第37話:努力するヒロインとES能力(2)
冷子に勝つために出来る限りのことをしながらも、勉学もしっかり頑張っている美鈴。
「何だ・・・美鈴いつもより張り切ってるような・・・」
授業中そんな感じを受けていた清二。
そして、放課後。
「今日はすぐに帰るのか?美鈴」
そう聞いてきた清二。
「うん、じゃあまた明日ね」
そう言って駆けだしていった美鈴。
そんな美鈴の後ろ姿を驚きつつ見ている清二。
そして、校舎内からそんな二人の様子を見ていた冷子。
「さてと・・・私は・・・」
そう呟くとその場を後にした冷子。
「佐和子には悪いと思うけど・・・少し寄り道して行こう・・・少しでも・・・」
走るだけで何処まで自分が冷子に近づけるかわからない美鈴ではあったが、何もしないより良いと考え行動に出ていた。
そして、寄り道してたどり着いた町外れ。
「この林の中を進んで・・・戻ってくれば丁度良いかな」
そう考え林の中に入っていく美鈴。
そして、それを見ていた一人の人物がその林の前に姿を見せた。
「あいつが対象者か・・・しかし、正樹の言うことあてになるのか?あいつが能力持ちなんてよ」
そう言うその人物。
『試してみればわかる・・・俺の出番があればいいんだがな』
と、その人物の隣から聞こえてきた声。
「じゃあ、行くか」
そして、その人物も林の中へと入っていったのであった。
「ふぅ~」
林の途中で走っていた足を止め休憩する美鈴。
「私が直接冷子さんがやってる剣道を習っても追いつかないのはわかってる・・・だからせめて冷子さんの動きについていければ・・・」
と、林の中を通り過ぎていく風。
「汗かいたから風が冷たい・・・よーし、家までもう一走り・・・」
そう言い立ち上がったその時、誰かの気配を感じて振り向いた美鈴。
「よう・・・とりあえずははじめましてか?」
「誰・・・」
「俺は雷武正行。ちょっとした用事でなお前の力を試させてもらうぜ・・・行こうぜライズ!」
正行がそう告げると、正行の前に見たことない生物が姿を現した。
「えっ、何」
「俺を認識している以上、情報通り能力持ちらしいな」
そう告げるライズ。
「やりすぎないようにしないとな・・・」
と、手のひらをかざす正行。
すると、その手のひらに雷の力が集まっていた。
「あれって・・・」
「ほらよ!」
と、美鈴の足下に電撃を放つ正行。
いきなりのことで驚きその場に転倒してしまった美鈴。
「何だ・・・この程度もかわせないのか?こんな奴があの能力持ちってのは気に入らないよな」
そう告げる正行。
「もしかして貴方もエレメンタルソウル能力者・・・」
「この力の名前を知ってるのか・・・まぁいいか・・・俺の目的はお前の力のデータ収集だからな・・・でも、やっぱり直接狙わなきゃ力は発動しないか・・・」
と、正行は手のひらを美鈴の足下から美鈴自身に向けた。
(逃げなきゃ・・・でも、足が動かない・・・)
「・・・ん?」
と、何かに気付いたライズ。
すると、突然正行の周囲が凍り付き美鈴の前に冷子が降りたったのであった。