第20話:柴音恵美とフラウフェアリー
「何・・」
自分の目の前に現れたフラウフェアリーに驚いている恵美。
「・・・お前・・」
と、そのフラウフェアリーは恵美ではなく湊の側にいたコスモの方を見た。
「何だ?」
そう聞いたコスモ。
「何故選ばれたフラウフェアリーであるお前が闇側にいる」
そう告げたフラウフェアリー。
「俺はただ湊についていっているだけだ、レット」
そのフラウフェアリーに対してそう言ったコスモ。
「貴方・・・レットって言うの?」
そう尋ねた恵美。
「はい、不本意な形で貴方のパートナーになってしまって残念です」
そう言ったレット。
「まぁ、何でもいいけどさ・・ここから先は俺に従ってもらうぜ・・・恵美さん、レット」
そう告げた湊。
「すでに何か仕込んだのか」
レットがそう言うと
「あぁ、ディオグから受け取った闇の力を使ってな・・緑の宝石を通じて恵美さんの中に力を送り込んだ・・・恵美さんに協力の意思がない場合・・この黒の宝石で恵美さんの意識を操れるようにな・・・」
そう説明した湊。
「私にそんな事を・・」
「恵美さんに選択肢はないよ・・・フラウフェアリーのパートナーに選ばれた時点で戦いの運命からは逃れられない」
恵美にそう言い放った湊なのであった。
「湊君・・」
「動くときはこちらから指示を出す。それまでは自由にしていろ。行くぞコスモ」
そう告げると湊はコスモと共にこの場から立ち去ったのであった。
「私・・・どうしたら」
戸惑いを隠せない恵美。
「一度ゆっくり考えましょう・・私は恵美の味方ですから」
そう告げたレット。
「うん、ありがとう」
そう呟いた恵美なのであった。
その日の夜。
夕食を終えた恵美は自室でレットと向き合っていた。
「余り物だけど・・・パンケーキ持ってきたんだけど・・本当は食べたりしないの?」
パンケーキの乗った皿を机の上に置きながら尋ねた恵美。
「特には食べなくても生きていくことはできる。だが、食べれないわけじゃない」
そう説明したレット。
「そう・・・ねぇ、レット・・」
「どうしたんだ?」
「貴方達のこと教えて・・・湊君はどうしてあんな・・」
真剣な表情で言う恵美。
「そうですね・・・知っていることは全て・・」
レットはそう決めると恵美に説明していくのであった。
「闇のディオグを倒す・・」
そう言葉にしていた恵美。
「そう、それが俺達選ばれたフラウフェアリーの目的」
そう告げたレット。
「じゃあどうして湊君は・・」
恵美が不思議に思っていると
「ディオグの闇を受けたんだろう・・コスモの奴も従っていたしな」
そう言うレット。
「これからどうなるの・・湊君がいないと、そのディオグって倒せないんでしょ」
そう言った恵美。
「希望はある・・闇を浄化する聖なる力を持つ者がすでにこちらに来ている・・ただ」
そこまで言うとレットは恵美を見つめた。
「レット?」
「闇に従わなければ恵美の心が闇に変えられる・・・そんなことはさせられない」
「でも・・」
「恵美・・・俺にとってはパートナーのお前が大事だ・・それに自分の意思を失ってしまえばその手で仲間を傷つけてしまうかもしれない・・・」
レットの話を聞いて俯く恵美。
「だけど俺はパートナーとして恵美についていく・・恵美のやりたいように行動していい」
「レット・・・」
そしてこの日、恵美はこれからの事を考え眠れない夜を迎えることになったのであった。