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二 – 1

時が過ぎて、新学期が始まった。

始業式が行われる体育館で、和那は間宮まみやかおりを見かけた。

彼女は海の婚約者の妹で、海の父方の従妹でもあった。

香は和那の双子の兄・雄大ゆうたと同じクラスだったが、家で話題になることはほとんどなかった。

ただし学内で彼女は有名人だった。

香の長く艶やかな髪は腰まで達しており、顔は西洋人形のように白く美しく整っていた。

男子学生は当然放っておかなかったが、香は同性も含めて同級生とはほとんど話をしないようだった。

和那が高校に入る以前に香を見たのは、海の父親の葬式の席だった。

三年前の香は今よりもきつい印象だった。

だから和那は入学した高校で香を見かけたとき、よく似た別人だと思った。

香は公立の普通高校に通うイメージではなかったからだ。

実際に、香は中学まではお嬢様学校として知られる私立の女学校に通っていた。

和那は香の横顔を見ながら、ぼんやりと思った。


--やっぱり従姉妹だなぁ。海ちゃんと間宮さんはよく似ている。


二人の印象が全く異なっていたので和那は今まで気がつかなかったが、海と香の外見の特徴はほとんど一緒だった。

和那の父親と海の母親は双子なのだが、和那には自分と海との共通点を見いだせなかった。

もっとも、和那自身も双子だが、雄大と似ているところはあまりなかった。

和那は自分に言い聞かせた。


--海ちゃんはお父さん似で、私は母さん似なのだわ。


海の父親・橋本はしもと義貴よしたかは義彦と同じ病院で働いていたが、事故で亡くなっていた。

義貴の専門は内科だったが、小児科も担当していて、和那が幼い頃にはよく診てもらっていた。

子供は一般的に医者が嫌いなものだが、和那は伯父を嫌だと思った記憶がなかった。

和那とって義貴は血縁者ではなかったが、義貴はいつでも和那に優しかった。だから、伯父が不慮の事故で亡くなったのは、和那にとって悲しいことだった。

和那は義貴に祈った。


--義貴おじさん。海ちゃんと赤ちゃんを守ってください。


和那の願いはしかし、叶わなかった。


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