第36話:美鈴と冷子(2)
そんなこんなで放課後。
「清二君は用事で先に帰っちゃったから・・・私は佐和子の小学校に行って佐和子がまだいたら一緒に帰ろうっと」
そう考え鞄を持ち教室を出ようとした美鈴。
だが、そのとき目の前に冷子がじっとこちらを向いて立っていた。
「えっと・・・」
「何度みても信じられないがな・・・風見美鈴だったな・・・少し付き合ってもらう」
いきなりそういってきた冷子。
「あの、冷子さん・・・私は・・・」
「黙ってついてこい」
そう言うと教室を出てしまった冷子。
「・・・」
どうしたらいいかわからない美鈴だったが、この前の件もあったのでとりあえずついていくことにした。
しばらく学校内を歩く二人。
そして、足を止めた冷子。
「ここって・・・」
目の前にある建物をよく見る美鈴。
「剣道場?」
「何をしている、入れ」
ほぼ強制的に剣道場に入らされた冷子。
「冷子さん、ここで一体・・・」
「お前、私もそうだが聞きたいことがあるんじゃないのか?」
と、冷子からそう言ってきた。
「聞きたいこと・・・はい、実は・・・」
この前のことを言おうとした美鈴。
「誰が話を聞くと言った・・・私はお前を認めない。あの時のそれも私のみ間違いでありたいからな」
と、冷子は美鈴に竹刀を渡した。
「えっ!?」
戸惑っている美鈴。
「どんな形でもいい・・・私に一撃入れたらお前のどんな質問にも答えてやろう・・・どうだ?」
そう言う条件を出してきた冷子。
「勝負して勝てって事ですか」
「そうだ・・・別に私は剣道部員と言う訳じゃない・・・必要だから少しかじった程度だ・・・」
と、美鈴もある程度は知識があるのか竹刀を構えた。
「負けませんから」
すでにやる気いっぱいの美鈴。
「では、いくぞ!」
数分後・・・。
最初は美鈴の手当たり次第の攻撃をかわしていた冷子だったが、美鈴の僅かな隙で一気に踏み込み美鈴の首に竹刀の先を向けた。
「!?」
「お前の実力じゃ話を聞くのは当分先に・・・」
冷子がそう言ったとき
「一撃入れられるようになるまで頑張ります!」
そう言いはなった美鈴。
「負けず嫌いか・・・それはそれでいいが・・・」
と、その時突然剣道場の入り口の扉が開かれた。
「冷子がいるのか・・・って、美鈴まで」
剣道場に美鈴がいた事に驚く清二。
「清二君!?帰ったんじゃなかったの?」
「忘れ物があったから取りに戻ったら・・・」
と、竹刀をしまうと剣道場を出ようとする冷子。
「清二、お前もしっかりみていくことだな」
それだけ伝えると、そのまま剣道場を後にした冷子であった。