第6話:恋心と愛情慈愛の戦士(1)
「ねぇ、美奈ちゃん」
「どうしたの?」
「璃花ちゃんどこに行ったかわからないかなって思って・・・」
と、美奈は
「昼休みになってすぐに教室出ちゃったみたいだけど・・」
「そっか・・・一緒にお昼ご飯食べたかったけどな」
ちょっと残念そうな霞。
その後霞は、美奈とお昼ご飯を食べるのであった。
そして、同時刻。
学校内にある食堂。
「珍しいこともあるものだね・・璃花が僕だけを昼食に誘うなんて・・・」
「詠二、早く食べないと冷めるよ」
不機嫌そうな表情でそう言う璃花。
「・・何かあったのか?」
「別に・・・」
そう答えた璃花。
「いつもの君らしくない行動だね・・何故霞ちゃんや潤を避けているんだい」
「避けてなんか・・・」
そう言う璃花だが、詠二にはバレバレだった。
「何があったかはしらないけど・・・」
「ごめん詠二、ちょっと私、不安定になってた・・ありがと」
そして少し笑顔を見せた璃花であった。
そして、放課後。
霞は日直のため教室に残っていた。
そんな中、今日は一人で帰ろうとした潤の前に璃花がやってきたのだった。
「どうしたんだ璃花・・・霞なら・・」
「今日は・・・潤と一緒に帰ろうかなって・・」
特に断る理由もない潤は、璃花と下校することにした。
「久しぶりだよね・・・一緒って」
「言われてみるとそうだな・・」
あまり会話もなく歩いている二人。
そんな様子をサナーが肩の上から見ていた。
「ねぇ・・・潤・・」
「ん?」
「霞の事・・・どう思ってる」
「!?」
いきなりそう聞かれて驚く潤。
「どうしたんだよ・・急に・・・」
「転入してきてから・・ずっと潤が霞の事気にしてたの知ってるから」
「璃花・・・」
「でも、最近になってなんだか一気に気持ちが接近したって言うか仲良くなったでしょ・・どうして?」
「それは・・・」
成り行きというか突発的に霞に告白してしまった潤。
さらに、現在は同じ秘密保持者として一緒にいる機会が多くなっているのだった。
「潤、教えて・・私だって」
「璃花・・・お前・・」
璃花の心を察したからなのか、どうしたらいいかわからない潤。
だが、こんな状況の時でもお構いなしに敵はこの地に現れるのである。
「潤!ダークフェアリーの気配だ・・行くぞ」
と、先に飛んでいってしまったサナー。
「悪い璃花・・・用事ができた・・また明日な・・・」
「えっ・・」
潤は璃花にそう告げるとサナーを追い掛けていったのだった。
「私は・・・」
そして、ただその場に立ち尽くす璃花なのであった。
「おい、サナー!」
「悪かったと思ってはいたがダークフェアリーを放ってはおけない・・それにリリスの気配も動いている」
「霞もか」
そして、その場に急ぐ潤であった。
「で、何で俺がガロンと組まないといけないんだ?」
ガロンに疑問をぶつけるヒヤシ。
「ディオグ様からの指示だ・・・」
「まぐれ炎の物質化に警戒ってことか」
「まぐれにしろ何にしろ不利な属性である【地】の攻撃を受け止めた【火】の物質化した防御・・」
「物質化しやすい俺達が相手って・・・」
「フラウバスター!」
と、ヒヤシのすぐ横をフラウリリーの攻撃が通過していった。
ちなみにガロンは、いつの間にかヒヤシから距離をとっていた。
「ガロンの事はおいておくとして・・正義の戦士が会話中に不意打ちとは卑怯だろうが!」
「そんなの知らないもん」
何故か言い争いになってしまったフラウリリーとヒヤシ。
ガロンはただ様子を見ているだけだった。
「ヒヤシ・・・言い争いで戦っている場合じゃなくなった」
そう告げるガロン。
「来たか・・」
「お前ら!」
そこに駆け付けたフラウサニー。
「潤君」
「待たせたな」
「ヒヤシ・・・」
「わかってるよ・・俺はフラウリリーをやる・・・最初の借りも返さないとな」
「まだ覚えてるんだ・・・」
そしてこちらは、向かい合うフラウサニーとガロン。
「またやられるか?」
「お前があの時の力を出さない限り・・俺は負けない」
そして、正面からぶつかり合う二人。
「潤君は負けないし、私も負けない」
「勝手に言ってろ・・・こっちはお前らを倒す為に色々やってるんだからよ」
と、周囲にたくさんの氷の粒が出現した。
「これって・・」
『逃げて!霞』
「落ちろ!!」
そして、一気にフラウリリーに襲い掛かる氷の粒。
「・・・・・」
「向こうの戦いが気になるか・・・前の戦い・・その時も別の何かを気にしていたな・・・そして、それが【火】の物質化につながった」
そういうガロン。
『潤・・』
「あぁ、今回は無茶しないよ」
「ん?」
「俺はあいつを信じているからな」
そう強く思っていたフラウサニー。
「どうだ・・・三百六十度・・全方位からの攻撃・・・逃げられは・・」
とその時、ヒヤシの前方から威力の弱まった光属性の攻撃が迫っていた。
「!?」
そしてヒヤシは、その攻撃を受けてしまうのであった。
「何だと・・・」
直撃したものの、威力が低かったので耐えていたヒヤシ。
そして、ヒヤシの攻撃を受けながらも空中に浮かんでいたフラウリリー。
「ダメージは受けているはずなのに・・何故・・・」
フラウリリーが落ちていない理由がわからないヒヤシ。
「ガロンだったよな・・冷静だな・・・あいつの事気にならないのか?」
尋ねるフラウサニー。
「我々には特に仲間意識等はないが・・私とヒヤシは他の二人と違い防御力が高いのでね・・・しかし」
「何だ?」
「先程は威勢よくあのフラウソルジャーを信じていると言ったが・・お前の目も節穴ではないだろう・・・背中の傷は紛れもなく彼女を苦しめている」
「・・・・・」
ガロンの言葉に無言になるフラウサニー。
『ごめんなさい霞・・何とかダメージ減らそうとしたけど』
謝るリリス。
「大丈夫・・・」
それだけ伝えるフラウリリー。
「何故・・お前は・・・」
「あなたの攻撃・・氷の粒は三分の一程度しか当たっていないから」
「!?」
フラウリリーの発言に驚くヒヤシ。
「ばかな・・・お前があの時咄嗟に【セイントフライヤー】を放ったとしても前方の氷の粒を弾くだけのはずだ・・」
『その通りよヒヤシ・・・でもね霞は・・咄嗟に技は放ってなかったのよ』
「何だと・・・」
『私が教えてあげるわ・・霞の凄さをね』
自信たっぷりにそう告げたリリスなのであった。