第41話:ゲンドウの策略(3)
移動していく直樹&ジュロを追っていく冷子達。
「何処まで行く気だ」
そう告げる清二。
「この距離では何度攻撃をしても、あいつが操る樹々に防がれる。何とかして近付かないといけないが・・・」
そう言う冷子。
そんな中、操る樹々に乗り移動している直樹。
(確かそろそろだな・・・しかし、与えられた役目が時間稼ぎと誘導というのは納得できないが・・・戦闘攻撃力は正行の雷に劣るから仕方ないのか・・・)
そんな事を思いながら移動し続ける直樹。
しばらくこの状態が続いたのだが、先に仕掛けたのは直樹だった。
移動をやめ構える直樹。
「清二!」
「あぁ!」
清二と冷子はアクルとフリグの力を使い、大きな氷のシールドを作り上げた。
「粉砕しろ・・・樹々の鞭」
周囲の樹々から伸びた枝が、鞭のように氷のシールドにぶつかっていった。
「ただのシールドじゃない。アクルの水を凍らせたことでフリグ単体で作るシールドより強固なものとなっている」
そう言った冷子。
「説明されなくても理解しているよ。能力と能力の作用とかはね」
そう告げた直樹。
「美鈴、風の精霊出せるか?今ならあいつを攻撃できるんだけど」
そう言う清二。
「えっ、でも攻撃って・・・傷つけちゃったら・・・」
直樹の方を見る美鈴。
「なら、あいつの精霊だ。それなら出来るだろう」
そう告げる冷子。
「エアル達と同じ精霊・・・一応やってみます」
そう言って意識を集中させる美鈴。
(出るか・・・四大元素の・・・風の精霊・・・)
攻撃をし続けながらも、その視線は美鈴を捉えていた直樹。
そして、美鈴の前に姿を現した風の精霊・エアル。
「エアル、力を貸してほしいの・・・あまりやりすぎない程度に」
そう頼む美鈴。
「私は美鈴のしたいように動くわ・・・」
そう告げるエアル。
「あの人の精霊を止めてほしいの」
そう言った美鈴。
「樹の精霊ね・・・」
ジュロに狙いを定めるエアル。
「・・・悪いが・・・君の攻撃を黙って放たせるわけにはいかないな」
と、そう告げた直樹。
その直後鋭い雷の一閃が氷のシールドにぶつかった。
「!?」
この事態に驚く美鈴達。
「ようやく登場っと・・・待たせたな直樹」
そう告げて現れた正行。
「待ってなどいない」
そう言った直樹。
「なんだと・・・」
横目で直樹を睨みつける正行。
「作戦が先だろう正行・・・」
そう告げたライズ。
「そうだ、直樹。今は・・・」
そう言うジュロ。
「わかってるぜ、ライズ。直樹!」
「お前に急かされなくてもやる・・・ジュロ!」
と、攻撃にまわしていた能力を解除し新たに能力を発動させた。
「気をつけろ、樹の方・・・」
冷子が忠告するよりも早く、直樹の行動が始まった。
美鈴と清二・冷子の間の大地から突如出現した多数の枝。
それが複雑に絡み合い壁のようになった。
「おい、冷子。これは・・・」
清二がそう言うと
「フリグ!この樹を・・・」
美鈴との間に出現した樹の壁を何とかしようと考える冷子。
「シールドに注いでいる力を解除したら俺の雷がすぐにでもシールドを粉砕するぜ」
その直後、再びシールドに直撃する雷。
「冷子、今日のあいつは本気みたいだぞ。力を弱めたら押し切られる」
そう告げる清二。
「美鈴・・・」
と、樹の壁は更に広がり美鈴を囲むように伸びていった。
「清二君、冷子さん・・・」
心細そうな表情を見せる美鈴。
「美鈴!後ろ!」
と、突然叫んだエアル。
そして、美鈴が振り返った先に一体の精霊が浮かんでいたのだった。