第40話:特訓の成果(1)
いろんな事を昨日経験した美鈴。
そして今日の学校生活。
「おい、冷子」
休み時間の時に冷子に話しかける清二。
「話なら放課後、剣道場に来い。もちろん美鈴も連れてな」
そう言い放つ冷子。
「私なら大丈夫だから。放課後まで待てるよ」
そう清二に告げる美鈴。
そして、約束の放課後。
すでに冷子は剣道場にいた。
「来たぞ、冷子」
そう言って剣道場の扉を開く清二。
「失礼します」
そう言ったのは美鈴だった。
「早く入れ。話を聞きに来たんだろう」
「・・・」
無言で入る清二に、続いていく美鈴。
と、冷子の横に精霊・フリグが現れた。
「美鈴も力は回復しているだろう?二人とも精霊を出せ」
そう告げた冷子。
「ちょっと待てよ・・・何で精霊なんか・・・それに美鈴はまだ上手くは・・・」
そう言う清二。
「ならお前はこれから先、美鈴が能力を扱えるようななるまでずっと側にいてやるつもりか?」
そう聞いてきた冷子。
「それは・・・」
「あの雷の能力者・・・本気を出していたらお前もただじゃすまなかっだろうな。相性が悪すぎる」
そう言う冷子。
「わかってるさ・・・だけど・・・」
清二がそう言うと
「私は話を聞かせに来ただけじゃない、お前の成長を確かめるためにも来た」
そう告げた冷子。
「はい・・・」
強い思いを込め、そう返事した美鈴。
「清二も見ていろ。美鈴の成長をな」
そして美鈴と冷子は、向かい合い互いに竹刀を構えた。
「これは剣道の勝負じゃない。一本取らなくていい。私を認めさせたら合格だ」
冷子がそう告げると
「はい、お願いします!!」
元気よく言う美鈴。
「来い、美鈴!」
冷子の言葉に誘われて飛び出していく美鈴。
(いくら美鈴が力を覚醒させても・・・上手く使えなきゃ・・・)
そう思っていた清二。
「私が美鈴にやらせていたのは精神的特訓。だから腕力などの向上については期待はしていない。だからこそ・・・」
と、受け止めていた美鈴の竹刀を上手く後方に受け流し、美鈴も冷子の後ろへ身体を流されてしまった。
「さぁ、どんどん来るといい。そうしなければ私を認めさせることは出来ないぞ」
それから何度も冷子に向かっていく美鈴。
しかし、全て冷子が上手く受け流しており美鈴の竹刀は一度も冷子の身体にかすってもいなかった。
「冷子、やっぱり無茶だ。能力を扱ってきた期間が違うんだ」
そう言う清二。
「わかっている。だが、美鈴は諦めていない・・・なら私も最後までやるだけだ」
(とりあえず美鈴は精霊出さずにやってるからスタミナ保てているけど・・・)
かなり美鈴が心配な清二。
「もう一度!」
そう言ってまた向かっていった美鈴。
「同じようにやっていても私には・・・」
と、ここで言葉を止めた冷子。
「美鈴が・・・」
驚いている清二。
今まで同様に冷子の後方に身体ごと受け流されていた美鈴だったが、次の瞬間美鈴は冷子の真上にいた。
「風の力を・・・ここで」
「えっと・・・」
風の力を使い高く跳び上がったはよかった美鈴だが、その後の事を考えていなかった。
そして勢いが無くなった美鈴は、そのまま冷子の上に落下するのであった。