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第52話:撃ち貫く風の意思

ゲンドウ「どうやら…大変なことになっているようじゃな」


あたりを見渡しそう告げるゲンドウ。


イリヤ「ゲンドウ…」


ゲンドウ「大変な役目じゃったろうが…すまなかったなイリヤ」


ベルゼ「…君にそんな特別な…まぁ、どうでもいいか…」


不気味な笑みを浮かべ倒れていたベルゼが起き上がった。


美鈴「まだ…動けるの…」


ベルゼ「僕を消滅させる気がある攻撃なら倒せただろうけどね…だけど…最後の希望も…オーバーヒートみたいだね」


フラウガンナー「ごめん…デューク…」


と、変身が解けその場に倒れる霞。


そして、デュークは人の形に戻ることなく透明な宝石の中に入ったままになっていた。


冷子「…私達は…とんでもない奴を相手に…」


ゲンドウ「イリヤ…戻って早々じゃが…」


イリヤ「それは…本人次第でしょう。ここに来るまでの間にも成長はしてきていますが…」


と、イリヤとゲンドウが自分達とベルゼの間に幾重もの幻影の壁を結界のように張った。


正行「おい!そんなのであいつを…」


ゲンドウ「単なる時間稼ぎです…彼を倒すとまでは行きませんが…美鈴さん…貴方に力を託したい」


美鈴「えっ…」


ゲンドウ「イリヤの力を使い貴方のES能力を覚醒させます」


清二「待てよ…あの時みたいに…無理やり…美鈴を戦わせるのか」


一度、イリヤの力で操られ美鈴と戦ったときのことを思い出す清二。


ゲンドウ「いえ、ベルゼに対抗する力は本人の意思がなければ持ち得ない…」


そんな話をしている間にも、ゆっくりとベルゼは幻影の結界を破壊し近付いてきていた。


美鈴「ES能力の覚醒って…」


直樹「バージョン2…お爺様や俺…と、正行もか…精霊を武具の形に成して戦うスタイル…それがES能力バージョン2」


美鈴「じゃあ、エアルを武器にしてって…でも、そんなこと」


エアル「それがあればベルゼに勝てるんですか?」


ゲンドウ「君達の強い思い次第じゃ…ES能力は上のバージョンに覚醒していくにつれ、より強い思いが必要になる。今回はイリヤの力をきっかけに使い半ば強制的に覚醒させるわけだが…美鈴さん達なら遠からず自力でバージョン2を引き出していけるでしょう」


イリヤ「ゲンドウ…あまり猶予は…」


冷子「やれ、美鈴」


清二「冷子…」


冷子「四大元素の能力を持つお前が覚醒すれば…この場の誰よりも強くなれる…私は…私もお前に託す…フリグ」


フリグ「冷子のわずかな力だが、受け取ってくれ」


フリグが美鈴の手に触れると見えない力が美鈴の中に流れ込んでいった。


そして、それと同時にフリグは冷子の中に消えていった。


ゲンドウ「イリヤ、バージョン2」


と、イリヤは姿を変え再びイヤリングとなった。


ゲンドウ「君達の強い思いをイリヤが増幅し、君達に戻す…これも一種の幻術に近いが…」


美鈴「思い込みって感じかな…でも、みんなを守るために…あの人が助けてくれたみたいに」


倒れている霞を見てそう強く思う美鈴。


エアル「やりましょう美鈴…私達の心を一つに…」


エアルを自分の手のひらに乗せる美鈴。


そして、更にイリヤの力が加わっていく。


ゲンドウ「ただ一つの思いを…あの者を止めるための力を」


直樹「風の精霊と心を一つに…そして…」


美鈴「エアル、バージョン2!」


美鈴の言葉と共にイリヤの力が風の力に交じり合い、新たな形を成していく。


美鈴(エアルが変化していくイメージ…あの人みたいに…)


今は倒れている霞の姿を見る美鈴。


美鈴(私も…最後まで頑張るから)


そして、一瞬辺りに風の衝撃がはしると美鈴の手に緑色を基調とした銃型の武器が握られていたのだった。


イリヤ(きっかけをうまく使い、バージョン2を成功させましたね)


エアル『気をつけて美鈴。イリヤの手助けがあっても美鈴の体力を考えても短時間しか…』


美鈴「ありがとうエアル」


そういいながらベルゼのほうに向け銃を構える美鈴。


そして、その直後最後の幻影の結界を破り再び美鈴たちの前に姿を見せたベルゼ。


美鈴「バージョン2、エアードスナイパー!」


冷子「美鈴のバージョン2は…銃か」


ベルゼ「このさいだ…君の新しい力も試させてあげるよ」


未だ余裕を崩さないでいるベルゼ。


エアル『美鈴…何も言わなくてもわかっているよね』


美鈴「うん…」


美鈴はしっかりとエアードスナイパーを構える。


美鈴「エアズガトリング!」


放たれたのは複数の風の弾丸。


しかしながら、ベルゼの予想に反しその弾丸は一発もベルゼに直接被弾してはいなかった。


ベルゼ「新しい力は使い慣れていないとはいえ…ひどい有様だね」


そういうベルゼであったが、清二たち仲間メンバーは美鈴の行動の意味に気付いていた。


イリヤ『よく、周りをみることだな。もう、手遅れだろうが』


ベルゼ「!?」


イリヤの言葉で周囲を確認すると、先程放った弾丸が風の球体と化しベルゼの周辺に固定されていた。


美鈴「捕らえて!」


美鈴の声と共に風の球体から鎖状の物が飛び出し、ベルゼの身体の全てを絡めとっていく。


ベルゼ「中々使えているみたいだけど、直接攻撃すれば僕を倒せていたかも…」


美鈴「それは無理ですよ」


正行「なにあっさり認めてやがんだよ…」


ベルゼ「…」


美鈴「気付いたのはエアルだけど…今の貴方は偽者ですから」


直樹「偽者…」


ゲンドウ「ほぅ…」


美鈴「エアルが教えてくれたの。あの人が放った大きな攻撃で辺りの視界が悪くなったときに、魔力で自分の分身を作りその隙にここから離脱していったって。エアルが周辺の風の流れを感じて…」


ベルゼ「…ふっ…すでにばれていたのには驚かされたが…だが、それがどうした」


直樹「…聖羅…」


ベルゼ「一体だけだが精霊は手に入れた。時間はかかるがこれで計画は進められる…もはやお前達は…」


ゲンドウ「彼女の攻撃で深い手傷を負ったからこその撤退のはずじゃが…ましてやこんな分身も作り、すでに君の本体も限界のはず。それを回復させさらに自身を完全な存在にするのにはかなりの期間が必要なはずじゃ」


直樹「お爺様…」


ベルゼ「あぁ、そうだ。あいつの…というよりデュークの魔力破壊能力はやっかいだった。おかげで僕自身も大きなダメージを受けたさ。だが、それならそれでいい。僕はこれより君達の前から完全に姿を消す。探し出そうとしても無駄だよ。その間、君達にも強くなる時間が与えられるが…完全な存在となる僕より強くなることは不可能だ」


美鈴「…」


冷子「随分と分身は喋るようだな…だが、甘く見るな…四大元素の力を備えた美鈴や清二は、必ずお前を打ち倒す」


ベルゼ「楽しみにしているよ…僕も歓迎の準備が出来たら招待状を送ろう…どれだけの戦力になるかわからないが、盛大に準備を整えて参加するといい」


ゲンドウ「もう話はいいでしょう、辛いかもしれませんが…」


美鈴「大丈夫です。今の彼には命がないから…」


多少心に動揺がありながらも、そう告げた美鈴は風の力を操り絡めとっていた鎖状の風で、分身のベルゼを千切り砕いたのであった。


バラバラになったそれは煙のようになり、その場から消えた。


美鈴「…ぁっ…」


小さな声を上げ、その場に倒れる美鈴。


イリヤ「限界だったようだ」


ゲンドウ「イリヤ、皆を秘密の部屋へ」


イリヤ「了解した」


と、部屋全体にイリヤの力がいきわたり次の瞬間にはこの場所から全員の姿が消えていたのであった。

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