第9話:能力0で無人島!?(1)
「ん・・」
あれからどれくらいの時間が経過したのだろうか。
ふと、目を覚ました霞。
辺りを見渡すとどうやら砂浜のようだった。
「私・・・確か・・」
思い出してみる霞。
「そうだ!竜巻に・・・」
頭がだんだんすっきりしたところで、何か違うことに気付いていた。
「海の家がない?」
そして、遼くを見てみても建物一つなかったのだった。
「ほえ?」
中々状況が整理できない霞。
と、その時
「お姉ちゃん大丈夫」
「彼方!?」
驚く霞。
よく見ると詠二や美奈が砂浜の上で気を失っていたのだった。
「彼方は大丈夫なの?それに・・」
「二人とも気を失っているだけだよ・・・でも僕たち・・」
「彼方・・・」
彼方から今の状況を知る霞。
そして、こちらは・・。
「・・・つい、助けていたか・・」
そう呟いたガロン。
そして、ガロンの隣にはリリスが気を失って倒れていたのだった。
「お前に死なれると青の宝石も力を失うからな・・・しかし・・これからどうやって戻るかだな・・・」
それを考えるガロンなのであった。
そしてこちらは竜巻を止めようとしていた潤達。
このメンバーは海辺から離れた森の中にいた。
「いてて・・・」
起き上がる潤。
と、近くに璃花が倒れていたので近くまで行き声をかけた。
「おい、璃花!」
「ん〜・・」
ゆっくりと瞳を開く璃花。
「大丈夫か?」
「うん・・・頭がぼーっとするけど・・何とか」
そういいながら立ち上がる璃花。
だが、身体の調子が悪いのかフラフラしていた。
「二人とも目を覚ましたか」
「ん?」
ふと木の上を見た潤。
と、そこにサナーとリオンが立っていたのだった。
「サナー達も無事だったのか」
「まぁな・・・」
「でも私たち・・」
リオンが何か言おうとしたその時、木の陰からヒヤシが飛び出してきたのだった。
「見つけたぜ・・・宝石を渡しやがれ」
「本当にしつこいわね!」
「サナー!」
潤と璃花の前に降り立つサナーとリオン。
「ザレア・・ここであいつらを・・・」
そういうヒヤシだが、後ろにいたザレアは無言だった。
「おい、ザレア・・」
「お互いフェアリー同士・・・力が0なのはわかっているようですね」
そう告げるザレア。
「リオン・・」
「すみませんです・・・今の状態では変身どころかフラウフェアリーの力も・・」
「それどころかなここは無人島らしい・・・」
そんな事実を潤達に告げるサナーなのであった。
「無人島だと」
驚く潤。
「ザレア・・無人島って何だ?」
尋ねるヒヤシ。
「全く人の住んでいない島・・・名前の通りね」
そう説明するザレア。
「誰もいないなら思い切り戦えるな」
喜んでいるヒヤシ。
「物事は単純じゃないわ・・今私達の力は0・・・飛行すら出来ない・・もちろんディオグさまの元へ帰るためのゲートも開けない。力が回復するか助けが来るまでここにいる事になるわね」
そう告げるザレア。
「もしかしてリオン達も・・・」
璃花が言うと
「はいです・・」
「リリスの姿も見えないし・・・霞達も」
「霞・・」
「そういやガロンもいないぜ」
そういうヒヤシ。
「あの竜巻で別の何処かに・・・」
「サナー・・」
「今は生きることだけ考えろ・・・」
厳しい表情で言うサナー。
こういう訳で竜巻に巻き込まれた三チームは、それぞれで無人島生活をする事をよぎなくされたのであった。
そしてこちらは霞達。
詠二と美奈も目を覚ましていた。
「私たちもう帰れないのかな・・・」
ついそう思ってしまう美奈。
「その点は・・多分問題はないと思うよ。霞ちゃん、美奈ちゃん」
そう告げる詠二。
「どういう事?」
尋ねる霞。
「携帯電話は壊れたみたいだけど、もしものための発信器をつけておいた。発信器はそう簡単に壊れないからあとはそれをたよりに助けに来てくれれば・・・」
今のところそれしか助かる道はないのだった。
「!?」
ふと疑問に思った霞。
「どうしたの?お姉ちゃん」
「ん・・何でもないよ彼方」
笑顔でそういう霞。
(そういえば何で私達無傷なんだろ?・・・砂浜がクッション代わりっていうのもあるだろうけど・・リリスもいないのに・・・もしかして青の宝石の力なのかな)
と、いろいろ考えていた霞。
そしてそんな霞を心配そうに見ていた彼方。
(潤君や璃花ちゃんもいるかもしれないし・・見つけないとね)
そう意気込む霞なのであった。
場面は変わって・・。
「・・・んっ・・」
「お目ざめか?フラウフェアリー・リリス」
「!?」
と、驚き飛び起きたリリス。
「あまり動くな・・・」
「あなた・・」
と、自分の身体を見るリリス。
「怪我の手当・・・貴方が・・」
「お前が命を失えば青の宝石が力を失うからな・・・」
そういうガロン。
「でも、貴方だって傷が・・」
そういうリリス。
「我は地の力を与えられたダークフェアリーだ・・・防御は一番高いからな」
「ありがとう」
素直な気持ちでそう伝えたリリス。
「礼はいらない・・我々は敵同士だ」
「でも貴方はあの竜巻の中私を守ってくれた・・・だからお礼を言ったの。敵味方関係ないの」
「おめでたいやつだ・・とはいえここには人の住んでいた形跡がない・・・厄介な事になる・・」
と、リリスが
「ガロン・・・貴方は私を守るために全ての力を・・」
「数日休めば回復する・・・それにこちらにはキキがまだいる・・お前も早くパートナーと合流するんだな」
「一緒に行きましょう」
「何?」
「力がないままで一人でいるのは危険ですから」
「・・・」
無言のガロン。
「ねっ」
「仲間と合流するまでだ・・」
そう呟き了承するガロンなのであった。