第14話:勇気の光(1)
『どうした?潤』
尋ねるサナー。
「まずは霞を助け出す・・・間違ってないよなサナー」
『あぁ、フラウリリーの力があれば璃花の闇も浄化できるからな』
そう告げるサナー。
「あと一つ・・確認いいか?」
『?』
いつもと違う雰囲気を不思議に思うサナー。
だが、そんな暇を与えないかのようにダークリリーとダークディオンが攻撃を仕掛けてきたのだった。
「待ってろよ・・・助けるからな」
そう呟きながら攻撃に耐えるフラウサニー。
『潤・・何を考えてるんだ・・・』
「サナー・・宝石はどんな力でも・・・負荷がかかっても壊れないんだよな」
『当たり前だ・・大事なフラウフェアリーの宝石だから・・・って、潤・・・』
と、突然フラウサニーが
「リリス!リオン!」
そう叫んだのだった。
「リリスさん・・フラウサニーが」
そう言うリオン。
「リリス達の力が必要なんだ。力を貸してくれ!!」
さらに叫ぶフラウサニー。
「リオン、いくわよ」
そう言い飛び出そうとしたリリス。
だが、ダークフェアリーのガロンとキキが立ちはだかるのだった。
「お前達は通さないと言ったはずだ」
「そうだぜ、何もしなければお前達は傷つかずにすむんだ・・・」
そう言うガロンとキキ。
「通してもらいます・・どんなことがあっても・・・」
と、その時リリスの身体が何かオーラのような光に包まれていったのだった。
「何だ・・・あれは・・」
驚いているガロン。
「行きます!!」
いきなり突っ込んできたリリス。
「突っ込んできたって俺達には・・・」
キキがそう言うと
「すぐにかわすんだ!!」
ガロンが叫んだ。
しかし、リリスの突撃スピードは思ったより速くガロンとキキはリリスがまとうオーラに弾き飛ばされた。
そして屋上の壁に叩きつけられたのだった。
「グッ・・何だ今のパワーは・・・今まで戦ってきて・・あれほどの力は・・・」
初めて見せたリリスに驚きを隠せないガロン。
そして、フラウサニーの元にやってきたリリスとリオン。
「なんか凄かったな・・さっきの・・・」
そう言うフラウサニー。
「それで・・何をするつもりなの?」
尋ねるリリス。
「上手くいくかわからないけどな・・・リリス・・お前の力も・・・俺の中に加える・・」
フラウサニーの発言に驚くリリスとリオン。
もちろん潤とジョイントフェアリーしているサナーも驚いていた。
『潤!そんなことしてみろ・・・お前の身体が持たないぞ』
そう告げるサナー。
「他に手がないだろ・・ダークソルジャーに通じる力を持ってる今の俺にリリスに光の力を加えれば霞を助けられる・・・そしたらあとは霞に任せればいい・・俺が力つきたとしても・・・霞なら・・」
そう言うフラウサニー。
『潤・・・』
「ちょっと・・そんな妖精達と遊んでないで私達と遊びなさいよ」
そう言うダークディオン。
「わかった・・・私やるわ」
そう言ったリリス。
「リリスさん・・」
「フラウサニー・・・指示をお願い」
「あぁ、リリスは自分の力を俺に送り込んでくれればいい・・さっき見せたような光のエネルギーを俺の中にある橙の宝石に送り込むような感覚で・・・」
そう説明していくフラウサニー。
「わかった」
「みなさん頑張って下さいです」
そう言うリオン。
そしてフラウサニー達は仲間を救出する作戦を開始するのであった。
「いいぜ・・・リリス・・」
多少緊張している様子のフラウサニー。
これからやることが自分にどんな影響を及ぼすかわからないからである。
「いきます・・・」
リリスも真剣な表情で、フラウサニーに力を送り込んでいった。
「橙の宝石に力を送り込むイメージ・・」
そしてそんな様子をじっと見ていたダークリリーとダークディオン。
「つまんないよ〜」
そう言うダークリリー。
「そうね・・・遊んでくれないならこっちから遊びに行くわよ」
フラウサニー達にそう告げるダークディオン。
「何だかまずい雰囲気ですよ」
ちょっと慌てるリオン。
「慌てるなよ・・少し待ってたら思い切り遊んでやる・・・最高に楽しいはずだぜ・・」
ダークリリー達にそう言うフラウサニー。
「早くしなさいよね」
少しプンスカ気味に言うダークディオン。
『潤・・・身体は大丈夫なのか?』
心配するサナー。
「俺は男だぜ・・霞達よりタフだからな・・・それよりサナーの方こそ影響ないのか?」
逆に尋ねるフラウサニー。
『俺達フラウフェアリーは元々力を持っているんだこれくらいなら人間よりは耐えられる』
そう答えたサナー。
「そっか・・」
少しほっとしたフラウサニー。
と、サナーが
『リリス・・・霞とのジョイントフェアリー・・それから技の使用のエネルギーを残しておけよ・・・潤の作戦の成功の鍵は・・』
そう言うと
「わかってるよ・・・本当は休ませてあげたいけど・・霞なら潤と同じで自分の身体がきつくても仲間を助けると思うから」
そう感じていたリリス。
「さすがにきついな・・・でも感じるぜ光の力・・」
フラウサニーの中で膨らんでいく光のエネルギー。
『もういいぜ・・・あとはこれからのに残しとけ・・潤!!』
「バッチリだぜ・・・少し身体が痛いけどな・・じゃ・・・最高の遊びをしてやるぜ・・ダークソルジャー!」
そう言いはなったフラウサニーなのであった。
「やっと遊んでくれるんだね♪」
そういうダークリリー。
「あぁ、その前に・・リリスとリオンは離れているんだ。巻き込まれないようにな」
そういうフラウサニー。
「わかった」
了承したリリスとリオンはフラウサニー達から距離をとった。
「それじゃいくよ!!ダークサイクロン」
ダークディオンが放った闇色の風が、フラウサニーに襲いかかる。
「サンシャインバースト」
なるべく力を抑えて技を放った。
空中でぶつかり合う技と技。
そして、爆発と共に辺りは煙に覆われていった。
その隙に最初に攻めてきたダークディオンを無視してダークリリーの方に向かうフラウサニー。
と、突然目の前に現れたダークリリー。
「私も行くよ♪」
構えるダークリリー。
と、フラウサニーはダークリリーの肩を掴むとそのまま自分の後方へ送り出した。
その勢いでバランスを崩したダークリリーだったが、上手く態勢を立て直していた。
「今度こそっ」
やる気を増してフラウサニーに攻撃しようと振り返った。
だがその時、フラウサニーはすでに攻撃の準備が整っていたのであった。
「えっ・・」
驚きの表情を隠せないダークリリー。
「何を考えてるか知らないけどさせない!」
と、そこに飛び込もうとするダークディオン。
「今の俺達の力じゃ一人の闇を浄化出来る・・・かもぐらいだからな・・璃花・・・お前は霞が必ず救ってくれるから」
そしてフラウサニーは、狙いを外さないようにしっかりダークリリーを視界におさめていた。
「いくぜ、俺とリリスの力の融合・・ライトニングバースト!」
放たれたのは強力な光属性の波動だった。
その力はフラウリリーが放つセイントフライヤーよりも上のようであった。
「グッ・・・」
しかし、強すぎる技はフラウサニーにダメージを与えていた。
「ううっ・・何これ・・・何かが入り込んで・・」
光の力を受けその影響が出ているダークリリー。
そして止めようとしていたダークディオンは、攻撃時の光で目がくらんでいた。
『何だと・・・この力・・宝石の中の闇まで消されるって言うのか・・・』
霞とジョイントフェアリーしていたヒヤシはかなり焦りを見せていた。
「さぁ・・我慢比べだよな・・・俺の力が尽きるか・・霞に与えた闇が尽きるか」
身体にダメージがたまっている状況ながらも、その瞳はしっかりとダークリリーを見ていたフラウサニー。
「おい、ガロン・・・早く加勢しないとまずいぜ」
そう言う屋上にいたキキ。
「今のフラウ達の能力は最大に発揮されている・・今飛び出していってもリオン一人に止められてしまうだろう・・・」
そう考えるガロン。
と、次の瞬間ダークリリーを包んでいた光が弾け、その眩しい光が辺りに拡散していったのであった。