第42話:風の幻影(1)
「とりあえず攻撃をかわせ、清二」
冷子が叫ぶと同時にエアルの風をかわす清二。
「攻撃的な風…風の刃」
と、美鈴は手のひらに風の刃を作り出すと正行に目がけて放った。
「ライズ!」
とっさにライズが電撃で風の刃を粉砕した。
「話が本当に違うだろうが…これじゃ三対一で戦ってるようなものだぞ」
そう告げる正行。
「実際には二対一対一…だがな」
そう言ったライズ。
「完全に操られているわけじゃないのか?冷子」
「正行の驚きとあの発言からするとな…それに何処となくまだ美鈴の心は中にある」
冷子がそう言うと
「なら、なんで攻撃してくるんだよ…美鈴は…」
「認識を変えられたのか…清二や私の事を仲間だと思いながらも攻撃を仕掛けてきている…それに正行の事も敵だと認識している…正行の仲間の精霊によるものなら余計に変だ」
そう言う冷子。
「おしゃべりしてないで、私と…」
エアルが放つ二本の風の渦。
「フリグ、氷の壁をそびえたたせろ」
その瞬間、氷の壁が出現し風の渦を食い止めた。
「本来の美鈴ならまだここまで力を使えていない…美鈴を操っている精霊はその美鈴の能力を引き出して戦わせている…どちらにしてもその原因を突き止めて…」
だが、その直後強力な雷が氷の壁を粉砕した。
「俺もいるってことを忘れるな!」
「…とりあえずあいつが帰ってくれれば今回は都合がいいんだが…」
そう呟く冷子。
「私のお友達清二君…私が勝ちたい相手冷子さん…私の敵正行さん…」
三人を順番に見ている美鈴。
そして、そんな戦いをアクセサリーに変化しているイリヤを通じてゲンドウと聖羅。
「お爺様…正行さんが困っているようですけど」
「作戦の詳細までは伝えていないからな…少しでも彼女へのきっかけとなればと思いこのようにした…後々…この出来事が彼女にとって…」
そう告げるゲンドウ。
「聖羅、直樹が戻り戦いが終わり次第イリヤの力で聖羅を向こうのフィールドに飛ばす」
「…わかりました…私もそのままにしておくのは辛いですから」
そう言う聖羅。
そして、場面戻って戦いの場。
「これ以上美鈴の身体で遊ばれてもかなわないな…美鈴が次にだれを標的にしてくるかわからないが…美鈴はお前が止めろ清二」
「冷子…」
「私の能力じゃ美鈴を傷つけかねないからな…その代わり正行が何としても私が止めておく…頼んだぞ…幼馴染」
そう言うと行動に出る冷子。
「じゃあ、冷子さんで決まり。エアル!」
攻撃に転じようとした美鈴とエアルの目の前に湧き上がる水。
「能力の事を知ってからあまり全力でやったことないからな…こんな力…知ってる人にしか見せられなかったから…」
「清二君、私が今戦いたいのは冷子さんなのだからどいて」
「悪いけどお前のわがままは今きけないぜ」
そう言うと美鈴に向かっていく清二。
「で、お前が俺の相手かよまったく…あの爺さん…何を企んでやがるんだ」
そう呟く正行。
「お前も大変な役割を担っているみたいだが…私の仲間にあんな事をした以上…」
「ライズ、どうすんだ?」
「向こうは本気だな。本気で戦いたいってお前の望みは叶ったものだろ」
そう告げるライズ。
「しゃーねぇか…後悔するなよ」
「美鈴を助けるまでの間だ…だが、向こうを先に終わらせるのを私は待つつもりはない」
そう言うとフリグと共に正行に突っ込んでいく冷子。
「迎え撃つぜライズ…雷の本気の力見せつけてやるぜ」
そして、空中でぶつかり合う氷と雷のエネルギー。
「冷子がいない以上防御は期待できない、アクル。瞬間勝負だ」
「わかっている。貴方の大切な幼馴染を僕も助けたいから」
そう告げるアクル。
「邪魔するなら全て吹き飛ばすよ!」
と、美鈴&エアルを中心に高く渦巻いていく風。
「竜巻かよ…突破の道は俺が作る。瞬間的に水を出現させるのはアクルが上だからな…美鈴の確保はアクルがやってほしい」
「わかった…でも、生身の身体であの竜巻に巻き込まれれば…」
「任せとけって…じゃあ、行くぜ」
そして、美鈴を助けるため清二は自分が考えた作戦を実行に移していこうとするのであった。