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everyday,low price その2

 京急線を品川方面へ。梅屋敷に到着である。

「おいどこまで行くんだよ。」

 瀬尾は自分がどこに連れて行かれているのか、皆目見当もつかなかった。駅からしばらく歩いた。すると、ついに栗原が口を開いた。

「ここだ。」


「OKストア」


 OKストア

 店の分類は「ディスカウントスーパーマーケット」。特徴はその名のとおり品物の「安さ」だ。

 安い。別の店のセール価格より安い商品があるというのはまったく珍しくない。また、冷凍鶏肉1kgなど内容が多量である商品も品揃えが充実している。高級品を売るデパートがあるならばその対義語は安さのOKになるだろう。


「や…安いッ!大袋入りのスナック菓子が100円を切っている!」

 なんということだ。この価格であれば2000円で30人分の菓子が用意できるはずだ。

「だが、これは大丈夫なんか?だいぶホコリかぶってるし、袋が変にしわだらけだったりするんだが。」

 栗原はこくこくとうなずく。

「仕方ない。価格が低いのはそれなりに理由があるってことよ。あと、味的に1~2日以内に食べたほうが良かったりするものが多い。」

 なるほどねぇ。瀬尾は下唇を噛んだ。

 商品を選ぶのに集中力を要する店。こんなところに来たのは初めての経験であった。

 しかしこれが不思議と悪くない。手が届くもの、すべてが掘り出し物。そして、その中で初めての人でもわかるような当たり、はずれがある。この当たりを引き出すためにすべての商品と対話するのだ。この感覚はまるで宝探し。このワクワク感はほかのスーパーではありえない。


 必要なお菓子を詰めて会計レジに急ぐ。前の人を見ていてもやはり値段の低さに驚きである。

 アッしゃせー。店員はやる気のないあいさつをかましてから、会計を始める。

「お会計1821ぇンです。」

 やった。足りた!意気揚々とお金を払い、あとは帰宅…だが、袋はもらえないのである。

「栗原、袋はもらえないのか?」

 普通のスーパーでは籠に入れてもらえるはずなのだが?

「ここの袋は有料だ。会計前に言わないともらえない。持って帰るときはあれを使う。」

 そう言って栗原は段ボールの山を指さした。おそらく、商品が入ってた段ボールだ。大から小まで、いろんなものがある。

「…スゲーなこりゃ。段ボール捨てずに済むってことか。」

「そーゆーことだな。徹底的に金掛けないのよ。安くするために。」





 会計を終え、店の外に出る。まぁ、たまに来るくらいでいいかな、ここは。

「もう競艇やめっか。」

 瀬尾はふと口にする。その言葉を栗原は聞き流さなかった。

「そうだぞ。ほんとに。預けられた金使うとか病気だろ。」

 昼下がり、男2人は帰路に着く。


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