第5話:新たに生まれた絆と溝(1)
町外れでの戦いのあと、すぐに水城家へ戻った二人。
当然だが、親に怒られていた霞。
色々と潤がフォロー(?)してくれたおかげでその場は何とかなったのだった。
翌日。
今日も霞は風邪ということにして休んでいた。
母親的には昨日出歩いて悪化しているかもしれないとのことで休ませていたのである。
潤にとっても霞が昨日のダメージがあるということで、休みになって少しほっとしていた。
「潤」
と、昼休みに声をかけてきた璃花。
その後ろには美奈もいた。
「あっ、報告してなかったな・・・」
「私達心配してるんだから・・霞・・・」
「そこまで酷くはないよ。明日の休日で確実に良くなると思う」
そう答える潤。
「そう、よかった」
喜ぶ美奈。
「潤、明日の休日・・様子見にいっていいかな」
「別に俺に聞かなくても」
「そうだよね・・・」
「どうしたんだよ璃花、いつもの元気が・・」
「潤だって・・・いつもと違う感じがするから」
璃花の発言に驚く潤。
「じゃ、私も行くね」
とりあえずこの場を和ませようと笑顔を見せた美奈。
「あぁ・・」
それだけ返事をした潤は、午後の授業は何か考えているようであった。
そして、放課後。
「潤、真っ直ぐ帰るの?」
尋ねる璃花。
「あぁ、用事があるからな」
「そう・・・」
「明日・・霞に元気分けてやれよ」
そう言い残し、教室を出る潤であった。
そして、真っ直ぐ自宅に戻った潤。
と、自室の机の上にサナーが立っていた。
「何故俺が留守番をしなければならないのだ」
抗議するサナー。
「別に留守番でもなんでもないだろ、誰にも見えないんだし」
もっともな事を言う潤。
「ん?また、出掛けるのか」
「霞の所だ」
と、サナーが
「俺も行こう。リリスと今後の事について話し合いをしたいからな」
「好きにしろ」
そんな訳で、水城家へ向かう潤とサナー。
家に着くと彼方が出て、そのまま霞の自室に向かった。
「潤君・・・と・・」
「パートナーのサナーだ」
自己紹介するサナー。
「ゴメンネ心配かけて」
「俺は別に・・・と、それより明日璃花と美奈が来るってさ」
それを伝える潤。
「明日お休みだよね・・」
「久しぶりに会うんだし楽しめよ」
「うん」
潤の言葉に、笑顔を見せた霞であった。
そして、翌日。
璃花、美奈が来る事を知っていた霞は朝からちゃんと私服に着替えていた。
「私は一応机の引出しにいるね」
「隠れなくてもいいのに」
そう思う霞であった。
しばらくして玄関の呼び鈴が鳴った。
「私が出る」
出ようとした彼方に代わって玄関のドアを開けた。
「ヤッホー、霞」
「おはよう霞ちゃん」
「いらっしゃい」
「私の勝ちだね、璃花ちゃん」
「勝ち?」
不思議な表情をする霞。
「私達を出迎えたときの服装を当てようって璃花ちゃんが」
そう説明する美奈。
「勝ちって事は美奈ちゃんは私服選んだんだ・・じゃあ璃花ちゃんは・・・」
「もちろんパジャマ」
「ぱじゃま・・ね・・・」
苦笑いの霞。
潤から今日の事を聞いていなければ、パジャマでいたであろうからである。
「とにかく上がって」
「お邪魔します」
そして三人は、霞の自室にて楽しい時間を過ごしていくのであった。
少し時間はさかのぼり・・。
霞が璃花・美奈と玄関で話をしていたころ・・・
新たなダークフェアリーがその様子を眺めていたのだった。
「あんなやつがヒヤシやザレアを追い詰めたのかよ」
「キキ・・口を謹め・・・ヒヤシ達とて負けたくて負けたのではない・・それに現在は二人目もいる」
「わかっているさガロン・・・だからこそ俺達がかりだされたんだ」
そういうキキ。
「あぁ・・」
そして、観察を続けるキキとガロン。
「あいつら中に入るぜガロン」
「あまり騒ぎになるのは避けたいが・・・仕方あるまいディオグ様の指示だ」
「おう!」
そして、突入しようとした二人。
だが、その直後背後に気配を感じ振り向いた。
「何をするつもりだ?」
ただ単と冷静な表情で告げたその人物はフラウサニーだった。
そして、既に必殺技発射の態勢に入っていた。
「こいつ・・」
「この至近距離で・・・」
「サンシャインバースト!!」
空中で放たれた炎熱系攻撃。
だが、何とかギリギリでキキとガロンはそれぞれの属性の防御で防いでいた。
しかし、至近距離での威力により吹き飛ばされていたのだった。