNSを見る。俺のSNSに流れてくる内容はゲームのものが多いが今日はCG作品の投稿がほとんどだ。タグにはエルダーストーリーの文字ばかり、中にはコスプレみたいなのもあるけど、エルストって3年前にサービス終了したよな。なんで今ごろ、話題が復活したんだ?
俺はエルストに興味なかったので内容もキャラも知らない。
ピーピーピーピー
「おっ、洗濯終わったか。洗濯ほしほし〜ほし〜」
バカみたいな歌を口ずさみながら回収しに行く。
カゴにいれ終わるとハンガーにかけベランダへ。
即興ソングを歌い続けながら家事をしていると、スマホが振動した。
俺はすぐさまスマホを開く。
ブザー通知にしている内容はAREA0の通知のみ。
通知内容は特殊ミッション開催のお知らせ。
今までプレイしてきて1回しか発生しなかった特殊ミッション。それがもう一度来たのだ。
開始は30分後、丁度家事も終わる時間だ。
いいぞ、参加出来る。やった。
急いで片付け、ゲーム起動。参加方法は通知メッセージに記載されているコードをチャットツールにコピーアンドペーストする。その後、送信を行う。
慌てていたから何度もコードを間違えるが無事参加することに成功。
大規模戦のように侵入不能のバリアが張られていて数分間はここで待機だ。
場所は日本の住宅街に似ている。今にも子供がボールと一緒に飛び出して来そうな。
参加プレイヤーが続々とセーフティエリアに入る。
一回目の特殊ミッションよりも人が多い気がした。二回目の開催だし増えるのは当然か。
特殊ミッションは始まるまで内容が明かされない。前回はファンタジー風な世界でドラゴンと戦うっていう人気ゲームとのコラボだった。
今回もコラボなのか?
でも、こんな田舎町を舞台にしたアクションゲームってあったかな。
エリアの上空は夕焼けで綺麗だった。
俺も上京する前はこんな田舎暮らしだったよな、と懐かしさを感じる。
周りのプレイヤーたちもどこかソワソワした感じで落ち着きがない。たしかに異様な光景だな。
ミッションの報酬に期待して楽しみだって気持ちもわかるぞ。
けど、前回の報酬で手に入ったコラボ武器だけど。正直、雑魚だった。
ファンタジー世界の武器だし、当然、現代の武器には勝てない。
あー、でも魔法武器だからコレクション要素としては十分かも。
俺は近くの街頭の下で座る。
日本の風景なのか、落ち着いているプレイヤーが多いな。
そんな中、ドタバタと物音を立てて走ってくるプレイヤーが……
「先輩!来ると思ってましたよ!」
「はぁ、平日の朝8時だぞ?」
「特殊ミッションですよ!参加するしかないでしょ。まぁ、前回は祝日だったみたいですけど。」
「そーだったな。今回のミッション参加で運営が狙ってる層はガチ勢なのかな。」
「あー、見た感じガチガチのプレイヤーばっかりですね〜」
黒羊が辺りを見渡すと完全装備のプレイヤーばかりで初心者装備はあまり見ない。と、思っているとセーフティエリア内にどんどん参加者が集まってくる。
「わわっ!先輩。層とか関係なさそうですね。」
セーフティエリアは瞬く間に人で溢れ、パンパンになる。
「おいおい、ミッションルーム統一かよ。大規模戦より多いぞ。」
普通はサーバの不可やプレイヤーのゲーム環境の配慮でミッションルームは複数あるはずなんだが。
住宅街の間にある車2台分くらいの幅は群衆で溢れかえった。
しかし、ゲーム側の対応が早く、エリア内に複数のセーフティを儲け、プレイヤーを分散させた。
仮にここをセーフティ1だとすると、四方に2345と展開されている。セーフティ1は変わらず人は多いけど、多少マシになった。
「あぁ、良かった〜。これでミッション開始とともに爆撃されても大丈夫。」
「物騒なこと言うなよ。それやるとただの虐殺じゃないか。」
「確かに、たしかにー。てか、今回はどんなミッションなんですかねー。楽しみだわー。」
「俺もこのエリアから何をテーマにしたミッションかさっぱり分からない。」
「では、始まって数分は様子見と行きましょう。幸い、武器制限もないですし。」
黒羊のその一言でハッとなる。
「おう、確認忘れてた。俺もこの風景に動揺してたみたいだ。」
「慎重派の先輩がミッション概要の確認を怠るなんて……。今日が命日かもですね〜。」
「お前はそうやってすぐ、怖いことを言う。」
あたりはより赤みを増し、影が濃くなってゆく。
夜戦になるかもしれない。周りのプレイヤーも暗視ゴーグルやレーザーサイトなど暗闇を想定した装備を準備していた。
それらを持ってないプレイヤー数人が撤退しているのも確認できる。
特殊ミッションは全プレイヤーが味方だった。前回と同様なら。フレンドリーファイアもなく新規もやりやすかったが今回ばかりは玄人向けかもな。
黒羊もハンター帽を脱ぎ、暗視ゴーグルとヘッドセット付きのタクティカルヘルメットを装備している。
俺のサイボーグアバターは元からサーモグラフィーと暗視、赤外線、加えて視界の明るさ調整機能もある。たしかに黒羊のヘルメットにも全部載せれるが重量が多くて使い物にならない。その分、サイボーグアバターは最高だ。今は武器屋に在庫がなくて常に売り切れ表示で俺が購入した時、在庫はこれだけだった。
「先輩、いいですよね。それ。ま、デメリットでいい武器はもってないし、全部、セラちゃんの装備に回してるのが原因ですけど……」
「う、うるさい、俺はこの装備でいいんだよ。」
「だから、No.2に勝てないんじゃん……」
「はぁ、よく言うよ。No.2だけでも何人いるんだか…決まったプレイヤーが相手ってわけでないし、困るんだよね。あいつらにはさぁ。」
黒羊と俺の準備が終わったところで、そろそろミッション開始時間に近くなる。
最終的にセーフティエリアは12まで分かれた。
参加プレイヤーは1万以上、過去最大だった。




