第49話:敵の策略
襲い掛かってくる正行の雷爪を氷の壁で防いでいく冷子。
直樹「気をつけろ。あれに触れれば身体が麻痺させられる。お爺様もそれで多分…」
正行「あぁ、その通りだぜ。あの爺さんも油断しすぎだしな…まぁそれも中途半端な精霊を連れていたからだけどな」
冷子
直樹(お爺様と一緒にいたイリヤが分身であることに気付いていたか)
正行「お前らの目的はゲンドウの奪還なんだろ」
直樹「そうだ。お爺様の居場所を教えてもらうぞ…正行」
直樹の言葉にしばらく流れる無言の時間。
正行「もう俺にはわからないぜ。ゲンドウのいる場所は…あいつしか…」
正行がそう告げたとき、氷のつぶてが正行に向かって放たれた。
直樹「冷子…」
冷子「そう簡単に話を聞けるとは思っていない。私達はお前を倒し無明ゲンドウを助け出す」
冷子の言葉を聞いた正行は笑みを浮かべた。
正行「まぁ、いいか。こっちはこっちで楽しませてもらうからな」
直樹・冷子「!?」
フリグ「何か嫌な予感がする」
ジュロ「というか不穏な空気を別の場所から感じるような」
そう呟くフリグとジュロ。
そして、ほぼ同時刻。
とある公園に集合していた美鈴達は…。
清二「どんな感じだ?」
イリヤ「ESの力が三つ大きくなった。戦いが始まったようだ」
聖羅「お兄様…」
美鈴「清二君。私達で聖羅ちゃんを守っていこう」
清二「そうだな…やってやろうぜアクル」
美鈴「頑張ろうエアル」
そう言うと二人の前に姿を見せる風と水の精霊。
イリヤ「覚悟を決めろ。すぐにワープをする」
と、美鈴たちの足元に広がるエネルギー。
美鈴(ドキドキしてきたけど…エアルや清二君たちがいれば)
イリヤ「よし、飛ぶぞ!」
そして、次の瞬間公園内から美鈴たちの姿が消えるのであった。
美鈴「…ん?」
辺りの雰囲気が落ち着いたところで、瞳を開いた美鈴。
エアル「風を感じる…ここはビルの屋上ね」
イリヤ「…おかしいな」
クリス「どういうこと?」
聖属性の精霊・クリスがそう聞いた。
イリヤ「建物の中にワープするように座標を設定したはずだが…エネルギーが足りなかったのか…」
アクル「清二!」
と、その時突然叫んだアクル。
すると、屋上の床から黒いエネルギーが溢れ出しそれはモンスターのような姿を成していった。
美鈴「えっ、何これ」
イリヤ「ES能力…ではない感じだが…何だこの感じる禍々しいエネルギーは」
そう告げるイリヤ。
清二「アクル!水弾で撃ち砕け」
すると、モンスター達は水弾を受けてその場に崩れ落ちていった。
だが、その直後バラバラになったエネルギーがまた集まり元の姿に戻った。
清二「おいおい…」
美鈴「これって私達の風で攻撃しても同じかな?」
エアル「そうね…」
イリヤ「あのデュークが言っていた謎の少年…あいつの力なのか定かではないが…先へ進まなければ…このまま消耗戦に突入するのはまずい」
クリス「聖羅…」
聖羅「皆さん、下がっていてください」
と、一歩前に出た聖羅に付き添う形でクリスも前に出て行った。
美鈴「聖羅ちゃん?」
聖羅「お爺様から聞かされていたことがあります。その通りなら」
と、聖羅の足元とクリスが輝きだした。
すると、その光が屋上の床一面に広がっていった。
その直後、蠢いていたモンスター達は光に包まれ塵となり消滅していった。
聖羅「お疲れ様、クリス」
クリス「聖羅もね」
そう言い合う聖羅とクリス。
清二「全部…倒したのか?」
イリヤ「今の敵は恐らく闇の力で作られたモンスター…正行を裏で動かしていた奴の仕業に違いないな」
美鈴「闇属性のES能力者ってわけじゃないのかな?」
聖羅「私の属性もあるから…多分…」
清二「とにかくだ。中に突入しようぜ。そいつがまた何かしてくる前にな」
そう言い放つ清二。
美鈴「うん、みんなで頑張っていこう」
そう意気込んで仲間達と共にビルの中に突入していく美鈴なのであった。