第43話:ゲンドウとの対峙
「美鈴!」
倒れそうになる美鈴を支える清二だが、疲労からかそのまま一緒に倒れてしまった。
「さすが清二だな。任せて正解だった」
そう言った冷子。
「おいおい、作戦失敗かよ」
そう告げる正行。
と、その時上空にアクセサリーに変化していた精霊・イリヤが姿を現した。
「あれは精霊・・・あいつが美鈴に・・・」
そう呟く清二。
「・・・」
と、イリヤはその場で能力を発動させた。
「!?」
その行動に美鈴を守るようにして警戒した清二。
そして次の瞬間、一人の少女がその場に姿を現したのであった。
「今度は聖羅かよ・・・一体何しにきたんだ」
そう告げる正行。
「最初にやるべきこと・・・クリス!」
と、聖羅の精霊・クリスが目の前に現れた。
「じっとしていてくださいね」
そう言うと聖羅&クリスは、美鈴の側にやって来た。
「お前、美鈴に何を・・・」
清二がそう言うと
「大丈夫です」
それだけ言うと聖羅はクリスの力を借り、能力を発動させた。
(何だ・・・この暖かい感じ・・・)
美鈴の側にいる清二には、聖羅の放つ力を感じ取っていた。
「美鈴、清二!こいつも無明の奴等なら・・・」
冷子がそう告げると
また、イリヤがその力を発動させた。
「あとはゆっくり休ませれば、目を覚まします」
そう言って自身の能力を止めた聖羅。
「クリス、次を・・・」
「了解よ、聖羅」
了承したクリスは、先程よりも強い力を解き放った。
「聖域・・・発動」
聖羅がそう言うと、辺り一面の大地に桃色の光が広がっていった。
そしてその光にイリヤが触れた瞬間、この場の全員の姿が消えたのであった。
「今の光は・・・」
突然の出来事に戸惑う清二。
「ここは室内・・・いつの間に移動を・・・」
そう言う冷子。
「ようこそ、我が無明グループへ・・・」
そう清二たちに告げ、無明ゲンドウが出てきたのであった。
「お爺様・・・言われた役目は果たしました」
そう告げた聖羅。
「よくやってくれた。奥に直樹もいるから休んでいなさい」
そう言われた聖羅は、美鈴達に一礼すると奥の部屋へと向かっていった。
「彼女は私の孫娘・・・【聖属性】のES能力者だ」
そう説明するゲンドウ。
「無明ゲンドウ・・・貴方には聞きたいことがある」
と、そう告げた冷子。
「一連の騒動を起こさせたその目的かな、冷子君」
「・・・」
「全ては話せないが・・・一つだけ・・・私は四大元素の能力を持つ者達を集めなければならない・・・」
そう言うゲンドウ。
と、ここで気絶していた美鈴の瞳がゆっくりと開き起き上がった。
「あれ、私・・・」
辺りをキョロキョロと見渡す美鈴。
「美鈴、大丈夫なのか?」
心配してそう言う清二。
「清二君・・・それに冷子さん」
「どうやら後遺症はないようだね、美鈴君」
「えっ、えっと・・・」
美鈴が何やら戸惑っていると
「四大元素の能力者を集めるという目的はわかったが、美鈴を操って戦わせることとその目的に何の関係がある」
そう言い放つ冷子。
「これ以上の事は話せないのだ・・・まだな」
真剣な表情でそう告げるゲンドウ。
「これ以上話の進展がないようなら戻りたいのですが」
落ち着かせた声で話す冷子。
「すまない・・・だが、君達も知るときが来る。ES能力の事、この街に集められる意味、真に戦うべき者をね・・・」
そう告げたゲンドウ。
「美鈴、歩けるか?」
「ちょっと疲れてますけど大丈夫です、冷子さん」
「我が社の部下を部屋の入り口に待機させている。このビルの出入口まで案内するように伝えてある。それと彼らは能力者ではないから安心するといい」
ゲンドウの言葉を聞き、部屋の外へと出ていった美鈴達。
「実の孫の俺達でもお爺様の本当の目的は教えてもらってはいない・・・それに俺も含めて四大元素の能力者はここにはいないからな」
そう言う直樹。
「雇われてるから勝手なことはできないけどな、納得出来ねぇぜ。このままじゃよ」
そう告げる正行。
「すまぬな。家族である直木と聖羅。そして正行・・・まだ我々も本格的には動けないわけがある。だが、時が来れば・・・」
窓から外の景色を見ながらそう言ったゲンドウ。
「それなら俺達もお爺様の進む道を共に歩むだけですよ」
そう告げる直樹。
「はい、私も同じです」
「退屈にならないならいいんだけどな」
そう言う聖羅と正行。
「ESが救いの力になるかどうか・・・それはこれから次第じゃな」
そう静かに語るゲンドウなのであった。