第37話:努力するヒロインとES能力(3)
「れ、冷子さん・・・」
驚いている美鈴。
「辺りを凍らせた力・・・お前、氷のES能力者か」
そう告げる正行。
「私のことを観察している場合じゃないだろう・・・能力が発動していない美鈴がいるとはいえこっちは二人だ・・・それともそれを承知でやるつもりか?」
そう言うと竹刀を正行に向ける冷子。
「俺の目的は風のESのデータ収集だ。それ以上その役目の進展がないようだから俺は帰るぜ・・・まぁ、近いうちにまた会うだろうけどな・・・ライズ!」
と、正行の前に飛び出してきたライズは足下に雷撃を放った。
「!?」
巻き起こる土煙に目を閉じる美鈴。
そして、土煙がなくなるとそこに正行とライズの姿はなくなっていたのであった。
「お前が自ら力を発動させるのを待つつもりだったが・・・裏で動き出している奴がいる以上・・・少々私もおせっかいをせざるを得ないようだな」
そう告げ美鈴をみる冷子。
「あの冷子さん・・・」
「地道な努力で私に勝つか・・・強くなりたいなら続けろ・・そして、お前が望むなら能力の修行は私がつけてやるが・・・」
突然そう言った冷子。
「冷子さんは能力のことの全てを知っているのですか?」
そう聞いてきた美鈴。
「知らない・・・と、いうより全てを知る者がいるかさえわからない。しかし、お前があいつの言っていたように風の力を宿しているなら・・・お前はその力を使いこなせるようにならなければならない」
そう告げる冷子。
「風の力って特別なんですか?」
「そう言うことだ・・・修行は放課後・・・剣道場に来るといい・・・後は地道な努力をしていけば短期間で能力を扱えるようになるはずだ・・・」
「は、はい・・・色々ありがとうございます」
お礼を言う美鈴。
「お礼を言うなら能力を使えるようになってから言うといい。ただし、生半可な修行にはしない」
「はい!よろしくお願いします」
そう元気に答える美鈴なのであった。