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第51話:解放された力

時と場面はまた変わり、冷子・直樹VS正行へ…。


正行「おいおい、いつまで氷壁の中に隠れているつもりだ」


現在冷子・直樹コンビはというと、冷子の作り出した全方位氷壁の中にて正行の攻撃を防ぎながら対策を立てるといった作戦を行っていた。


冷子「あいつの攻撃が速すぎて…外に出ればすぐに死角からつぶされるだろうな」


直樹「随分と弱気だな…乗り込むときの威勢はどうした?」


冷子「…こうもバージョンの違いで強さの差が出るものなのかと思ってな」


正行の扱う能力を見てそう告げる冷子。


直樹「…そういうものか?」


冷子「何?」


直樹「確かにバージョンが違えば強さも違う…だが、能力は人によってそれぞれ…例え同じ属性の能力者がいたとしても強さが同じとは限らない」


冷子「確かにそうかもしれないが…」


ジュロ「で、どうするの?向こうもバージョン2でしかも初めて使うっぽいから消耗頻度は高いと思うけど…」


フリグ「このまま持久戦に持ち込むのも可能だが…冷子の力が持つか…」


冷子「私の心配は無用だ…それよりも正行に対する策を…」


そんな精霊と冷子のやり取りを横で見ていた直樹。


直樹「冷子、氷壁の頂点にだけ穴を開けられるか?」


冷子「何をするつもりだ?いくらお前でも…」


直樹「俺とジュロの力も正行の攻撃に対する耐性はある。それに…」


フリグ「ジュロ、何か策が…」


ジュロ「さぁね、直樹は直樹のやりたいようにやるだけだよ」


冷子「…わかった。だが、お前が危ないような私も前線に出るぞ」


直樹「一応俺達の目的は後手潜入組の為の時間稼ぎだろ。だが、持久戦はこの後のことを考えれば部が悪い…そう考えただけだ」


直樹の考えていることを理解することは出来なかった冷子だが、決して信用出来ないわけではなかった。


冷子「わかった…だが、頂上に穴を開けたんじゃ出にくいだろ…正面に開いてやる」


直樹「…すまない。行くぞ、ジュロ」


と、正行側の氷壁の側へ移動する直樹とジュロ。


冷子「行け!直樹!」


合図と共に開かれた氷壁。


そして、氷壁の外へと飛び出していった直樹とジュロ。


正行「へっ…」


それを待ち望んでいたかのように雷爪を構えていた正行。


直樹「やりたい放題やってくれたものだな、正行」


正行「やっと氷の檻から出てきやがったか。待ちくたびれたぜ、直樹」


ジュロ「あの様子だと…雷爪の威力を最低にして攻撃を続けていたんだね。だとすると、能力が尽きるのはこっちが早かったかも」


直樹「どの道、俺達が外へ飛び出すことに変わりはなかったさ」


正行「属性相性じゃこっちの分が悪いだろうが…バージョン2ならそうはいかねぇぜ。何せ…」


話しかける正行だが、直樹はただじっと正行のほうを眺めているだけだった。


ライズ『様子がおかしいな…この状況で何故平然と…』


直樹「お爺様は聖羅達に任せてある…だから俺はお前を止めることに全力を尽くす…」


と、ジュロが直樹の目の前に移動した。


正行・冷子「!?」


直樹「人の手を借りバージョン2になっていい気になっているようだがな…所詮お前の実力は前のままだ」


正行「直樹!何が言いたいんだ!」


今にも攻撃してきそうな勢いでそう叫ぶ正行。


直樹「付け焼刃のバージョン2など…努力によって得たバージョン2にかなわないと言っているんだ」


冷子「直樹…お前…まさか…」


ライズ『感じていた平然さは…それか』


直樹「ジュロ…バージョン2」


ジュロの身体が輝き、その姿形を変えていく。


直樹「樹鞭ジュガロウィップ!」


直樹の手に装備されたそれは、樹の力を宿した鞭であった。


正行「そんなちゃちぃ武器で俺の雷爪を止められるものかよ!」


と、四方から雷の爪を放っていく正行。


直樹「自在に武器を操れるのはお前の雷爪だけじゃない」


直樹が樹鞭を地面に突き刺すと、前方の地面から複数の樹の鞭が飛び出し雷の爪を蹴散らしていった。


正行「なら、全方位からならどうだ!」


さらに発生させる爪の量を増やし、全方位から放った正行。


直樹「お前は能力を雑に扱いすぎだ」


と、直樹は樹の鞭で前方だけでなく見もせずに後方の雷の爪をも排除してみせた。


正行「なん…だと…」


直樹「このジュガロウィップにはジュロが宿っている…だがらお前の能力を感じ取って、俺が確認せずとも対象を攻撃できるというわけだ」


フリグ「バージョン2を隠していたことも驚きだが…」


冷子「強いな…」


直樹「俺とジュロの力を解放しなければならなかったとはいえ…」


直樹がそう告げたとき、突然このビル全体が揺れだしたのだった。


正行「うぉっ!?」


思わず転倒する正行。


冷子「直樹!」


氷壁を解除し、直樹の下に駆け寄る冷子。


直樹「…何だ」


ジュロ『強いエネルギーを感じるよ…それも禍々しい…このビルの上から』


正行「まさかあのベルゼって野郎…あれを預かっておいて何かやらかそうとしてやがるのか」


直樹「このままお前と戦い続けてもいいが…お前も上が気になるのだろ。戦いたいならいつでも受けてたってやる」


正行「…もう後戻りは出来ないぜ。あいつがゲンドウの命を握っている限りはな」


冷子「私は先に行くぞ…美鈴達が危ない…」


直樹「氷壁の持続使用で限界は近いはずだ」


冷子「それでも向かう…」


疲れた表情を見せながらも、上へと向かう道へ進む冷子。


正行「こっちに来い。今の状況じゃ直樹もこのビルのシステムは扱えないが…一箇所だけ…」


直樹「特別用のエレベーターか…」


正行「言っておくが俺はまだ負けてないからな」


直樹「あぁ、決着は預かっておいてやる」


冷子に肩を貸しながら、正行と共にエレベーターへと乗り込む直樹。


そして、先程の揺れの原因を作った上階の者達はというと…。


美鈴「こんなのって…」


清二「ちくしょう…」


ベルゼ「どうしたんだい?まだ僕は本気じゃない…というか本気を出せないというのに」


エアル「今の私達の力じゃ…」


アクル「清二、聖羅とクリスの方が…」


清二が聖羅&クリスの様子を見ると、聖羅はその場に座り込み放心状態になっていた。


クリスも聖羅を守るためにかなりの力を消耗したのか、ぐったりとしていた。


ベルゼ「…もうこれ以上戦えないみたいだし…三人分の精霊を連れて帰らせてもらうよ」


美鈴「エアル、私の中に戻って」


エアル「戻れないの、、美鈴。きっとベルゼがこの部屋に細工を…」


ベルゼ「今頃気付いても遅いよ。それじゃ…まずは」


ベルゼはゆっくりと放心状態の聖羅の元へ歩いていった。


美鈴「聖羅ちゃん…逃げて…」


聖羅「…あ…」


至近距離までベルゼが近づいても、動けない聖羅。


ベルゼ「僕に通用するのが君だけに、通用しなくなった途端弱くなったね君の力」


クリス「聖羅…」


ベルゼ「まぁ、精霊のパワーダウンもあるけど…君の精霊はちゃんと僕が有効活用しておくから」


そう告げるとクリスをその手で掴み取るベルゼ。


ベルゼ「さて…次は…」


ベルゼが美鈴達の方に歩き出したその時、ベルゼの足元に複数のエネルギー弾が撃ち込まれベルゼの足を止めさせた。


美鈴「えっ…」


そして、室内に飛び込んできた一人の人物。


フラウガンナー「…酷い有様…」


ベルゼ「おかしな格好だね…だけどかすかに感じるこの力…」


デューク『しっかり覚えてやがるか、こいつ』


ベルゼ「君が誰かは知らないけど…この状況を見て戦うつもりかい」


と、フラウガンナーは右腕に装備された銃をベルゼに向けた。


フラウガンナー「あの時みたいな…誰かの辛い表情は見ていたくないから。だから、その原因である貴方を…止める」


そう言い放ち、エネルギー弾を放つフラウガンナー。


だが、その攻撃はわずかにベルゼの顔の横をかすめ後ろの壁を貫いていった。


ベルゼ「戦う意思は確認した。だけど、今の攻撃はどういう意味かな?」


その言葉と同時に、あたりに強い気配を放つベルゼ。


デューク『不完全状態でありながらも、これほどの力を発揮させているか…』


フラウガンナー「全てを解放し、ここから去りなさい」


ベルゼ「なるほどね…力は強いみたいだけど…今僕と戦っていた彼女達に比べたら…心は弱いよね。デュークだったか…こんな人間を味方にするなんて、どうかしているよ」


デューク『…そうだろうな…こいつの優しさは真剣な戦いにおいてはいらないものだろう…だが、それがあるからこそ霞は仲間のために強くなれた』


ベルゼ「…まぁ、いいか。君に脅威は感じられない。君を無視して精霊達を手に入れさせてもらうよ」


そう言って一歩を踏み出すベルゼ。


フラウガンナー『デューク…【あれ】をやるから』


デューク『!?…お前、あの攻撃のことを理解しているのか?ただでさえ不安定な変身だ。失敗すれば変身も解け…下手をすれば霞にも…』


フラウガンナー『誰かを守るためだよ』


そう、心の中にいるデュークに語りかけるフラウガンナー。


と、その時強力な冷気の塊がベルゼに向かって放たれそのままベルゼを吹き飛ばし後方の壁と共に氷付けにした。


美鈴「あっ、冷子さん」


直樹「無茶すぎだ。今のでほぼ全ての…」


冷子「だからこそだ…残る全てを不意打ちに使わせてもらった…」


正行「しらねぇ奴がまじってるが…あいつがあの程度でやられるわけないぜ」


と、次の瞬間氷が突然水蒸気に変わり辺りの視界が悪くなっていった。


清二「破壊しているんじゃないのか?」


デューク『闇と炎…』


フラウガンナー「いつでも破壊できるけど、あえて力を見せ付けてきた…闇属性に別の属性を組み合わせた力…」


清二「あいつ…」


デューク『だが、この視界の悪さは好都合だ…霞』


フラウガンナー「うん…手短にね」


フラウガンナーはこのわずかな時間で自分の作戦を周りのメンバーに伝えた。


直樹「わかった。俺が前線でやろう」


正行「死んでもしらねぇぞ」


ジュロ「死なせないよ。僕がいるんだからね」


ベルゼ「遊びはここまででいいよね。役者も全員揃ったことだし」


と、いきなりベルゼの足元から大量の弦が出現しベルゼを拘束していく。


ベルゼ「その力は情報になかったね。だけど、さっきの力見てなかったのかな?」


ベルゼは余裕の表情のまま、身体から闇の炎を放出し始めた。


だが、次の瞬間大きな水玉がベルゼを包み込み闇の炎を消火していく。


清二「わずかでも…力を回復させておいて正解だな」


ベルゼ「僕にやられて倒れていたままになっていたけど…だけど作戦が甘いよね…そこの氷の能力者の余力が残っていればこのまま…」


ベルゼがそこまで行ったとき、鋭い電撃が頭上から水玉の中に飛び込んでいった。


ベルゼ「!」


直樹「正行…お前…」


ライズ「…これでよかったのか?」


正行「さぁな…」


ライズの問いにそう答える正行。


美鈴「最後は…私の番…エアル…もう一分張りだよ」


エアル「うん」


最後の力を使いベルゼに向けて放たれる直線的な風の渦。


ベルゼ「バージョン1程度の威力で僕を倒すつもりかい。身動きなどしなくてもそんな攻撃…」


余裕を見せていたベルゼは気付いていなかった。


仲間達の行動・攻撃を囮にして、一人の人物が最後の攻撃を放とうとしていたことに。


そして、それは彼女・フラウガンナーがベルゼの目の前に現れて気付くことになる。


ベルゼ「何…」


美鈴「風の渦は攻撃のためじゃなくて…あの人の接近を隠すため…」


イリヤ「これが…最後のチャンス…」


フラウガンナー「攻撃モードをブレードガンナーへ」


漆黒のブレードを銃に装着させるフラウガンナー。


そして、そのままベルゼに至近距離で銃口を向けた。


ベルゼ「君の攻撃の力はもう見切って…」


デューク『話を聞くつもりも余裕もない、霞』


フラウガンナー「デュークマグナム!」


今までの銃撃とは遥かに違う威力の攻撃を放つフラウガンナー。


清二たちの能力攻撃も吹き飛ばし、ベルゼが張る闇の防御と激突した。


ベルゼ「こんな力を隠し持っていたなんてね…でも、攻撃力不足…」


フラウガンナー「モード・デュークの真骨頂は…貴方の力を貫く」


ベルゼ「!?」


と、突然ベルゼの闇の防御が砕け威力が弱まったもののデュークマグナムはベルゼに直撃した。


その衝撃の影響で、ベルゼの手元から離れてしまったゲンドウが封じられた球体。


それを見たフラウガンナーは銃からブレードを取り外すと跳んだ態勢のままその球体にブレードを突き刺した。


イリヤ「!?」


フラウガンナー「安心して…デュークとの変身で付加されたこのブレードの力は…魔の力を打ち砕く」


その言葉と共に、球体は砕けその場にゲンドウが姿を現したのであった。

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