第32話:光と闇・最後の戦い(4)
「何・・・何が起きるの」
『本来・・・宝石には妖精がいるはずだけど・・・この宝石を拾った時近くに妖精の気配は無かった・・・』
そう言うリリス。
「何が起ころうとしているかはわからないが・・・何か起きる前にお前を倒せば全て済む!」
と、力を強めていくディオグ。
『霞!』
「うんっ!」
たった小さな一つの奇跡的な勝利の可能性を目の前にして、フラウリリーの精神と体力は持ち直しディオグの攻撃を抑えていた。
『本来、妖精がいないと力を発揮できない宝石・・・だけどこれは・・・』
と、輝きを放っていた桃の宝石がゆっくりと動き出しフラウリリーの胸の前に移動した。
「えっと・・・どうなるんだろ・・・」
技を放っている最中なので、どうすることも出来ないフラウリリー。
すると、桃の宝石はそのままフラウリリーの身体の中へと消えていった。
その瞬間、フラウリリーの身体から眩しい光が放出されフラウリリー・ディオグ両者の技は相殺するように消えた。
「何だと・・・しかし、さっきの宝石は・・・それに一人の者が二つの宝石を扱うだと・・・」
そして、フラウリリーである霞の意識は自分の心の中にあった。
「リリス・・・」
「あれを見て霞・・・」
心の中でリリスと合流した霞は、目の前に浮かんでいる桃の宝石を見つけた。
「この宝石は霞に力を与えようとしている・・・どんな力かわからないけれど・・・」
「みんなが作ってくれたチャンス・・・そして、私の前に現れた八つ目の宝石・・・リリス、私・・・何があってもディオグだけは倒すよ・・・そうすればリリスたちの世界も大丈夫でしょ」
そう言う霞。
「霞・・・今まで辛い事させてごめんね・・・私も最後まで・・・霞だけに辛い事はさせないから」
「うん!」
笑顔でそう返事すると、霞は桃の宝石に触れた。
その瞬間、フラウリリーは自身が放っていた光に包まれた。
「霞ちゃん・・・何が・・・」
じっとその様子を見ているフラウイリス。
そして、その光がなくなるとそこには姿を変えたフラウリリーがいたのであった。
「貴様・・・フラウリリーなのか」
「私にもリリスにもよくわからない。でも、今の私は・・・今までのフラウリリーじゃない・・・言うなればスーパーフラウリリー」
そう告げるフラウリリー。
「妖精もいない宝石の力を得たところで我の闇は負けぬ!」
再びフルパワーで闇の力を集めていくディオグ。
『もう・・・私からは言うことないよね・・・霞』
そう呟くリリス。
「うん・・・これで本当の最後」
そう告げ腕を構えるフラウリリー。
そして、ディオグとまだ未知数である桃の宝石の力を得たフラウリリーの最大の一撃がぶつかり合うのであった。