第5話:新たに生まれた絆と溝(2)
『潤、やつらはまだ・・・』
「あぁ、わかってる」
と、更に構えるフラウサニー。
「あいつ・・本気でやりやがった・・・」
驚いているキキ。
「フラウソルジャーは並の戦士とは違う・・しかし・・・」
と、キキは更に炎の力を感じていた。
「あいつ・・追撃を」
「サンシャインバースト!!」
力を込め攻撃するフラウサニー。
「さっきは不意打ち気味で飛ばされたが・・・俺も」
と、炎を放ち始めたキキ。
「炎属性の使い手なんだよ」
と、フラウサニーの攻撃を自らの炎で受け止めたのだった。
「今だ、ガロン」
と、岩の武装をしたガロンがキキの真上にいた。
「属性相性でいえば我等が上・・」
ガロンは岩の武装でフラウサニーの炎を粉砕したのだった。
『やはり・・・そういう属性か・・』
「属性相性が悪くてもやるしかないからな・・・霞達のためにもな・・」
そして、フラウサニーは不利な戦いへ向かっていくのであった。
「よっと・・」
突然立ち上がった璃花。
「どうしたの?」
「私午後から予定あるから」
「そうなんだ」
「美奈はどうする?」
尋ねる璃花。
「あまり長居して霞ちゃんの風邪が悪くなるといけないし」
申し訳なさそうに言う美奈。
「今日はありがとう。楽しかったよ」
「うん♪」
そういうわけで、帰っていった璃花と美奈。
そして、その上空では・・・。
「この・・」
炎属性同士のキキとフラウサニーがぶつかり合っていた。
「今だぜ、ガロン!」
と、フラウサニーの懐に飛び込むガロン。
「もらった!」
だが、寸前の所でフラウサニーは手のひらに作り出した炎で受け止めていた。
「何だよあれ・・・ガロンは【地】属性だぞ・・何で簡単に・・・」
「危なかった・・」
そう呟くフラウサニー。
「このフラウソルジャー・・・炎をここまで物質化出来るとは・・」
と、ガロンを弾き飛ばすフラウサニー。
『力・・・使い過ぎだな・・』
「あぁ、だが丁度いいぜ・・・」
「あいつから何でこんな力を・・」
「今、やつの心は我等よりも上・・・それが能力を向上させている・・このまま戦い続ければ・・・消耗戦だ・・」
「どうする?でかいの放って決めたっていいんだぜ・・・俺は・・」
「キキ、ここは引こう・・・今回は奴の心に敬意を表してな」
と、ダークフェアリー達はその場から消えるようにいなくなったのであった。
翌日。そこには元気よく階段を駆け降りる霞の姿があった。
「すっかり元気だね」
彼方の言葉に笑顔を見せる霞。
「今日は一緒に行けるねお姉ちゃん」
「うん♪」
そんな訳で久しぶりに彼方と共に登校する霞。
ちなみに霞の制服のポケットの中には、リリスが入っている。
「それじゃお姉ちゃんも勉強頑張ってね」
「彼方もね」
そう言い残し小学校の方へ駆け出していった彼方。
「久しぶりの学校・・」
今の霞に大きな不安はなかった。
潤とサナーという新たな仲間が出来たからである。
「これからも仲間・・・増えるだろうし楽しみだな」
笑顔満開で教室に入った霞。
だが、既にそこには先着者がいた。
「潤君!?」
「朝から元気だな」
「早いんだね」
と、サナーが
「誰もいない方が俺達も動ける・・別に回りのやつらには見えないが・・・」
「あっ、そうだ潤君」
「ん?」
「昨日はありがとう」
「璃花達の事か?別にあれは・・」
と、霞は首を振り
「違うよ・・・リリスから聞いたの・・昨日・・・戦ってたんでしょ・・私達の為に」
するとリリスが
「気配は感じていたんだけど霞には伝えられなかったし・・・でも凄いわね」
「当たり前だ・・俺のパートナーだ・・・しかし、まぁ驚いたこともあったがな」
そういい潤を見るサナー。
「驚いた事?」
尋ねる潤。
「攻撃にも防御にも言えることだが、ついでだここで属性についても教えておいてやる」
そう告げるサナー。
「うん・・」
霞も興味を持って聞いていた。
「まずお前達が戦ったダークフェアリー・・・奴等はそれぞれ【氷】【風】【火】【地】の属性を身につけている・・いや、与えられている」
と、霞が
「与えられているって・・・」
「あのね霞、私達フラウフェアリーは元々属性は持っていないの・・」
「でも変身したあとは・・・」
潤がそういうと
「融合したとしてもそれは俺達の力ではなく宝石の力だ」
そう説明するサナー。
「で・・」
「ダークフェアリーを例にすると氷と地属性は低能力でも物質化は簡単だ」
「あいつらも・・・」
そう呟く潤。
「ねぇ、リリス・・物質化って・・・」
「えっとね・・氷とかって元々が固体でしょ」
「うん」
「自ら放つ攻撃をその固体の状態で出す・・・俺達はそれを物質化と呼んでいる」
そういうサナー。
「そして風や炎は本来物質化状態ではない・・これを物質化するにはそれなりの技術や力が必要なのだが・・・」
潤はサナーがいいたい事を理解した。
「あのガロンとか言う奴の攻撃を防いだとき・・なったからだろ」
潤の発言に驚きと感心の言葉を霞が言ったのはいうまでもなかった。
そんな時、璃花が教室にやってこようとしていた。
「下駄箱に靴あったし・・・霞も潤も早くきてるんだ」
そして、教室のドアに手をかけたとき霞の楽しそうな声が聞こえてきたのだった。
「霞・・」
少し開いていた窓から中を除いてみる璃花。
と、霞と潤は結構近い距離で会話をしていた。
「・・・・・」
そんな二人を見ていて、今までにない気持ちを持ち始めた璃花。
それが何かわからないまま、そこから立ち去った璃花。
「リリス・・・今誰か外に・・」
「そう?私は気付かなかったけど」
そう答えるリリス。
「何なのよ・・・別に友達同士楽しく話しているだけなのに・・なのに」
そんな感じのまま、いつもの学校生活が始まっていくのである。