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過去編5
-あの瞬間から5日後。
何度時を巻き戻したいと思ったかわからない。
全身が冷えるあの瞬間から、体温が戻った気がしない。冷え切ったままだ。
「ー行こう。そろそろ時間だ。」
遺影の中の蒼はいつもの通り、何も疑わない笑顔だ。
手を合わせて祈りを捧げる。
「ー昨日は叔母さんの葬儀に来ていただいてありがとうございました」
「ーこちらこそ、ありがとう」
おじさんがおばさんの背中をなでている。
「みんなさえ辛くなければ、いつでも遊びに来て」
「はい」
ー地震でボロボロになった街と同じく、そこにある人の心も傷ついていた。