第41話:ゲンドウの策略(2)
「あの人は・・・」
そう呟いた美鈴。
「精霊がいるって事は・・・」
清二がそう言うと
「もしかしなくても能力者だ」
一歩前に出てそう言う冷子。
「自己紹介をしておこう。俺は無明直樹・・・見ての通りのES能力者だ」
そう自己紹介した直樹。
「無明か・・・あの正行をけしかけさせたのはお前達のグループか?」
そう尋ねる冷子。
「冷子さん・・・何か知ってるんですか?」
そう聞く美鈴。
「この街に来たばかりの美鈴は知らないと思うが無明グループというのがある」
そう言う冷子。
「確か相当大きな企業で色んな事やってるんだっけか」
そう説明する清二。
「俺の祖父がそのグループを支えている・・・と、そこまでは説明しなくてよかったか・・・ついでの紹介だが、俺の精霊・ジュロだ」
自身の精霊の紹介もやる直樹。
「随分と親切な奴がいたものだな」
そう言う冷子。
「戦う相手でも礼儀は必要だ・・・これは俺の考えだが」
そう告げる直樹。
「悪いな・・・私は戦う相手には容赦がないのだが」
そう言う冷子。
「それはそれでいいと思うが・・・と、話が長くなるな・・・始めようか」
そう告げると腕を構えた直樹。
「まずは私が様子を見る・・・清二はあいつの能力が判明したら出てくれ」
そう指示する冷子。
「わかった。美鈴は俺達の後ろに」
「う、うん。でも、加勢とかしなくていいのかな」
清二にそう尋ねる美鈴。
「まだ美鈴の力は不安定だしな・・・相手も一人だし任せとけよ」
そう告げる清二。
「うん、清二君も冷子さんも頑張ってください」
応援の言葉を投げかける美鈴。
「行くぞ!」
そう言い放ち精霊・フリグと共に駆けだしていく冷子。
「ジュロ・・・初手から力を出していこう」
と、構えていた手を挙げた直樹。
「出ろ!」
「!?」
と、冷子とフリグは地中から力を感じ大地に向けて冷気を放った。
「清二君・・・今、あの人何しようとしてたのかな」
美鈴がそう言うと
「冷子が感づいて先手で封じたみたいだけどな・・・」
そう言う清二。
「お前がここにいたのも狙ってか?」
そう聞いた冷子。
「もう理解したのか・・・まぁ、そういうことだ・・・多少別件もあるからだがな」
そう答える直樹。
「別件か・・・清二!応戦しろ。属性相性的にはやりにくいかもしれないが・・・こいつは樹の能力者だ」
そう叫んだ冷子。
「樹って・・・」
と、辺りを見渡す美鈴。
「この樹何だよね」
「だとすると厄介だな・・・この辺り全てがあいつのフィールドだぞ」
そう告げる清二。
「その通りだ・・・だけど全て俺が有利というわけじゃない」
そう言い冷子を見る直樹。
「私の冷気でお前の樹の力を抑えられる・・・それにこちらには清二とまだ不安定だが美鈴もいる・・・私の力を全て守りにまわせばお前に負ける要素はないはずだが」
そう言う冷子。
「随分と語るな・・・確かにその通りだが・・・俺は別にここへ勝ちに来たんじゃない」
「!?」
直樹の言葉に驚く冷子。
「だが、氷の能力が厄介なのはわかっているからな・・・ジュロがやられる前に動かさせてもらう」
と、辺りの樹から伸びてきた太い枝に乗り移動する直樹。
「なんだ、あいつ逃げるのか」
そう言う清二。
「フリグ!全力の冷気を奴の樹に」
放たれる冷気の一閃。
「樹のフィールドである以上・・・」
手を振り上げる直樹。
それと同時に別の樹々から伸びた枝が絡まり合い壁のようになり冷気をくい止めた。
「冷子、少しは落ち着けって・・・協力して突破するぜ」
そう言うと清二は精霊・アクルを呼び出した。
「放て、水の刃!」
樹々の壁に向けて放たれた水の刃。
「わかっている、フリグ!」
と、冷子は冷気で水の刃を鋭く凍らせた。
「切り裂け!」
そして、作り上げた氷の刃は樹々の壁を切り裂き突破した。
「美鈴、行くぞ」
「うん!」
そして、冷子達は移動していった直樹を追っていくのであった。