さよなら。
5年間付き合っていた彼氏と別れた。
原因は、相手の浮気。
もともと浮気性っぽいところもあって、5回目の浮気だった。
もうしない、許してほしい、お前が一番だ。
何度も聞いた、同じ言い訳。
許してしまっていたのは、私の甘えだったのだろう。
数多の女性を虜にする彼の一番であるという、優越感があったせいだ。
「あーあ。」
寒空の下、ため息をつく。
ぼんやり歩いていたら展望台に来ていた。
見晴らしもよく、夜景で有名な展望台。
彼との思い出がたくさんあるこの場所。
『落下注意』と書かれた看板を眺めながら、ガードレールにもたれかかる。
平日の昼間、ほとんど人はいない。
結婚まで、考えていたのに。
彼には、私と一緒になることは微塵も考えていなかったようだ。
流れる雲を見つめながら今後のことを考えてみる。
何気なく携帯を開くと、彼から一言のメッセージが届いていた。
『マヨネーズ、切れてるんだけど。
帰り、買ってきてよ』
きっと、別れるといって飛び出してきたのを真に受けてないのだろう。
私は微笑んで返信を打つ。
『さようなら。』
世界が反転する。
ー後悔も、躊躇いもなかった。
目の前が暗くなる。
ーただ彼のことが好きなだけだった。
全身に衝撃が走る。
そして。
三題噺お題:『ガードレール』『マヨネーズ』『雲』