第4話:勇気の戦士(2)
「本当なのかよ・・それ」
驚きを隠せない潤。
「現に俺がここにいるだろうが・・・」
「そればそうだけど・・」
だが、元々そういうものは信じていなかった潤なので、すぐには納得出来なかった。
「それにさっきも話したが俺の仲間・・・そのうちの一人が既に来ているはずだ」
「仲間が来てる・・」
「そしてこれもさっき言ったが宝石の力を狙い、敵が騒動を起こしていたと思うが」
と、ここで思い出す潤。
「じゃあ、あのプールの事は・・・」
「さっそくやっていたか・・」
「おい、待てよお前・・・」
「名乗ってなかったな。俺はサナーだ」
「名前なんてどうでもいい。その既に来ている妖精は今の俺みたいに」
「あぁ、パートナーとなり・・」
潤はあの時のことを思い出していた。
「霞も宝石を・・・妖精を・・」
「感じるな・・・あっちの方角で・・おそらく敵が・・・」
サナーが言い終わらないうちに、潤は宝石を掴むと走り出した。
「おい、待て」
慌ててあとを追うサナー。
「街外れ・・間に合えよ」
急いで街外れの林に向かう潤であった。
その頃霞は、ダークフェアリーのヒヤシ・ザレアの襲撃を受けていた。
当然だが、霞はすぐにフラウリリーに変身して応戦した。
『気をつけて霞。今度は力を合わせて挑んできてる』
そう伝えるリリス。
「ディオグ様の命令じゃなきゃ組んで戦いなんてしないんだけどな・・・」
そういうヒヤシ。
「お前には協調性がないからな」
そう告げるザレア。
「フラウバスター」
攻撃をするフラウリリーだが、片方に攻撃してももう片方が死角から攻撃を受けてしまうのであった。
「リリス・・どうしたら」
『片方の動きさえ封じればいいんだけど・・・現状じゃ』
力的にはフラウリリーが有利なのだが、戦略で負けていた。
「次のアタックで決めるゼ、ザレア」
と、仕掛けて来たヒヤシ・ザレア。
『霞・・』
だが、その時どこからか石が飛んで来てヒヤシを撃ち落とした。
「何だと」
驚くザレア。
「はぁっ・・・間に合ったか?」
「!?」
突然の潤の登場に驚いているフラウリリー。
「これ以上させねえ!」
そう告げた潤であった。
『あの男の子って霞の・・・』
(潤君・・何で潤君がここに・・・)
動揺してしまっているフラウリリー。
「人間の子供ごときに・・・・・」
「熱くなる必要はないわ・・力を持たない人間・・・でも、今はチャンスよ」
そう告げたザレア。
「そうだな・・」
「リリス・・・」
『何とかして彼をここから逃がさないと』
そう考えるリリス。
と、ようやく追い付いたサナーが木の上に現れた。
「・・しばらく様子を見るか・・・橙の宝石の心の力は・・・・だからな・・・」
そして続く睨み合い。
と、動いたのはヒヤシだった。
「消えな、フラウリリー」
フラウリリーに放たれた氷の刃。
「フラウバスター!」
それを難無く相殺したフラウリリー。
だが、敵の狙いは別にあった。
「防がなければ・・貴方はまた・・・」
フラウリリーにそう告げながら風属性の攻撃・カマイタチを放つザレア。
「なっ・・・」
ザレアの標的は潤だった。
「ダメッ」
『霞っ!?』
フラウリリーの行動に驚くリリス。
と、潤の前に飛び出したフラウリリーはその身でカマイタチを受けたのであった。
「!?」
目の前で起きた出来事。
フラフラになるフラウリリー。
「終わりだよ」
フラウリリーに放たれる氷のつぶて。
「畜生!!」
と、潤はいきなり叫ぶとフラウリリーを抱えて横に跳びのいたのだった。
「貴様・・・」
「とどめは私が頂くわよ」
再びカマイタチを放つザレア。
「だからさせねえ!!」
フラウリリーを抱えたまま、辺りを走り回る潤。
「何だ、この子供は」
「所詮子供の体力・・追い詰めるわよ」
「お、おぅ・・・」
逃げる潤達を追い詰めていくダークフェアリー達。
「うぅっ・・」
「これ以上・・・こいつを・・霞を・・・」
(潤・・君・・・)
氷と風のコンビネーションに完全に追い詰められた潤。
「お願い・・早く・・・逃げて」
そう潤に呟くフラウリリー。
「その通りだ・・そいつを置いて逃げれば怪我をしなくてすむものを」
「そういうわけにいくかよ・・・」
そしてこの様子を常に木の上から見ていたサナー。