第8話:真夏のイベント1・海(3)
「へへっ・・見つけたぜ璃花・・・対処法」
そう告げたフラウサニー。
「対処法・・って・・・」
「ヒヤシ・・」
「心配ないぜ・・・この作戦に失敗はない」
何故か自信満々なヒヤシ。
「二人とも負けないで」
そう願っているリリス。
「ザレア!次で決める」
「えぇ」
と、今まで以上の風を巻き起こし海の水を巻き上げた。
「潤・・確かにあの時はそうだったけど・・・私たちの場合は・・」
少し不安なフラウディオン。
「今霞はいないんだ・・・だから・・これが俺達に出来る最大の攻撃だ」
「潤・・・うん、やるしかないよね・・ううん・・・やろう!!」
意気込むフラウディオン。
と、フラウディオンも風を巻き起こし始めた。
「私に張り合うつもり?無駄よ・・」
「それはどうかしらね」
海の上で吹き荒れる風。
「まさか・・・あいつ・・」
そう呟いたガロン。
「何考えてるかしらないがな・・・俺の冷気で凍えて砕けろ」
そして、ヒヤシは冷気を全開で放った。
「俺との相性忘れたのかよ・・なら、今もう一回みせてやるよ!」
「やって!潤!」
「おぅ!サンシャインバースト!!」
フラウサニーが放った攻撃は、フラウディオンの風と一つになり更なる攻撃へと進化したのだった。
「名付けてバーストサイクロン」
新たに吹き荒れる炎熱の嵐。
「そんな嵐ごときに俺達の氷結の嵐が負けるか!」
二つの強大な嵐が、海上でぶつかりあった。
そして、その余波は霞達のいる場所にまで及んでいた。
「急に風が出てきましたね・・」
そう呟く詠二。
「潤君・・・璃花ちゃん・・リリス・・・」
心配そうに海を見つめている霞。
「海から離れた方がいいみたいだよ」
霞達にそう告げる彼方。
「えっ」
驚く美奈。
「天気が・・大きく変化するから・・・」
空を見て言う彼方。
「彼方君の言う通りにした方がいいかもね」
彼方の意見に納得の詠二。
そして戦いの場では・・。
さらに激しくなっていた炎熱と氷結の嵐のぶつかり合い。
フラウサニー・フラウディオン、ヒヤシ・ザレア共に自分の力をフルに出していた。
「今回は粘るな・・・ダークフェアリーのやつ・・」
『リオン、残りの力は大丈夫か?』
尋ねるサナー。
『もう少しだけ大丈夫です』
「ザ、ザレア・・・」
「こちらも全開だ・・これ以上は・・・」
そしてまだ誰も気付いていなかった。
この戦いが大変な事態を引き起こすということを。
そして・・・・。
嵐と嵐のぶつかり合いは、更なる嵐を生み出していた。
海の上で熱と冷気の余波を受け、力を増していく嵐。
「何だ・・この感じ」
戦いに集中していたフラウサニーだったが、ようやく今の事態に気付いた。
「これって・・・」
「予想外の事態だ」
そう告げるリリスとガロン。
「璃花!状況がおかしい」
「おかしいって・・!?」
辺りを見て驚くフラウディオン。
「おい、ガロン!これはどういうことだよ」
ガロンに尋ねるヒヤシ。
「おそらくは熱と冷気のぶつかりあいが原因だ・・・それでああなった」
海の上の巨大な竜巻を示すガロン。
そしてこの竜巻は生きているかのようにこちらに向かってきていた。
「潤どうするのよ」
「どうするって・・」
竜巻は複数出現しており、それぞれ別々に動いていた。
「璃花!このままだとあっちに・・・」
「霞達の方には行かせない」
と、フラウサニーとフラウディオンは自分達の技で竜巻を止めようとしていた。
「こんな竜巻・・凍りやがれ」
冷気を放つヒヤシだが、さっきまでの戦いでかなりの力を使っていたので竜巻を凍らせることはできなかった。
そして事態は、さらに悪くなっていくのである。
『逃げろ潤。ただでさえ戦闘の後で消耗してるんだ・・フルに力を使い切ったらまずいぞ!』
そう告げるサナー。
「今逃げたら・・・向こうに竜巻がいっちまうからな・・」
だが、複数ある竜巻を全て止めることは難しく竜巻の一つがフラウサニー達の後方に進んでいた。
「潤!竜巻が・・・」
「!?」
その事に動揺したのか攻撃の力を弱めてしまったフラウサニー。
『ダメです、このままじゃのみこまれて・・』
そして、ヒヤシ達も・・・。
「俺の力が・・」
「私の風も無意味・・・このまま・・」
ヒヤシ・ザレアにも急接近する竜巻。
そして、竜巻を回避しようと逃げていたリリスとガロン。
「ぐっ、個人の力では竜巻を砕くどころか止めることも出来ないとはな」
「霞・・・無事で・・」
逃げながらも霞のことを思うリリス。
だが、竜巻はそこにいたフラウサニー達全員を飲み込み海を突き進んでいくのだった。
「何・・・あれ」
近づいてくる竜巻に気付く霞達。
「これは・・まずいね・・・」
そう呟く詠二・
そして、竜巻は非情にも霞達も飲み込んでいってしまったのであった。
はたして、霞達はこれからどうなってしまうのだろうか。