第37話:努力するヒロインとES能力(1)
その日の夜、美鈴は自室で今日の出来事を思い出していた。
「私、知りたい・・・冷子さんが知ってる秘密・・・そのためには」
と、美鈴は自分の目覚まし時計をセットすると今日は早めに就寝するのだった。
翌日。
「あれ、お姉ちゃん。もう学校に行くの?」
そう聞いてきた佐和子。
「うん、ちょっとしばらく早く学校に行かなきゃいけないから。佐和子には迷惑かけちゃうかもしれないけど」
そういう美鈴。
「待ってお姉ちゃん!」
と、慌てて朝食を食べる佐和子。
「さ、佐和子?」
「だったら私も一緒に早く行く。私も早起き頑張るから一緒に行こう」
笑顔でそういう佐和子。
「うん、わかった」
そして、同じように笑顔でそう答える美鈴。
いつもより早い時間ではあるが、いつも通りに小学校まで一緒に歩いていく美鈴と佐和子。
「それじゃお姉ちゃん!」
「うんっ」
佐和子が校舎に入っていくのを確認すると、美鈴は中学校に向けて駆けだしていった。
「距離が短くなっちゃったけど・・・少しでも力をつけたいから」
冷子との勝負に勝って、秘密を知るために少しずつながら出来る限りの努力をすることを昨夜決めた美鈴。
走っただけあって、あっという間に中学校へ到着した美鈴。
「もしかしたら・・・いるのかな」
美鈴は校舎内ではなく、剣道場の方へと向かっていた。
ゆっくり扉を開く美鈴。
と、中からは竹刀を降る音が聞こえてきていた。
「美鈴・・・早い登校だな」
素振りをしながらそう告げた冷子。
「冷子さんに勝ちたいですから」
正直にそう答えた美鈴。
「・・・清二は何も話さないだろうからな・・・一つだけ」
「えっ・・・」
驚いた表情を見せる美鈴。
「この地には不思議な力に満ちている。いずれ美鈴も知ることになる」
「冷子さん・・・その力って・・・」
「全てを知りたいなら私に勝つしかないが・・・呼び方ぐらいは教えておこうか。その力・・・ES能力・・・”エレメンタルソウル”・・・そう呼ばれている」
「ES、エレメンタルソウル・・・」
きょとんとした顔をする美鈴。
「美鈴が自身の力を自在に扱えるようになれば私を凌ぐ事も出来る・・・そうなりたいなら頑張ることだな」
そう言うと美鈴から視線を逸らして素振りを再開した冷子。
「わかりました。絶対に冷子さんに勝ってみせます」
そう言い剣道場をあとにする美鈴。
「あれはただの負けず嫌いじゃないな。本当に強くなる・・・あとは清二か」
そう告げる冷子。
だがそんな中、中学校の敷地の外から誰かが美鈴の動きを見ていたことはまだ誰も気付いていないのであった。