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第53話:守るべきものの為の選択

あの戦いの翌日。


あの戦いが終わり、イリヤの力で全員はとある場所にある秘密の部屋へ飛ばされた。


清二「何だよ…ここ…」


ゲンドウ「もしもの為に作った地下施設…主に救急療養用の部屋として用意したのじゃ」


ライズ「何もないように感じるが…不思議と魔力を感じる」


イリヤ「ここは常にそういう風にしてある…元々来るべき戦いのために作られた場所だからな」


ゲンドウ「そして、ここはイリヤの力による転移ではないと入れない。じゃから敵にも乗り込まれにくいのだ」


たくさんの部屋がここにはあるため、一人一部屋割り当てられ気絶しているものを中心に休ませていた。


ゲンドウ「家のほうにはこちらから連絡をしておこう…全員の療養が終わった後、これからの事について話しておきたいしの」


そんなこんなな経緯で、翌日を迎えたというわけである。


直樹「お爺様、休まれなくてよろしいのですか?」


ゲンドウ「精神的に休めるようにイリヤと連携し魔力の流れを維持する必要がある。特に限界まで力を使った彼女達のためにな」


直樹「聖羅の方は安定しています。ベルゼがクリスを連れて行ったのを止められなかったのはこちらの力不足…」


ゲンドウ「…直樹は聖羅についていなさい。クリスの力を利用しようとしている以上、聖羅とのリンクは切るように配慮はしているじゃろうから聖羅に影響が出ることはないと思うが…」


と、その時


正行「邪魔するぜ、ゲンドウ…と、直樹の奴もいやがったのか」


そう言いながらこの場に正行が現れたのであった。


直樹「正行…お前…」


ゲンドウ「よい、直樹。して、何用じゃ」


正行「俺は無明グループから出て行くぜ、ゲンドウ」


突然そう言い放った正行。


直樹「まさか、お前またベルゼに加勢するつもりで…」


ライズ「そのつもりはこちらも無い」


そういいながら姿を現したライズ。


ゲンドウ「あの者…ベルゼの計らいとはいえ正行はバージョン2を手にした。それは大いなる成長じゃろう」


正行「俺は満足してねぇからな!もっと上を目指してやる。直樹!お前との勝負はベルゼを倒してからだ」


直樹「俺より後にバージョン2になった奴が…お前が戻ってくるよりも先にベルゼの件は片付けておくとしよう」


ゲンドウ「互いに良い刺激となっておるようじゃな…再会の時を楽しみにしておるぞ」


正行「へっ…じゃぁな」


そう告げ、この場から去っていく正行。


ゲンドウ「イリヤ、正行とライズを外の空間へ…元々正行は大きな怪我も負っていませんでしたしね」


直樹「お爺様、やはりベルゼを倒すには更なる覚醒…バージョン3が必要なのでしょうか」


ゲンドウ「…じゃが、バージョン3は…古き文献によれば危険と隣り合わせの力…誰が覚醒したとしても…使い方を誤ればそれはこの世界を滅ぼす力となる」


イリヤ「覚醒も大事だが、今は残りの四大元素の使い手を見つけ出すことだ」


ゲンドウ「そうじゃな。残りは火と地…すでにこの街にやってきているのか…それともこれから来るのか…」


と、その時


冷子「失礼する」


今度は冷子がこの場にやってきた。


直樹「お前も大分限界を超えていたと思うが…」


冷子「次に奴と対峙するときには強くなっているさ。と、先に用件を伝える美鈴と私達を助けた彼女が目を覚ました。先ほど起きたばかりなので、美鈴達がこちらに来るまでしばらく待って…」


直樹「そうか…お爺様」


ゲンドウ「イリヤ、彼女達の様子と共に身体の負担を更に軽くするように力の分布を」


イリヤ「了解した」


そう言うと飛んでいってしまったイリヤ。


冷子「直樹、後で話があるんだがいいか?」


直樹「今じゃだめなのか?まぁ、かまわないが」


それからしばらく経った後、起きた二人はその部屋で顔を見合わせていた。


美鈴「みんな、待ってるんだよねイリヤ」


イリヤ「いえ、お二人の体調のほうを優先させるように言われているので」


霞「…ごめんね」


突然そうつぶやいた霞。


美鈴「?」


いきなり謝ってきた霞にキョトンとした表情を見せる美鈴。


霞「もっと私ががんばってれば…美鈴ちゃんに負担かけずに…デュークだって…」


どうやらデュークは変身が解けて以降、未だ宝石内から出てこないでいた。


イリヤ「貴方には感謝しています。ゲンドウを解放してくれたのですから。それが結果的に美鈴の覚醒にもつながりました」


美鈴「霞ちゃん…もう歩ける?」


霞「えっ、は…はい。大分身体も楽になったので」


そんな訳で、イリヤの案内でみんなが集まっている部屋へとやってきた美鈴と霞。


美鈴「お食事会?」


いつの間にかそこには、料理が並べられており清二達が手伝っていた。


清二「もう大丈夫なのか?」


美鈴「うん、何とか」


ゲンドウ「ずっと寝ていて朝食もまだでしょう。色々話したいこともありますが、まずは頂きましょう」


そんな訳で、始まる朝食タイム。


そんな時間が少し過ぎた頃、ゲンドウが話を始める。


ゲンドウ「ベルゼ…あれを放っておけば必ずこの世界は崩壊するでしょう」


清二「いきなりだな…」


冷子「だが事実だろう。霞だったか…彼女の加勢、そして美鈴の覚醒がなければこちらに勝機はなかった」


ゲンドウ「霞さん…出来れば貴方にも力を貸していただきたい。先の戦いで貴方にも不思議な力があるのはわかりました。私達のことについて貴方に全てお話しましょう。ですから教えてほしいのです。貴方のことも」


霞「…」


ゲンドウの言葉を聞いて考えている霞。


美鈴「霞ちゃん…」


霞「私でよければ力になります…でも、今の私じゃあれが精一杯…あの子が戻ってこないと私…」


聖羅「お爺様…出来ることなら私達も霞さんの力になりたいです」


直樹「聖羅…」


ゲンドウ「なにやら事情がある様子。では、まずこちらの事を霞さんに知ってもらいたい。ES能力…そして、これからのことも」


語るゲンドウ。


そして、ベルゼとの戦いの舞台がこの街だけでなくいずれは霞達の住む場所も巻き込まれてしまう可能性も示唆していた。


霞はじっとゲンドウの話を聞いていて、自分の…自分たちの事を話していった。


フラウフェアリー達の事、戦ってきた事、そしてデュークの以前の姿のこと。


冷子「ベルゼと同じ感じだな…だとすると完全体になったら本当に厄介だ」


直樹「お爺様、グループビルの地下の書物庫に何かベルゼ対策に有効なものはないのですか?」


ゲンドウ「ES能力の事についての文献はそこにしまってある。調べれば何か見つかるかもしれんが…」


聖羅「調べものなら私がやります。精霊がいない私じゃ、これぐらいしかお兄様達の力になれないから」


直樹「すまない、聖羅」


冷子「美鈴、清二も聖羅に付き合ってやれ。それに今一番成長しなければならないのは四大元素使いのお前達だ」


ゲンドウ「ベルゼ戦で必要となる要素の一つが四大元素の力。残る力はワシが必ず見つけ出してみよう。ベルゼがどれくらいで動き出すかはわからぬが…」


霞「あの…一つだけ…手伝ってほしいことがあるんです」


そうゲンドウ達に告げた霞。


そして…。


ゲンドウ「では、話はこれぐらいにして…最後に確認しておきましょう。次のベルゼとの戦い…先の戦いとは比べ物にならないほどの過酷なものとなるでしょう」


ゲンドウの言葉に厳しい表情になる面々。


ゲンドウ「そこで…」


冷子「言われるまでもありません」


直樹「それについては同感ですお爺様。守るべきものの為にベルゼを倒します」


霞「…守るべき…守ってきたもの…」


霞の想いの中に共に戦ってきた仲間達の姿が浮かんでいた。


清二「ベルゼ倒して、平和な学園生活に戻ろうぜ」


冷子「別に特訓しながら学園生活はおくらねばならないがな」


イリヤ「確認する事はありませんでしたね。すでに皆さんの心は…」


ゲンドウ「そうじゃな…」


美鈴達は先の目標へ向けて歩き出す。


そして霞もまた、新たな決意を持って仲間達の元へと帰っていくのだった。


だが、霞はまだ知らなかったベルゼとのいざこざの裏で動き出している者がいることを…。


そして、物語は新たな展開を迎えることになるのである。

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