第41話:ゲンドウの策略(1)
あの特訓の日々から数日。
美鈴は普通の生活をおくっていた。
「冷子さんが言うにはゆっくりした日々も必要だそうだけど」
「簡単な特訓ならいいけどな、能力の特訓はやりすぎると身体がもたないからな」
そう言った清二。
「うん・・・」
「まぁ、特訓するなとは冷子も言ってないしな。正行達のこともある。だから俺も頑張らないとな」
そう言う清二。
「清二君はどれくらい使えるの?」
そう聞いてきた美鈴。
「冷子ほどには使えないさ・・・こっちに来てから特訓らしい特訓はしてないしな・・・基本的な力は扱えるけどな」
そう答える清二。
「・・・でも、どうしてこの街にES能力者が集まっているのかな」
疑問に思っている美鈴。
「それはわからない冷子も知らないだろうしな。もしかしたら正行達が知ってるかもしれないけど、あいつ等とは関わりたくないからな」
そう告げる清二。
そんなこんなで、放課後を迎えた。
「すまないが二人に用がある」
と、帰ろうとした美鈴と清二に声をかけてきた冷子。
「いきなりだな、お前は・・・」
そう言う清二。
「フリグが離れた場所で能力らしきものを感知した・・・奴等が何かしようとしているのなら・・・」
「なるほどな・・・一人より三人か」
そう考える清二。
「本来ならまだ不安定な美鈴を連れて行くのは危険だが・・・一人で帰らせるのも危険だからな」
そう告げる冷子。
「私も頑張ります!」
そう意気込む美鈴。
「アクルも出しといた方がいいか?」
「案内ならフリグだけでいい。アクルは念のためにだ」
そう言う冷子。
「わかった。じゃあ行ってみようぜ」
そんな訳でフリグの感知を頼りに進んでいく美鈴達。
その頃、離れた場所に存在する林の中。
そこに直樹の姿があった。
「俺の能力が能力だからな、こういう場所は落ち着く・・・」
そう呟く直樹。
「勘のいいのが奴等の中にいるだろうからな・・・俺の力に気付いて集まってくれれば作戦成功だがな」
と、そんな時直樹の中にいる精霊が何かに気付き直樹に語りかけた。
「なるほど・・・この場所に踏みいったのか・・・では出迎えるとしようか・・・ジュロ」
そう告げると直樹の前に姿を見せた精霊。
そして同時に冷子の精霊・フリグがその力を感知した。
「場所を特定したらしいな・・・急ぐぞ」
そう言う冷子。
「・・・何だかドキドキします」
そう呟く美鈴。
そして、林に入りしばらく進んだ美鈴達が見たのは林の中でたたずんでいた直樹とその精霊・ジュロなのであった。