ファンタジードリーム

第２１話：接触(4)

「何・・これ・・・」

球体となっている光の膜に触れるフラウリリー。

しかし、触れた瞬間弾かれてしまった。

「おい、お前!何しやがった!」

フラウインフィにそう言うフラウサニー。

「心配はいらないさ・・害はない・・・ただ、外には出れないけどな・・」

そう告げたフラウインフィ。

「貴方・・・何がしたいの・・」

そう聞いたフラウディオン。

「今の目的は・・・お前達の宝石を奪うことだ」

「!?」

フラウインフィの発言にこの場の全員が驚いた。

「あいつ、何を言っているんだ？ガロン」

尋ねるキキ。

「わからないが・・・」

「フラウインフィ・・私達の宝石を奪うって・・・嘘だよね・・そんな事・・・」

「確かに俺はお前達と同じフラウソルジャーだけどな・・俺は・・・ディオグ側だ」

「嘘・・」

ショックを隠せないフラウリリー。

「俺達の仲間だと!ディオグ様は何も言ってなかったぞ!それに前に俺達の邪魔しただろうが」

そう言うヒヤシ。

「あの時はまだ準備段階だったからな・・・あいつ等に敵だと思われたら意味がないからな・・」

「準備って・・・貴方前から・・貴方も・・・」

「今となっては正体隠す必要はないけどな・・お前達のことはずっと見てたぜ・・・」

「私のこと助けたのも・・今日のこの為なの・・・」

『霞!気持ちをしっかり持って』

心の中から話すリリス。

「状況は一変した・・二人じゃ勝ち目ないだろ？」

「璃花・・・ダークフェアリー・・一人で戦えるか」

「潤!?」

「あいつだけは許せない・・・誰であろうと一発やらないと」

そう言うフラウサニー。

「そうか・・」

と、突然宙にエネルギーを放ったフラウインフィ。

「何だ・・・」

不思議に思うこの場のメンバー。

だが、少し離れた場所にいるフラウヴィオラにはそれが合図なのであった。

「合図ね・・」

そう呟くフラウヴィオラ。

『恵美の判断に任せるしかないというのは私としては情けないが・・・』

レットがそう言うと

「そんなことないわ・・レットがいるから・・・私は一人じゃない・・だから大丈夫」

そう告げたフラウヴィオラ。

『恵美・・・』

そしてフラウヴィオラは、すぐに攻撃の準備を始めた。

「・・この先どうなるかはわからないけど何とか出来る可能性があるなら・・・私はそれにかける」

そう言い力を込めるフラウヴィオラ。

「みんな・・」

まだ誰なのかも知らない仲間に対してそう呟いたフラウヴィオラ。

そして、意を決してフラウヴィオラは技を放つのだった。

「サイコフラウニング!!」

合わせた両腕から放たれたのは、樹の力が込められたエネルギー砲だった。

そしてその頃、フラウリリー達はというと・・・。

フラウリリーは光の膜からの脱出を計ろうとし、フラウサニーは今にもフラウインフィに戦いを挑もうとしている状況だった。

「何だ・・」

突然何かを感じたガロン。

(来たか・・・さて、どうなるかな・・)

そして、フラウヴィオラの放った遠距離攻撃はそのままフラウインフィに直撃したのであった。

「えっ・・・」

その場の誰もが突然起きたこの状況に唖然となっていた。

「おい、何なんだよ今度は」

そう言うヒヤシ。

そして攻撃を放ったフラウヴィオラは、こちらへとやってきていた。

「また来る・・今度は人の気配だ」

そう告げたガロン。

そしてフラウヴィオラは、フラウリリー達の前に姿を見せたのだった。

「えっ、何・・・五人目・・なの」

こう立て続けに状況が変わっていき、混乱気味のフラウディオン。

「・・・・・・」

無言のままチラッとフラウインフィを見たフラウヴィオラ。

(さてと・・これで整ったか・・・)

そう思いながら煙の中から姿を見せたフラウインフィ。

「あいつは・・味方か・・・それとも・・」

そう呟くフラウサニー。

『コスモ・・・これからどうするつもりだ？』

テレパシー的なものでコスモに話しかけるレット。

『お前達はまだあいつ等の味方でいい・・』

そう告げたコスモ。

『わかった・・・』

そう返事したレットは、そのことをフラウヴィオラに伝えた。

(それが湊君の指示なら・・)

と、フラウサニー達に近付くフラウヴィオラ。

「大丈夫だった？貴方達・・・」

「うん・・何とかね・・・でも五人目が来てくれて形勢再逆転よ」

そう言うフラウディオン。

だがその横で、フラウヴィオラは複雑な表情をしていたのだった。

「さぁ、どうする？霞を解放するか？」

フラウインフィにそう言ったフラウサニー。

「一人増えたからって勝った気でいるのか？」

そう言ったフラウインフィ。

「何だと・・・」

と、フラウインフィに向かおうとしたフラウサニーを制止させるフラウディオン。

「私たち同じ力を持った仲間でしょ・・今ならまだ間に合うから・・・やっと五人集まったんだし・・」

そう伝えるフラウディオン。

「何を言っても俺の心は変わらないよ」

そう告げたフラウインフィ。

そんな中、光の膜の中に閉じこめられていたフラウリリーはじっとフラウインフィを見ていた。

「違うよ・・・」

フラウリリーの言葉にフラウインフィ達はそちらを向いた。

「私・・あんまりフラウインフィとは話してないけど・・・わかるよ・・」

と、フラウインフィが

「何がわかるって言うんだ？俺の・・・」

「私を助けたとき・・ペンダント貰ったときだよ・・・あの時の私の状態だったら今みたいな作戦やらなくても宝石手に入れられたはずだよ」

そう語るフラウリリー。

『そう言えば・・』

思い出してみるリリス。

「フラウインフィの心はまだ完全に闇じゃない・・だから私が・・・」

と、真剣な目つきに変わるフラウリリー。

「何を・・」

「いいよねリリス・・・」

『霞に任せる』

心の中で話し、フラウリリーはある行動に出るのであった。