第22話:悲しき戦い(2)
『移動しながら探しましょう、霞。止まっていたら狙い撃ちされる』
そう告げるリリス。
そんな訳で再び宙を飛ぶフラウリリー。
「グラビティハデス!」
フラウインフィの声と共に正面から迫る球体。
「今度は正面から・・・」
『落ち着いて対処して』
そうアドバイスするリリス。
正面からの攻撃を難なくかわすフラウリリー。
だが、すでにフラウインフィが放った攻撃はフラウリリーの周囲に展開していた。
「!?」
全方位から飛んでくるグラビティハデスの球体。
「リリス!これって・・・」
『威力を抑えて複数の攻撃を・・・でも、何で一気に包囲されて・・』
不思議に思っていたリリス。
「教えてやろうか・・・」
「フラウインフィ・・」
多数のグラビティハデスの球体に囲まれたフラウリリーを、見下ろす場所に姿を見せたフラウインフィ。
「俺のグラビティハデスは特殊な球体でな・・・鉄骨みたいな硬いものにぶつかると反射できるんだ・・もちろん・・・力加減しないと鉄骨が砕ける場合もあるがな・・・」
そうフラウリリーに説明するフラウインフィなのであった。
『何でそんな事を教えに・・』
リリスがそう言うと
「今の状況を見てみな・・・それを抜けて俺のもとに辿り着けるとでも思っているのか?」
そう言ったフラウインフィ。
『霞・・・』
「人間の方はフラウフェアリーが負担すれば変身を解いても無傷でいられるが・・負担したフラウフェアリーはかなりのダメージを負う・・それをそいつが許すかどうか・・・」
「リリス・・・絶対リリスも・・無事にここを突破する」
そう言うフラウリリー。
「勇ましいが・・・攻撃を受けて傷つくのはフェアリーの方だぜ・・」
「大丈夫・・・絶対に・・」
と、フラウリリーは両手に光の技である【セイントフライヤー】のエネルギーを集めた。
「ほう・・・」
「・・・」
じっとフラウインフィを見るフラウリリー。
「俺のもとに辿り着いたなら隠れるのはやめにして直接戦ってやる」
「約束だよ!」
そう言うとフラウリリーはその場から跳ぶようにフラウインフィの元に向かっていった。
その直後宙に止まっていた多数のグラビティハデスの球体がフラウリリーめがけて再び動き出すのであった。
次々とフラウリリーに向かって飛んでいくフラウインフィの重力弾。
「セイントフライヤー・アタック」
両手に光の力を宿したまま、フラウインフィに突入していくフラウリリー。
そして、飛んでくる重力弾をその光の力で弾き飛ばしていった。
「女の子のくせにそう言う戦い方を思いつくなんてな」
そう言うフラウインフィ。
「貴方を救うためなら・・どんな事でもやるから」
強い眼差しでフラウインフィを見ながらそう言うフラウリリー。
「その強い意志は見事だけどな・・・それだけじゃ俺は倒せないぜ」
「倒すんじゃないよ!助けるの!」
そう言い更に空中で加速していくフラウリリー。
「集中攻撃だ!飛べ、グラビティハデス」
更に、重力弾を増やしフラウリリーに放つフラウインフィ。
『気をつけて、霞。相手は容赦なく狙ってきてる。一発でも受けて体勢が崩れたらそのまま連続攻撃を受けるわ』
そう告げるリリス。
「うん、判ってる。でも、もし攻撃を受けても私は止まらない・・・彼の所に辿り着くまで」
「・・・」
無言で様子を見ているフラウインフィ。
「一気に道を作る!フラウバスター!」
一度セイントフライヤー・アタックを解除して両手を合わせエネルギー砲を放ったフラウリリー。
「ちっ!」
そのエネルギー砲の軌道上にいたフラウインフィはすぐさまそこから離れた。
だが、その直後フラウリリーは再びセイントフライヤー・アタックを発動させ距離を詰めていくのであった。
「なにっ・・」
「これで・・届く!」
グラビティハデスの中を突き抜けていくフラウリリー。
「あのスピード・・力を溜めたグラビティハデスを放つ時間はない・・か・・」
そして、フラウリリーはそのままフラウインフィにぶつかっていったのであった。
その頃、フラウサニーとフラウディオンはというと多少不利な戦いを続けていた。
「ダークフェアリーの力はまだ何とかなるけど・・数が多いからな・・」
人数だけなら二人対五人なのである。
「フラウソルジャーが一人こちらにいるだけでこうも状況が変わるなんてな・・」
そう言うヒヤシ。
「だが、油断は出来ない・・・あいつらも同じフラウソルジャー・・・油断すればそこから崩される」
そう言うガロン。
「今までの経験からしっかりと連携も取れてるし・・私たち二人じゃちょっときついかな・・」
そう言うフラウディオン。
「きつくても・・止まっていられねぇだろ・・霞が・・待ってるんだ」
そう言うフラウサニー。
「そうだけど・・・せめて・・あのフラウヴィオラが味方になってくれれば・・」
フラウヴィオラを見ているフラウディオン。
「・・・もう後戻りできない・・・あの二人を倒さないと・・」
そう呟くフラウヴィオラ。
『少なくとも・・フラウインフィとは違って闇の影響ではないな』
そう告げたサナー。
「どういう事だ?」
尋ねるフラウサニー。
『闇の力を感じないことが一つだが・・それ以前にフラウヴィオラはこの戦いに対して一歩後ろにいる・・』
「一歩後ろ?」
よくわからないフラウディオン。
『闇に囚われていないのならまだ何とかできるかもしれません・・・』
そう告げるリオン。
「璃花・・俺がダークフェアリーをまとめて引き付ける・・何とかフラウヴィオラを・・」
「一人でって・・」
驚くフラウディオン。
「それぐらいやらないと霞にあわせる顔がないんだよ・・じゃ、頼んだぜ」
そう言い残してフラウサニーはダークフェアリー達に突っ込んでいくのであった。