第1話:日常での出会い(2)
「では、今日はここまで。寄り道せずに帰れよ」
そう告げる先生。
そして各々下校していく生徒たち。
「霞、一緒に帰ろっ♪」
元気よく霞の元にやってきた璃花。
「今日は潤君と一緒じゃないんだね」
「潤は今日用事があるってさ」
と、いうことで二人仲良く下校する霞と璃花。
「霞っていつも彼方と登下校してるんだっけ」
尋ねる璃花。
「うん、殆ど終わる時間一緒だから・・・先帰ってていいのにいつも待ってるんだよね」
「でもいいじゃない弟がいるのって」
「そうかな・・」
楽しく会話しながら彼方の通う小学校前まできた二人。
「じゃあ、私は行くね、仲良し姉弟の邪魔はしないわよ」
そういうと走り去っていった璃花。
「もう、璃花ちゃんったら」
「あっ、お姉ちゃん」
「お待たせ彼方」
そして家までいつもと同じように帰っていく霞と彼方。
だが、この時霞の・・・霞達の運命を変えるものが近づいている事などまだ、誰も知らないのであった。
彼方とともに帰宅した霞。
夕食までの間二人はゲームをして楽しんでいた。
「彼方強すぎるよ・・・」
「ヘヘッ」
自慢げに笑う彼方。
そして夕食を済ませ、霞はお風呂に入っていた。
【今日も一日楽しかったよね・・璃花ちゃん元気すぎだし】
のぼせないうちにお風呂から上がり、自室にて宿題をやる霞。
隣の部屋では素早くお風呂を済ませた彼方が宿題をやっていた。
【時々彼方が教えてって来るんだよね・・・こういうときしかお姉さんらしく出来ないのって・・】
「・・・っと・・明日は日曜日だし・・・またお散歩に行こうかな」
そんな休日の予定を考えながら、霞はベッドの上で眠りにつくのであった。
翌朝。
「う〜ん、気持ちいい」
起きて思い切り伸びをする霞。
「おはようお姉ちゃん」
「うん♪おはよう」
朝から笑顔な霞。
そして朝食を食べるとすぐ出掛ける準備をする霞。
「お姉ちゃん・・今日も散歩なの?」
尋ねる彼方。
「そうだよ♪お休みの日にお散歩すると気持ちいいから」
そして元気よく出掛けていった霞。
霞の散歩ルートは大抵決まっていた。
途中まではその日の気分によって変わったりするが、最後は決まって街外れの林に向かうのだった。
「ここは空気がいいよね♪」
さらに元気になる霞。
と、空を見上げていた霞は何かが流れていくのを見た霞。
「流れ・・・星?お昼なのに・・」
不思議に思い首をかしげた。
と、その光は林の方に落ちていった。
「・・・・・」
何があるのかわからないが、興味もありその場所へと向かう霞。
そして光が落下した場所には穴が開いていた。
「そ〜っと・・・」
穴の中を覗き込む霞。
「何・・青色の・・・宝石?」
穴の中から宝石を取り出した霞。
「よくわからないけど・・とりあえず持って帰ろう。明日璃花ちゃん達に見せようかな」
などと考えながら帰宅していく霞であった。
その日の夜・・・。
帰ってきた後霞は、青色の宝石を机の引出しにしまっていた。
そしてお風呂を終えた霞は自室へと戻ってきた。
「これなんだろう・・」
青色の宝石を机の上に置き眺める。
「っていうより何で空から落ちてきたんだろう」
と、疑問を持っていた。
だが、そんなとき青色の宝石が突然淡く光を放ち始めたのだった。
「えっ!?何、何」
慌てる霞。
しかし、青色の宝石の光を見ていく内に慌てていた気持ちが消えていった。
と、言うよりもその光に意識を奪われていっている感じだった。
「ぁっ・・・」
小さな声を上げる霞。
自分の状態を知りながらも、何も出来ないでいた。
『私を・・呼んで』
突然聞こえてきた声に反応する霞。
と、光を放っている宝石に手を伸ばす霞。
『私を・・・』
虚ろな瞳をしながらも、宝石を掴んだ霞。
と、その瞬間光は消え意識を取り戻した霞の前に小さくて可愛い生き物が立っていたのだった。