第15話:一時の休息
前回の激しい戦いを何とか乗り越えたフラウチームの面々。
そんな中、静かな街中を歩いていた霞と潤。
「身体はもういいの?」
潤に尋ねる霞。
「それは問題ないさ」
と、潤の肩の上にいたサナーが答えた。
「どういうこと?」
また尋ねる霞。
「潤は霞を助けた後倒れただろ」
サナーがそう言うと頷く霞。
「潤はただ倒れてただけじゃなかったしな・・・」
そう告げるサナー。
「気付いてたのか?」
驚いたように言う潤。
「俺はお前のパートナーだ、だからこそ俺も余計な手出しはせずにエネルギー回復してたしな・・」
自慢げに言うサナーであった。
「まぁ、あの戦いの後私もサナーも自分のエネルギーで霞達を回復させたから今元気に動けるんだけどね」
そう説明するリリス。
「ありがとうリリス」
お礼を言う霞。
「サナー・・・なら何で璃花は・・」
静かにそう告げる潤。
「そうだよね・・・私と同じ状態だったのに・・」
霞も不思議に思っていた。
「それは私達も可能性の段階でしか説明できないんだけど・・・」
そう言うリリス。
「うん・・」
真剣な表情で話を聞こうとしている霞と潤なのであった。
「璃花は霞より長い時間闇と一つになってた・・・これが理由の一つ・・それはわかる?」
尋ねるリリス。
「うん、わかるよ」
そう返事する霞。
「でもそれだけであれだけ霞と差が出るとは思わないんだが・・」
そういう潤。
「もう一つは・・・精神面だ」
きっぱりそう告げたサナー。
「精神?」
不思議に思う霞。
「霞・・正直に話してほしいの・・・闇の力と一つになっているときの気持ち」
そういうリリス。
「サナー・・」
「黙って聞いてろ潤・・・いくら闇によるジョイントフェアリーでも俺たちのそれと同じで意識はある・・闇により作り出された人格が身体を支配していても意識は残っているんだ」
そう説明していったサナー。
「えっとね・・・私ずっと暗いところにいたの・・外の様子はわからなくて・・・怖かったのかな・・でも、中にいる時・・・」
「もういいよ霞・・ありがと」
「うん・・・」
静かに話を聞いていた潤たち。
「リリス・・もう一つだけいいかな・・・」
「?」
「私ね・・きっと助けてくれるって信じてたから・・・」
「霞・・」
「霞は闇の中でも光を見続けていた・・・」
そういうサナー。
「でもそれなら璃花だって・・」
潤がそういうと
「これは私の勝手な意見だけど・・・璃花の心の奥には光と逆の闇まではいかないけど【陰】を持ってたんだと思うの」
そう告げるリリスなのであった。
「心の陰か・・・」
そう呟く潤。
「フラウの力は精神力・・つまり心の力が重要なんだ」
そう告げるサナー。
「私の中の【友情】・・・潤君の【勇気】・・璃花ちゃんの【愛情】・・・」
確認するように言う霞。
「霞・・」
「どうしたの?潤君」
尋ねる霞。
「少し用事ができた・・・悪いんだけど・・」
潤がそう言うと
「うん、いいよ。じゃ、今度会うのは明日の学校だね」
「霞・・・あぁ」
笑顔の霞に対して笑顔で答えを返した潤。
そして、潤は来た道を戻っていったのだった。
「潤ってもしかして・・」
リリスがそう呟くと
「わかってるよ。潤君は優しいんだから」
そう言うと霞は笑顔で自宅へと戻っていったのだった。
そしてこちらは潤とサナー。
二人は現在璃花の家の前に来ていた。
いきなり戻ってきた潤に驚きながらも、部屋に招き入れた璃花。
そして璃花はベッドの上に座った。
「びっくりするじゃない・・・大体この姿私だって恥ずかしいんだからね!霞だったら隠れちゃうわよ」
元気な声でそう言う璃花。
ちなみに璃花の今の服装はパジャマである。
「ちょっと話がしたかったからさ・・」
「話ですか?」
不思議な表情を見せるリオン。
「サナー、リオン・・・」
潤の言葉にサナーがいち早く反応した。
「リオン行くぞ」
「わっ・・・引っ張らないでくださいよ〜」
リオンと共に部屋を出たサナー。
「な、何よ・・2人っきりでの話なの・・・」
いきなりの状況に璃花も多少動揺していたのであった。
「あぁ、まあな」
笑顔で言う潤。
「何なのよ・・・」
少し顔が赤い璃花。
「・・・・・」
少しの間静かな時間が流れていった。
「いきなりこんな事伝えるのは変かもしれないけど・・俺は霞のことが好きだ」
そう告げた潤。
「そ、そんな事はもう知ってるわよ」
ちょっと慌てたように答えた璃花。
「だけどな・・・俺はちゃんとお前から聞いていないから・・」
潤がそう言うと
「何をよ・・・」
そう聞く璃花。
「お前の気持ち・・」
「私の・・・」
「あの時はサナーの力の影響で・・お前の想いを聞いたけどな」
「あれは・・・////」
顔が赤くなる璃花。
「だからちゃんと聞きたいんだ・・お前の気持ちを・・・」
潤の表情は真剣だった。
「潤にそんな顔は似合わないわよ・・潤は笑って霞の側にいればいいのよ」
そう言うとベッドから降り立ち上がった璃花。
「璃花・・・」
「私・・好きだったよ・・・ううん、霞がこっちに引っ越してきて・・潤と一緒にいるようになって気づいたのよ・・・潤への気持ち」
そう語る璃花。
「そっか・・」
「霞は・・・不思議な子なんだから・・」
そう言い微笑んだ璃花。
「ありがとうな・・・璃花」
「私は平気よ・・どんなことがあっても二人を応援するから・・・」
「でも今は・・この戦いを終わらせるのが先だけどな」
「うん、頑張っていこう」
新たに決意を固める璃花。
「じゃ、明日学校でな」
「ちゃんと霞を守りなさいよ」
「おぅ」
そして帰って行く潤を見送る璃花。
「私こそありがとうだよ、潤」
そう呟いた璃花なのであった。