第6話:恋心と愛情慈愛の戦士(3)
こちらは璃花の家。
ほぼ強制的に連れて来られた霞と潤。
「あっ、リリスさん、サナーさん」
「相変わらず天然的に明るいな」
サナーがそういうと
「そうですかぁ?」
「リリスとは何か違う女の子の妖精だね・・・」
そういう霞。
「さてと・・・今までの事全部話してもらうわよ」
「リリス・・」
「フラウフェアリーのパートナーになったのならちゃんと説明しないとね」
ということで、リリスは璃花に説明をしていくのだった。
そんな頃、闇の世界では・・・。
「ヒヤシはしばらくは出撃できない・・今回は我等三人で出る」
「あの一匹狼なヒヤシはいない方が連携とかはできそうだけどね・・・」
そういうザレア。
「フラウサニーだけは俺が仕留めたいけどな」
そう告げるキキ。
「機会を見て出撃する・・いいな」
そう決めたガロンだった。
「一応理解した・・・それで二人とも」
「?」
不思議そうな表情を見せる霞。
「リオン・・お前の持つ宝石は・・・」
「はい。真っ赤なのですよ」
「だとすると・・」
考え込むサナー。
「どうしたんだ?」
「いや・・・少し面倒な事になりそうだな」
そんな事を告げるサナーなのであった。
「何だよ・・面倒な事って・・・」
「潤・・」
と潤の耳元で話すサナー。
「どうしたんだよ・・・」
「お前霞から告白の返事聞いたのか?」
「なっ!?」
サナーの発言に驚く潤。
「どうしたのよ」
「何でもない・・・」
璃花の問いにそう答える潤。
「何でいきなりそんな事・・」
「よかったらついでにやってやろうと思ってな・・・」
そう告げるサナー。
「サナー、何をするつもりなの?」
尋ねるリリス。
「このままじゃ赤の宝石は輝かないと思うからな」
「?」
いまひとつ会話の内容がわからない潤。
「そうだ・・何か飲物とお菓子持ってくるから適当に話でもしてて」
と、部屋を出る璃花。
「私もいくです〜」
璃花のあとを追うリオン。
「丁度いいな・・・リリス・・霞の心を借りるぞ」
「サナー!霞に何を・・・」
と、霞を見たサナー。
霞はキョトンとした表情でサナー達を見ていた。
「何を・・」
「赤い宝石の力を目覚めさせるついでにやるだけだ」
と、手を霞に向けたサナー。
「痛くも辛くもない・・・ただ心が開放され気持ちいいだけだ」
「気持ちいい?」
するとサナーは、霞に光る粉をかけたのだった。
辺りには少し甘い香りが広がっていた。
「あっ・・」
霞は一瞬だけ、自分の変化に気付き気持ちよさそうな表情を見せた。
しかし、すぐに瞳から光が無くなり何も考えられなくなっていた。
「これが・・・霞・・」
いつもと全然違う霞を見て驚く潤。
「どうだ?霞」
尋ねるサナー。
「何だか・・・気持ちいい」
そう答える霞。
「俺がお前にかけた力はお前の心を素直にする・・お前は潤をどう思っている?」
静かに問うサナー。
「私・・・潤君の事・・好き・・・だよ・・」
そう呟いた霞。
「サナー・・・」
「言わせてはいるがこれは霞の本心だ・・」
「潤君・・・頼りになるからリリス達と出会う前も出会ってからも・・」
と、そんな時ドアの外で話を聞いていたのか、璃花がジュースとお菓子を持って部屋に突入してきたのだった。
「ちょっと潤!貴方・・」
ジュース等を乗せたお盆をテーブルに乗せると、潤に迫る璃花。
「ちょっと待て。どこから聞いてたか知らないけど・・・これは・・」
と、その時
「ダメ・・・潤君・・いじめないで」
そう告げた霞。
「霞・・・」
と、潤を再び見る璃花。
「霞に何したのよ・・」
「だから・・・」
そんな話をしている間に、サナーは璃花にも同じ光る粉をかけたのだった。
「何・・よ・・・」
「サナー!?」
「こっちが本来の目的だからな」
「い・・や・・・」
自分の異変に気付き、精神で抵抗している璃花。
「抵抗は苦しみだ、霞のように素直な自分を見せろ」
「霞・・」
虚ろな表情の霞を見つめる璃花。
そして璃花もまた、その力に負け霞と同じ状態になってしまったのだった。
「いや・・・離れないで」
突然そう呟いた璃花。
「璃花?」
と、いきなり璃花が潤に抱き付いてきたのであった。
「おい、璃花」
「いや!絶対に・・」
だが、そんな璃花を止めようとした霞。
「離れて・・・私の大好きな潤君から・・」
この事態にどうしたらいいかわからない潤。
リリスとリオンもただ見ているだけしかできなかった。
「そろそろ頃合いか・・・」
そう呟いたサナーは、霞と璃花にかけた力を解除した。
「あれ・・」
「あっ・・・///」
キョトンとしている霞と、顔を赤くしている璃花。
「おい・・霞・・・璃花・・」
「!?」
と、いきなり部屋を飛び出していった璃花。
「璃花!」
そして璃花は、家も飛び出して走り去ってしまった。
「待ってくださいです」
慌ててあとを追うリオン。
「サナー、俺達も」
だが、何も言わないサナー。
しかし、リリスも同様だった。
「来るか・・・」
「こんな時に敵だと・・サナー!」
「あぁ」
潤は変身して飛び出していった。
「霞・・・戦える?」
「うん・・」
そう答えた霞であったが、明らかにその言葉には元気がなかったのであった。