第19話:見つけだされた五人目(1)
翌日。
リリスは霞と共に学校に姿を見せていた。
「もう大丈夫なのか?」
尋ねるサナー。
「はい、おかげさまで。それにこれ以上休んで霞に迷惑かけられないので」
そう告げたリリス。
「でも無理しちゃダメですよ」
心配するように言ったリオン。
「はい」
笑顔で返事をしたリリス。
昨日の一件のことを潤達には話していない霞とリリス。
フラウインフィとの約束もあったが、霞は霞なりに潤達に心配をかけたくないと言う思いからそうしたのであった。
そしてこちらも、気付かれないような感じで霞達の様子を伺っていた湊。
(とりあえず事態は落ち着いているからな・・・早いところもう一つの目的を達成しないとな)
そう考えていた湊。
しかし、霞達は静かに変わりつつある状況に気付くことなく今日も授業を受けていくのであった。
そしてこの日の昼休み。
霞はいつものように潤達と昼食を食べていた。
そして、湊はと言うと・・・。
屋上にいた。
「今日は人がいないから好都合か・・・」
と、そこに姿を見せたコスモ。
「今日探し出すのか?」
そう尋ねるコスモ。
「あぁ、すぐに見つかるかはわからないがな・・」
そう言う湊。
「では、私は隠れて様子を見ています」
「わかった・・・」
そう言うと湊は屋上をあとにするのであった。
昼休みの時間が流れる中、湊は学校の中を歩き回り自分が持つもう一つの宝石の反応を確かめていた。
「まぁ、簡単に見つかるはずはないけどな・・何とか学校内にいるって事まではわかったっていうのに」
そう言う湊。
「学校内に人が多く探せる時間も長いのは昼休みだけだからな・・・」
だが、それでもそんなにじっくり探せる時間があるわけでもないので今日は見つけることが出来ず捜索を終了する事にした。
「強い反応はないな・・この緑の宝石・・・」
取り出して眺める湊。
「もう少し早めに行動しておくべきだったか・・」
そう思いながら湊は教室に戻っていくのであった。
午後の授業も何事もなく終わり、放課後を迎えた学校。
(コスモには遠くから霞達を見てもらっているからな・・あいつ等が攻めてくれば知らせがくる・・・なら俺はこいつの適応者を見つけるだけだ)
そう考え人が減り始めた学校内を歩き始めた。
湊がそんな行動を起こしている中、霞達は何も知らず下校していった。
(さて・・)
他学年の教室も見て回り終えた湊は、ふと足を止めた。
「図書室か・・・」
直感的に何かを感じたのか、図書室内に入っていく湊。
(反応はないみたいだな・・)
軽く中を歩きながら、緑の宝玉の反応を確認していた湊。
そして、図書室を出ようとしたとき椅子に座り本を読んでいた一人の女の子の後ろを通った湊。
その時、緑の宝玉が淡い光を放ったのであった。
「!?」
一瞬驚き足を止めようとした湊だったが、そのまま通り過ぎ本棚の陰に隠れて様子を伺った。
「同学年じゃないみたいだな・・・詳しい情報は今はない・・明日調べるか」
そう決めた湊は図書室を出て、自宅へと帰宅していったのであった。
その日の夜。
湊は自宅にて考えていた。
「とりあえず緑の宝石が反応した奴はわかったわけだが・・」
「湊・・・」
と、湊の目の前に現れたコスモ。
「コスモか・・明日必ずあの女子をこちら側に引き込む」
そう告げた湊。
「了解した、湊」
そして・・・。
翌日。
湊はいつもより早く学校へと来ていた。
「霞達はまだ来ていないな・・コスモ!」
それを確認した湊はコスモを呼んだ。
「湊、どうやる?」
やってきたコスモは尋ねた。
「俺の考えが正しければ昼休みもあいつは図書室にいるはず・・・その時にコスモはそいつの顔を覚えておけ・・そして午後の授業開始の段階で霞達のパートナーが教室内に揃っているなら合図を出す・・・それからコスモはそいつのことを調べるんだ」
「了解した」
了承するコスモ。
そして時は過ぎ、昼休みの開始のチャイムが学校内に響いていったのであった。
「さて・・・」
湊はすぐに図書室へと向かった。
「昨日の女子は・・あそこか」
昨日見つけた女子の姿を発見した湊。
「コスモ・・・」
湊が呟くと、湊の肩の上に現れたコスモ。
「彼女が・・」
「あぁ、顔を覚えておいてくれ」
もう一度緑の宝石が反応していることを確認しながらそう言った湊。
「よし、戻るか」
「では私も再び待機しています」
と、姿を消したコスモ。
最後にその女子を見ながら退室していった湊。
そして、昼休みも終わり午後の授業がスタートした。
ちらっとクラス内を見ていった湊。
「霞達のパートナーは・・・三人ともいるな・・よし・・・」
湊はコスモに対して強く念じた。
「湊からの合図・・行動開始だ」
そう呟きコスモは学校内を進んでいくのだった。