第2話:花の妖精と花の戦士(4)
「喋ることは出来たか・・・人間の子供・・」
そういうヒヤシ。
「リリスは私の友達だから・・・」
「くだらないですね・・我々にとっては・・・」
そういい放つ使い魔。
「その友達とやらを守るためにそこのフラウフェアリーは倒れた・・全く無意味だ・・・いや、守ろうとしたのは子供ではなく・・」
「私に・・・とって・・霞も・・・大事なの・・よ・・・貴方達には・・理解できないでしょうけど」
「リリス!」
「うるさいですね・・・まずは貴方から消しましょうか」
そう告げリリスを睨みつける使い魔。
だが、リリスは怯むことなく睨み返していた。
「ダメ・・絶対ダメ・・・私を守ってくれた・・リリスを傷つけるのは・・・友達を傷つけるのは・・やめて!!」
強い思いを込めて告げた霞。
と、次の瞬間霞の持つ青の宝石が強く輝き出したのだった。
「なにっ!?」
驚くヒヤシ。
「眩しすぎる・・・ぐっ」
その輝きに圧倒され、リリスを解放してしまった使い魔。
「リリス!!」
勇気を出し前に出た霞は、リリスをなんとかキャッチした。
「霞・・今だよ・・・たった今青の宝石の力が覚醒した・・」
「・・・わかった・・」
立ち上がる霞。
「この輝き・・・宝石の力が解放されたとでも言うのか・・あんな子供が」
と、霞の頭の中に宝石の輝きと共に言葉が流れ込んできていた。
「リリス・・私の中に・・・何か言葉が」
少し戸惑っている霞。
「大丈夫・・それは霞が変われる言葉・・・」
「ヒヤシ様・・あの子供と妖精は・・・」
「ちっ・・厄介なことになる前に始末しろ」
「はっ」
腕を構える使い魔。
「怖がらないで・・・信じて・・その言葉を叫んで」
そう伝えるリリス。
「うん・・・流れ込んでくる言葉」
「今度こそ終わりです」
「ジョイントフェアリー!!」
思いを込めてそう叫んだ霞。
それと同時にリリスは、霞の中に飛び込んだのだった。
「グッ」
吹き荒れる風に押される使い魔。
と、風が止んだときそこにはいつもとは違う霞が立っていたのだった。
『それが霞に与えられた力・・』
自分自身の中からリリスの声を感じていた。
「友情のフラウソルジャー・フラウリリー!」
ヒヤシと使い魔の前に姿を見せた花の戦士。
「えっ、何これ」
自分の姿を見て驚いている霞。
しかし、もっともでむりもない心境である。
『落ち着いて』
「ヒヤシ様・・・」
「あいつを倒せ!下手に力を使われる前に」
と、フラウリリーに襲い掛かる使い魔。
「リリスどうしたら・・」
『焦らないで・・・動く自分の姿をイメージして跳んでみて・・今の霞なら出来る』
自信を持って言うリリス。
「うん!」
思い切りジャンプしたフラウリリー。
すると、使い魔の攻撃をかわしそのまま使い魔を飛び越えて着地したのだった。
「すごい・・・」
自分で自分の動きに驚いていた。
「これほどの動きを・・これがあの花の戦士、フラウソルジャーの・・・」
こちらも驚いているヒヤシ。
『意識を集中させて・・次で決めましょう』
「うん!」
心を一つに合わせる霞とリリス。
「次で終わらせるのはこちらです、ただの使い魔と思っていると死にますよ」
そう告げる使い魔。
『大丈夫・・・今の霞なら勝てるから・・腕を前に・・・使い魔の方に向けて』
霞に指示するリリス。
「こう?」
「私と張り合うというのですか・・」
使い魔も構えた。
そしてヒヤシはというと、少し離れた場所から様子を伺っていた。
「我が力で消えろ」
力を込めエネルギー弾を放つ使い魔。
それと同時にフラウリリーは、使い魔とは逆属性の聖なる力を放ち攻撃したのだった。
「この力は・・・うぉ・・」
と、使い魔は一瞬の内に消滅したのだった。
「・・・リリス・・」
『大丈夫・・・それより』
フラウリリーはヒヤシを見た。
「貴方はどうしますか?」
「ここは引かせてもらう、想定外の状況になったからな」
そういうと姿を消したヒヤシ。
そして、フラウリリーも霞とリリスに戻った。
「初めてだったから戸惑ったりしたと思うけど・・これからもよろしくね」
そしてこの日から霞の非日常が始まっていくのであった。