第32話:光と闇・最後の戦い(5)
この世界の中心でぶつかり合う二つの強大なエネルギー。
「本当に今までの霞じゃないな…」
そう呟くフラウサニー。
「霞…」
戦いを見守るフラウディオン。
「ようやく完全な姿になり復活したのだ…そして、もうすぐ野望も達成される…」
「貴方の野望は達成されない。私が…ううん、私達が貴方を倒すから」
強い眼差しで攻撃の先にいるディオグを見るフラウリリー。
そして、そんなフラウリリーの強い気持ちが力に変換されているのか徐々にディオグの攻撃を押し返し始めていた。
「馬鹿な…何故、ここまで…」
「…リリスと会わなかったら貴方と命と世界を賭けて戦う事は無かった。恐い思いとかもすること無かった。でも、リリスと会ったから…みんなとも仲良くなれた…それが一番嬉しかった」
そう告げるフラウリリー。
「!?…更に…威力が…」
「これで…終わりです…」
静かにそう告げたフラウリリーは、一気に力を込めた。
「読み違えていたか…フラウリリー…お前の強さはその光の技を扱えると思っていたが…本当の強さは…その…心だったということか…」
と、ディオグの攻撃は砕け散りディオグの両腕が塵となって消滅した。
「最後まで…その優しさは変わらぬか…フラウリリー」
「私達の誰も…相手の命を奪うことは嫌いです…例え悪い人でも」
そう告げるフラウリリー。
「…全ての計画はこれで消えた…我の力も今ので全て消滅した…直にこの身体も保てなくなり…我はここからもお前達の世界からも消えてなくなる…」
と、ディオグの身体が足から徐々に消滅し始めていた。
『ディオグ…貴方は本来…』
リリスがそう言うと
「死の間際で我の本当の存在を知るとはな…フラウフェアリー…全てをパートナーに話すのなら話すがいい…その後パートナーがどうするかは…我も知らぬからな」
そう言うディオグ。
「リリス…ディオグって…」
『あとで…話すね…霞』
そう呟くリリス。
「しかし、忘れるなフラウフェアリー…そして、人間の子供よ…ディオグという我の存在は消えるが…我はいつでも存在できる事を忘れるな…」
そう言い残しディオグは塵となりこの場から完全に消滅したのだった。
「…」
ディオグの消滅を見て無言になるフラウリリー。
と、その時突如この世界が振動し始め漆黒の空間にヒビが入るのだった。
『霞!ディオグが消えてこの世界も崩壊しようとしているわ。すぐに脱出を…』
そう言うリリス。
「えっ、でも…私一人じゃみんなを連れて出口にむかえないよ」
そう言うフラウリリー。
この戦いでフラウサニー達は動けないほどに力を使い果たしていて、とても自らの力で動けそうになかった。
と、その時フラウリリーの中から桃色の宝石が抜け出しフラウリリーは元のフラウリリーの姿に戻った。
「えっ、何で…」
と、桃色の宝石は突然強い光を放ちフラウリリー達全員を光の幕で包み込んだ。
『宝石の力が…私達を…』
そう告げるリリス。
そして、光に包まれたフラウリリー達は強制的にこの空間の外へと移動していったのであった。