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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

sΩrAノ果テ-ソラノハテ-

作者: ふしょう×はこいく

sΩrAノ果テ-ソラノハテ-


作者:ふしょう×はこいく


登場人物

Name:NicΩ Eefen

   ニコ=イーフェン

年齢:18歳

性別:女

国 :シルアーナ

備考:シルアーナの若き女王。先代である父が暗殺され、

   極度の人間不信に陥っているが、幼馴染であるシークだけは信じている。

   いつも傍にいる彼に好意を抱いている。だが、それは許されないのだ。


Name:Ceek TΩilis

   シーク=トゥイリス

年齢:20

性別:男

国 :シルアーナ

備考:ニコの侍従。彼女とは幼馴染だが、その関係は過去のものだと考えている。

   天の絵具を授かりし者で、魔術を使うことができる数少ない存在。

   武道、学業、あらゆる分野において優秀。まさに天凛の才、天の神童と呼ばれていた。

   彼の名前は国を越えて知られており、数々の資産家、国が雇おうとしたという。


Name:FiΩ Dlergoon

   フィオ=ドラグーン

年齢:24

性別:男

国 :シルアーナ

備考:シルアーナ、龍騎士団団長で、わずか7人で構成される龍騎士団の筆頭。

   たった一人で1800人の敵兵から門を守り切ったという伝説を持つ男。

   普段は物腰が柔らかく、甲冑を着ていない彼を見ると

   とても団長とは思えないらしいが、戦闘となると人が変わったかのような圧倒的な力を発揮する。

   彼の相棒の龍の名は『ノア』。


Name:SasyA Irelli

   サーシャ=イレルリ

年齢:23

性別:女

国 :ロノグァ

備考:ロノグァを治める女王。自らの欲しいものの為ならば何でもする。

   もとは下人だったが、その美貌を武器に王に近づき、気に入られた後に毒殺する。

   存在するあらゆる手段を使い、今の立場に上り詰める。


Name:BAriss Glanv

   バリス=グランヴ

年齢:30

性別:男

国 :ロノグァ

備考:サーシャに仕える男。地の絵具を授かりし者。

   生まれてから29回の戦争を経験するが、いまだに彼の肉体に傷一つついていない。

   その事から鋼の巨神と呼ばれている。

   サーシャへの忠誠は絶対的である。


Name:Ven Fuly

   ヴェン=フューリー

年齢:28

性別:男

国 :ロノグァ(マシュア)

備考:サーシャに仕える男。海の絵具を授かりし者。

   海の国、マシュアの兵だったが、ロノグァに降伏し併合した為今に至る。

   勝つことこそすべてであると考えており、味方であってもの下っ端程度であれば

   平気で巻き込むような戦いをする。


【単語】

シルアーナ…空の国

ロノグァ …地の国

マシュア …海の国

エレメント…【絵具】と書いてエレメントと読む。

ノア   …フィオの龍



役表

ニコ  ♀:

シーク ♂:

フィオ ♂:

サーシャ♀:

バリス ♂:

ヴェン ♂:


『』…マインド

: …モブキャラクター。台詞ではありません。会話をしているというていで演じて下さい。

----------------------------------

528年 11月18日

ニコ  「お父様……どうして………お父様……ぐすっ…ああああああああああああッ!!」


シーク 「……っ」




11月21日

ニコ  「シークはどこにいるの?」


メイド:本日は…お休みでございます


ニコ  「ああそう。何処に行っているの?」


メイド:か、確認してまいります


ニコ  「もういいわ。出て行って」



同日(城下-酒場)

シーク 「……」


フィオ 「ここにいたんだ」


シーク 「…フィオ殿」


フィオ 「…凄いくまだ…。寝てないの…?」


シーク 「…はい」


フィオ 「ニコ様につきっきりだったもんね…身体…壊さないように」


シーク 「…ありがとうございます」


フィオ 「ううん。今日は休み?」


シーク 「…メイドたちが休んでくれって…時間を作ってくれたんです」


フィオ 「…そういう事か、うん。たまには休まないとダメだ……どうして酒場に?」


シーク 「…どうして…あれ…どうしてでしたっけ…」


フィオ 「…寮には戻ら……そうか。寮に戻るとニコ様にまた連れて行かれるんだ。…僕の家に来るかい?」


シーク 「…! よろしいのですか…? ありがとうございます…!」


フィオ 「僕と君の仲だ、遠慮しないでくれ」



ニコ  「シークはいつ帰ってくるの…!? …答えなさい!」



同日 (フィオの家)

フィオ 「国中大騒ぎだね」


シーク 「はい」


フィオ 「国民もニコ様を信用していない…ニコ様も誰を信じていいのかわからない」


シーク 「……」


フィオ 「…僕たち騎士団も疑われていたりするのかもしれないね」


シーク 「先代様の暗殺…ですか?」


フィオ 「うん」


シーク 「まさか! フィオ殿が…いや、龍騎士団の方々がそんな-」


フィオ 「ありがとう。…ニコ様が本当に信じているのは君だけだと思う」


シーク 「……はい」


フィオ 「幼いころからの付きあ…(外からシークを呼ぶ声)…?」


シーク 「ニコ様です、すいません…行ってきます」


フィオ 「……そうか。身体を壊さないようにね」



同日 (ニコの部屋)

シーク 「ニコ様、お待たせしました」


ニコ  「シーク…! どこに行ってたの…?」


シーク 「…少し、お休みの時間を頂いておりました」


ニコ  「…顔、見せて」


シーク 「…えっ……あっ」


ニコ  「……目が凄く疲れてる………疲れてるなら疲れてるって言いなさい」


シーク 「申し訳ありません」


ニコ  「謝らなくていいから……休みなさい(膝をポンと叩いて)…ほら」


シーク 「…そ、そんな。大丈夫です」


ニコ  「これは命令よ」


シーク 「……はい」


ニコ  「……ねぇ、シーク…?」


シーク 「……すぅ……すぅ……ん…っ」


ニコ  「…ごめんなさい……私のせいで…………シーク……」



同日 (ロノグァ)

バリス 「サーシャ様、マシュアが降伏いたしました」


サーシャ「そう、ご苦労様。バリス、あなたの後ろの男は?」


バリス 「…マシュア兵、ヴェン=フューリーを連れてまいりました」


サーシャ「ヴェン?」


バリス 「はい。この者は海の絵具使い、必ずやシルアーナ攻略の力になりましょう」


サーシャ「シルアーナ攻略、ね」


バリス 「シルアーナはロノグァと比べるまでもない小さな国。ですが、兵力の高-」


サーシャ「天の神童」


バリス 「…!」


サーシャ「ヴェン?」


ヴェン 「はっ」


サーシャ「聞いたことくらいあるでしょう、天の神童という単語を」


ヴェン 「はい、ニコ=イーフェンの侍従。シーク=トゥイリスがそう呼ばれていたと」


サーシャ「全てが完成されし者…私は其れに興味があるの」




-年前 (???)

ニコ  「わぁ…綺麗…」


シーク 「ドレスかぁ…ニコには大きくて入らないだろ」


ニコ  「これから大きくなるのよ、18歳になるころにはきっと……」


シーク 「ふーん…」


ニコ  「あっ、適当に聞いてる!」




528年 11月22日

シーク 「…んっ…ぅ……ふっ…ぁ……」


ニコ  「…すぅ………すぅ…」


シーク 「…6時…22分……んっ………お身体を冷やされますよ……」


ニコ  「…ん……シーク……」


シーク 「……(そっと部屋を後にし)……おはよう」


メイド:おはようございます…お身体は大丈夫ですか…!?


シーク 「うん、かなり回復した。ありがとうシャワーを浴びてくる」


メイド:ニコ様は…


シーク 「すぐに戻るよ」



(寮-浴場)

フィオ 「…んっ……シーク。昨夜は大丈夫だった?」


シーク 「はい、なんとか」


フィオ 「心なしか少しくまがましになったね」


シーク 「いくらか睡眠をとれたので」


フィオ 「…そうか。なら良かった」


シーク 「ご心配をおかけしました」


フィオ 「君が元気ならそれでいい。ニコ様は?」


シーク 「まだ寝室で寝ていらっしゃるかと…?」


フィオ 「ニコ様はまだ知らないんだね」


シーク 「…知らない…?」


フィオ 「……マシュアが昨晩ロノグァに降伏したそうだ」


シーク 「なっ…」


フィオ 「…あぁ…そもそもロノグァとマシュアがやり合っている事すら知らなかった…そうだよね」


シーク 「はい…まさか…」


フィオ 「時間で言うと…君が酒場に居た時ぐらいに戦いは始まったらしい」


シーク 「8時過ぎ…。夜襲ですか」


フィオ 「だろうね。元々貿易関係にあった国同士だ、マシュアが出遅れた結果…あまりにも早すぎる終戦になったんだと思う、僕も聞いてびっくりした……」


シーク 「勢力拡大のための戦であれば、シルアーナも目を付けられるかもしれません」


フィオ 「考えたくはない、だけど可能性として大いに-(浴場に響く伝令の声)…! まさか…シーク!」


シーク 「…はいッ!」



同日(謁見の間)

ニコ  「…どういう事よ…」


シーク 「ニコ様ッ!」


ニコ  「シーク…!」


フィオ 「これは…一体…」


バリス 「サーシャ様とニコ女王の謁見だ、シーク殿を除いて近づくことは許されん」


フィオ 「…! あなたは…!?」



サーシャ「こんにちは、シーク」


シーク 「…!?」


サーシャ「今、貴方の話をしていたところなの」


シーク 「私の…話…?」


ニコ  「耳を貸さないで」


サーシャ「お黙りなさい。シーク、私は貴方が欲しいの」


シーク 「…私が…欲しい……」


フィオ 「ッ…!?」


サーシャ「そう。私の侍従になりなさい」


ニコ  「断りなさい」


シーク 「…私は…」


サーシャ「…貴方に選択肢はない、私の侍従にならないと言うなら。シルアーナが滅ぶだけ」


シーク 「!」


サーシャ「なると言うなら…シルアーナを攻めないことを約束するわ」


シーク 「……」


ニコ  「嫌よ…断って………断りなさいッ!!」


サーシャ「フフッ、どうするの?」


シーク 「私は…」


ニコ  「行かないで…シーク…!」


フィオ 「シーク…! ッ! 離せッ!」


ヴェン 「フン」


サーシャ「ノーと言う事でいいのね。…そう、わかった。せいぜい残りの時間を楽しく過ごすことね。

バリス、ヴェン」


バリス 「はっ」


サーシャ「いつ攻められてもいい様にしておきなさい」


ヴェン 「戦場で会おう。…逃げ出さずにいられるならな」


フィオ 「ッ…!」


ニコ  「……」


シーク 「…………ッ」



ニコ  「…ごめんなさい………」


シーク 「……」


ニコ  「…わからないのよ…ねぇ…教えてよ………どうしたらいいのよぉぉぉッ…!」


フィオ 「……」


シーク 「ニコさ-」


ニコ  「怖いのッ! 一人になるのが怖くて怖くて仕方ないのッッ! 今こうしている間にも国民たちは城門に押し寄せて私の名前を呼び続けるのよッ! 誰を信じればいいの! 誰が私の味方をしてくれるのッ!」


シーク 「………私は……何があってもニコ様の味方でございます」


ニコ  「…私には……貴方しかいないのよ…シーク……」


フィオ 「…ッ…………っ。私は……騎士団との会議に行って参ります」



ニコ  「…絶対に…居なくならないで」


シーク 「…勿論です…私はニコさ-(シークの口を指で押さえるニコ)ん……?」


ニコ  「今だけでいいから…ニコって呼んで」


シーク 「…それは…」


ニコ  「命令よ」


シーク 「……ニコ」


ニコ  「…昔はいつもそう呼んでくれてたのにね」


シーク 「……」


ニコ  「…キスして。今なら誰も居ない」


シーク 「…でも…」


フィオ 「(隙間から見ていたフィオ)……っ……」


ニコ  「……舌出して」


シーク 「ニコ-んっ…ぅ…っ……つ…」


ニコ  「…ん……ふっ……ん……ぁっ………はっ…」


シーク 「っ……う…はっ……はっ……む…ん……」


ニコ  「ぅ…っ…ん……ちぅ……」


シーク 「……ぷっ…はっ…はっ……はっ……待って……待って…」


ニコ  「…もう少しだけ……」


フィオ 『どうして、僕は男に産まれたんだろう』



サーシャ「…明後日の夜、シルアーナを落としなさい」


ヴェン 「はっ」


バリス 「シークは如何致しましょうか」


サーシャ「殺すな、とだけ言っておくわ」


バリス 「畏まりました」




-2年前 (シルアーナ)

フィオ 「…君は…?」


シーク 「! こんにちは、初めまして」


フィオ 「ぁ…こんにちは」


シーク 「3ヶ月前からニコ様の侍従として働くことになったシーク=トゥイリスと申します」


フィオ 「シーク…君がシークか…!」


シーク 「わっ…どうかされましたか…?」


フィオ 「ずっと憧れだったんだ、君に会うのが…!」


シーク 「…は…はいっ」


フィオ 『…彼の声、彼の仕草。全てに惹かれていた、何故かはわからなかった…でも。憧れが…愛へと変わっている…その感覚は確かにあった。

時々感じる僕自身の容姿。女性になりきれなかったと言われ続けた、美少年と言われたこともあった。だけど……彼の前での僕は……きっと女性そのものだった』




同日(龍騎士団本部)

龍騎士Ⅰ:団長、団長…!


フィオ 「…あぁ…大丈夫………うん、そうだね…正門には僕と-(本部に現れたシーク)シーク…」


シーク 「お待たせして申し訳ございません」


フィオ 「…大丈夫かい?」


シーク 「……はい。…フィオ殿…? 目が赤いです、大丈夫ですか…?」


フィオ 「…あぁ…気にしないで。大丈夫だよ」


シーク 「…そう…ですか…」


フィオ 「…どうかした?」


シーク 「ロノグァと戦うと知った兵たちが……っ」


フィオ 「…まさか…っ! (本部を飛び出し)ま…待ってくれ! おいっ!」



フィオ 「(兵団本部から次々に出てくる兵たちを見て)………ぁ……」


シーク 「…7割半の方が戦意喪失しています」


フィオ 「……ッ………ニコ様にお声をかけていただけ-」


シーク 「無理です」


フィオ 「どうして…!?」


シーク 「……ッ!」



30分前

シーク 「………お待ちください! どこに行かれるのですか…!?」


兵:どこって…逃げるんだよ 


シーク 「に…逃げる…!? 待ってください、皆様が居なくなっては勝つ-」


兵:勝てるわけねぇだろうがッ!


シーク 「た…確かに絶望的な状況に変わりはありません…ですが…!」


兵:…先代王が亡くなってうちは終わったんだ!


シーク 「……っ」


兵:侍従のあんたを差し出しさえすればシルアーナは亡国にならずに済んだ…!」


シーク 「……」


兵:他はどうか知らねぇ、俺はもうここの兵じゃねぇ


ニコ  「…シーク………」


兵:じゃあな、おら。行こうぜ


ニコ  「まっ………て」


(ニコを横目に通り過ぎていく兵たち)



フィオ 「……」


シーク 「多く見ても2500人といった所です…」


フィオ 「…わかった………戻ろう」


シーク 「…はい」



同日 (ニコの部屋)

ニコ  「あれが国民の声よ」


メイド:え…?


ニコ  「…毎日城門に押し寄せて私の名前を叫ぶの…どうして私が女王なんだと」


メイド:……あれは……


ニコ  「私だってなりたくて女王になったわけじゃない…」


メイド:…


ニコ  「一人にして……」



(龍騎士団本部)

フィオ 「シーク、君はどうする…?」


龍騎士Ⅰ:ニコ様の護衛として配置することが一番良いかと思われます…が…


フィオ 「…うん。相手も絵具使いだ……僕ら龍騎士が3人がかりでやっとどうにかなるか…シークの存在が鍵になる」


龍騎士Ⅱ:シーク殿以外…の護衛が成り立つのであれば…是非とも力をお借りしたい


シーク 「…!」


フィオ 「…シークはニコ様に確認してきてくれるかな」


シーク 「わかりました、行ってきます」


フィオ 「シーク…!」


シーク 「? はい」


フィオ 「…早く、返ってきてくれ」


シーク 「! はい」



ヴェン 「…水軍、水路の確保ができた様です」


バリス 「水軍とな。先日の戦では使わなかったのか」


ヴェン 「いえ。厳密には使う事が出来なかったというのが正しいか。ロノグァは別名地の国。水源が無くては水軍は動けません」


バリス 「成程。俺の知る水軍とは少々違うようだな」



ニコ  「シーク…。おかえりなさい、会議はいいの?」


シーク 「…ニコ様…。お願いがあるのです」


ニコ  「…何…? 言って?」


シーク 「…私に戦わせてほしいのです…護衛ではなく…一人の兵として」


ニコ  「……」


シーク 「…お願いします」


ニコ  「………抱いて」


シーク 「……!」


ニコ  「これが最後かもしれないじゃない、だから」


シーク 「……ッ……」


ニコ  「…何…?」


シーク 「…僕を困らせないでくれ……! 君は女王…僕はただの侍従なんだッ!!」


ニコ  「私は-」


シーク 「僕と君は一生結ばれることは無いんだッ!」


ニコ  「……シーク」


シーク 「……何?」


ニコ  「………私は……」


シーク 「………」


ニコ  「……ごめんなさい……。この話の続きは……貴方が帰ってきたらしましょう」


シーク 「……!」


ニコ  「……」


シーク 「………ありがとうございます」



フィオ 「……どうだった?」


シーク 「…私も戦います」


龍騎士Ⅰ:シーク殿が味方となれば1000人力ですな


フィオ 「そうだね。シークには後で改めて説明する、ひとまず解散しよう。偵察龍からの伝達も無い、今日はゆっくり休んでくれ、

明日。朝から準備に取り掛かろう。」


龍騎士Ⅱ:はっ



(灯台)

フィオ 「…シーク、一つ…。聞いてもいいかな」


シーク 「はい…?」


フィオ 「…君は、自分がどうして男に産まれたんだろう、と考えたことはある?」


シーク 「…変わった質問ですね」


フィオ 「…あぁ…ごめん…」


シーク 「…どうして侍従なんだろう…と、思ったことはあるかもしれません」


フィオ 「…似ているのかな、君と僕は」


シーク 「えっ?」


フィオ 「…いや…なんでもない……寒いね…」


シーク 「風邪をひかないように気を付けて下さい、これ。どうぞ」


フィオ 「で…でも、君が冷えるよ」


シーク 「私はそろそろ着替えてきますので。良かったらお使いください」


フィオ 「……ありがとう…………シーク。僕は…どうしたら…いいの…かな………」


シーク 「どうしたら…?」


フィオ 「……ううん。なんでもないんだ、終わったら…すべてが終わったら話すよ」


シーク 「…はい。わかりました…お待ちしていますね」




11月23日

ニコ  「…あなた達も逃げていいのよ」


メイド:いいえ。私達はニコ様のメイドでございます、いかなる時もお傍に居ます


ニコ  「…そう………危険になったら逃げるのよ」



(龍の小屋)

フィオ 「元気そうだね、ノア」


ノア:グルルルルルル…


フィオ 「…頑張ろう」


シーク 「おはようございます」


フィオ 「おはよう、シーク」


シーク 「準備は順調みたいですね」


フィオ 「…うん。仕事の早さ、効率には定評があるシルアーナだ。ほら、ノア」


ノア:クルルゥ…?


シーク 「こんにちは、ノア」


ノア:ウーン……クルルルルル


フィオ 「…ノアが目を細めるほどに喜ぶなんてね。シークが気に入ったみたいだ」


シーク 「ドラゴンって怖いイメージがあったんですが、こうしてみると可愛いですね」


フィオ 「うん…ここまでになるのに凄く時間がかかったけどね。な、ノア」


ノア:グォン……


シーク 「いつか、乗せてくれないか。ノア」


ノア:クルルル……。


フィオ 「いいとも、って言ってるよ。本当にシークが気に入ったんだな、お前」


ノア:フゥゥッ…



(ロノグァ-玉座の間)

バリス 「報告いたします、シルアーナの者達が準備にかかり始めた様です」


サーシャ「無駄な事を」


バリス 「1万ほどいると見ていましたが、5000もいないようです」


サーシャ「戦意喪失よ、」


ヴェン 「11万対3000といった所でしょうか。赤子の手をひねる様なものでしょう」


サーシャ「…0時きっかりよ。シルアーナを潰しなさい」


ヴェン 「はっ!」



(シルアーナ-玉座の間)

フィオ 「…恐らく、明日の0時ちょうどに夜襲をかけてくるつもりです」


シーク 「偵察龍…ですか?」


フィオ 「…あぁ。21時から、全軍臨戦態勢に移ります」


ニコ  「……必ず、帰ってきて」


シーク 「…はい。ニコ様の事を…頼んだ」


メイド:はい…! どうかご無事で、フィオ様…シーク様!


フィオ 「…行こう、シーク」


シーク 「はい」




11月24日 (ロノグァ-砦)

バリス  「…0時だ」


サーシャ 「…潰しなさい」


ロノグァ兵:おおおおおおおおおおお!!!!!


ヴェン  「行けッッ!!!」



ニコ  「…あれは…松明の…火……!? 何人いるの…!?」


メイド:大丈夫です、ニコ様。命に代えても、お守りします



フィオ 「弓兵が西門に接近! 投石部隊ッ!!」


シーク 「フィオ殿…! 来ますッ!」


フィオ 「行くぞォォッ!!」



ロノグァ兵:ご報告いたします! 正門特攻隊が全滅しました! また、東門、西門へ進軍した兵たちは謎の落雷に襲われ壊滅状況に陥っています!


ヴェン 「まさか…ッ!」


バリス 「シークだろうな」


サーシャ「フフッ…フフフッ……あははははははッ」


ヴェン 「…!」


サーシャ「想像以上よ…天の神童…! 何としてでもシークを捕らえなさいッ!!!」



シーク 「天よッ!! おおおおおおォォッ!!」



ニコ  「あれが……シークの力…」



フィオ 「龍騎士団! 落雷を恐れるな! あれはシークの技だッ!! 僕たちに当たりはしないぞッ! ん、邪魔だッ! 行け、ノアッ!!!」


ノア:グォォァァァァッ…!!


シーク 「はぁっ…はあっ……せやァァァッ!! ふんッ! そォらッ!!!」



ヴェン 「水軍の力をお見せしましょう」


バリス 「ほう…」


ヴェン 「水軍…行けッ!」



伝令:伝令! 南門が水軍により突破されましたッ!


フィオ 「水軍!? 何処に船があるんだッ!」


伝令:人魚です!


フィオ 「人魚ッ!? 川を遡って来たのか!」


シーク 「ッはァァッ!! 行ってください、フィオ殿ッ!」


フィオ 「シーク…!?」


シーク 「…早く……!!! 天よッ!!!」


フィオ 「…あぁッ! ノアッ!! 行けッ!!!」



メイド:ニコ様! カーテンをお閉め下さい!


ニコ  「…えぇ………」



バリス 「大地よッ!!」


シーク 「! しまったッ! うぉぉぉァァァッ!?」


バリス 「一騎当千、いや。一騎当万とも言えよう、シーク=トゥイリス」


シーク 「…地の…絵具……!」


バリス 「フンッ!」


シーク 「…はッ!」


バリス 「ぐぅっ!?」


シーク 「天よ………! 貫けッ! せあッッ!!」


バリス 「っぢィッ! ぬんッ!! 大地よッ!! おおおおおおお!!!」


シーク 「…やめろッ!」


ロノグァ兵:うわあああああああああッ!?


シーク 「!? なぜ味方を!」


バリス 「笑わせないでもらおう。所詮は捨て駒、何人息絶えようが俺には関係ない」


シーク 「ッ…! クソッ!! はァァァァッ!! フンッ! そぉ…らァァァッ!!」


バリス 「ゥっ…………はっはっは……」


シーク 「……何がおかしい……!」


バリス 「クッ………ハハッ」


シーク 「答えろッ!」


バリス 「…俺にばかり気をかけていていいのか?」


シーク 「何ッ!」


伝令:シーク様ッ! フィオ殿が……フィオ殿が……ッ!


シーク 「…ぇっ…」



ノア:ゴォォァァァッ!!!


シーク 「…ノア…!? まさか……フィオ殿は……ッ!!」



フィオ 「ッ………ぅ……」


ヴェン 「…水軍が来ないものだと油断していたな」


フィオ 「……ァッ……げほっ…げほっ…!」



シーク 「フィオ殿ッ!!」


ヴェン 「…! シーク」


フィオ 「…シーク……ごめん…」


シーク 「…ッ……」


ヴェン 「終わりだ」


シーク 「…まだだ…ッ!!」



サーシャ「いいえ、終わりよ」



フィオ 「…!? ユニコーン…!」


ニコ  「離してッ…! 離しなさいッ!」


シーク 「ニコ様ッ!?」


バリス 「俺にとどめをさしておくべきだったな、シーク」


シーク 「ッ…!」


サーシャ「…もう一度だけチャンスをあげるわ、シーク」


フィオ 「…げほっ……!?」


サーシャ「私の侍従になりなさい、そうすれば今すぐ撤退させるわ。そうね…ニコの命……そこの龍使いも助けてあげるわ」


ニコ  「いい…私の事なんていいから、シークッ!」


ヴェン 「サーシャ様が話されているのはシークだ」


シーク 「…」


サーシャ「これが最後のチャンスよ。あなたがうんと言えば…皆の命が助かるの」


フィオ 「シー……ク…」


シーク 「…わかりました」


ニコ  「…シークッ! やめて、シーク待って!」


シーク 「……行きましょう」


サーシャ「待ちなさい」


シーク 「…はい」


サーシャ「私の靴を舐めなさい」


フィオ 「…! 何を…やめろ、シーク!」


サーシャ「忠誠を誓いなさい、この私に。ほら、舐めなさいよ」


シーク 「……っ…」


ニコ  「…やめて…やめて…やめてェェェッ!!!」


シーク 「…んっ……ぅ…………っ」


サーシャ「そう。利口ね、シーク……シルアーナの者達、ニコの侍従に感謝することね」


ニコ  「ぁ……ぁ……っ……」


サーシャ「まばたき禁止よ、ニコ。あなたの侍従が…いいえ。あなたの愛した男が犯される瞬間をその目に刻む事ね」


ニコ  「や……め………て…」


フィオ 「やめろォォォッ!!」


サーシャ「フフッ……(口づけするサーシャ)ちゅ…ッ…ん…ん…ゥ……ねぇ…こっちを見て、シーク」


ニコ  「シ……………ク……」


シーク 「……む……ふっ……ぅ……ぷはっ…っ…っ……ニコ………ッ」


ニコ  「……シー……クッ…!?」


シーク 「……見ないで…………んっ…ぅ……」


サーシャ「……っふぅ………シーク、私は…貴方の遺伝子が欲しいの……ねぇ、素敵でしょう…? フフッ」


シーク 「…ッ!?」


サーシャ「情事を重ねると言えばわかるかしら」


ニコ  「ァ…………ぁ……」


サーシャ「……ごきげんよう、ニコ」


フィオ 「……ぁ……っ……」


ニコ  「ああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」




11月25日 0時過ぎ (シルアーナ-ニコの部屋)

ニコ  「…………」


フィオ 「…」


ニコ  「…殺して………」


フィオ 「……っ」


ニコ  「………私を殺して」


フィオ 「……できません」


ニコ  「……っ……私はシークを愛して-」


フィオ 「救出します」


ニコ  「……無理よ」


フィオ 「………ニコ様。もうすぐ…シルアーナは終わるでしょう、裏切ったロノグァに滅ぼされるか…怒れる国民たちによる反乱か」


ニコ  「……」


フィオ 「…必ずしもシークを連れ戻します。……そして……シークと…お逃げ下さい」


ニコ  「…ッ!」


フィオ 「シークの幸せが、私の幸せです………私の…幸せですから」


ニコ  「…フィオ……貴方ッ」


フィオ 「………行ってまいります」



(ロノグァ-サーシャの部屋)

サーシャ「脱ぎなさい」


シーク 「………畏まりました」


サーシャ「…あなたの子種をよこしなさい」


シーク 「……」


サーシャ「こっちを見なさい」


シーク 「……ッ……!」


サーシャ「泣いている姿すら美しい……何か言いたそうね」


シーク 「…僕は……お前に屈したりはしない…ッ!!」


サーシャ「…そう…。実際はどうなのか。身体に聞いた方が良さそうね」


シーク 「…ぅっ……ふ…」



(シルアーナ-龍の小屋)

ノア:キュゥ……クルルルッ…


フィオ 「…ノア……。最後に一仕事、お願いできるかな」


ノア:ウゥン…


フィオ 「………行こう」



サーシャ「はぁっ…はぁっ……っふ……どういう事………」


シーク 「っ………はっ……ぅ…ぅ……ぁっ…」


サーシャ「何故…何故………我慢なんてできるはずない…なのに…何故……早く…出しなさいッ」


シーク 「はぁっ…はぁっ…はぁっ………」


サーシャ「…絶頂なさ-!?」



フィオ 「シークッ!」


シーク 「…っ………フィオ殿…ッ!」


フィオ 「遅かった……いや……間に合った…」


サーシャ「邪魔を……バリス…ヴェンッ!!!」



バリス 「サーシャ様ッ!」


ヴェン 「…貴様…ッ…!」


フィオ 「…シーク……逃げようッ」


シーク 「…はいッ!!」


サーシャ「逃がすな……逃がすなァァァッ!!!」


ノア:グォァァァッ!!!


フィオ 「行って、ノアッ!!」


ヴェン 「逃がさんぞ……海よッ!」


シーク 「っ! ……天よッ!!!」


フィオ 「しまったッ! (ノアから落ちたフィオ)う゛っ…!」


シーク 「フィオ殿ッ!!」


サーシャ「その男だけでも構わない…殺しなさいッ!」


フィオ 「僕に構わないで…行けッ!」


ノア:ウ゛ォォン……


フィオ 「ノアッ!!!」


バリス 「…大地よッ!!!」


フィオ 「あ゛………ぅ……ッ……ォ……」


シーク 「フィオ殿ッッ!!!!」


ノア:クルルルルルル……ギィァァァァァッ!!!


フィオ 「シ………ーク……僕は……君が……好きだ…」


サーシャ「逃げられるとは思わない事よ、シークッ!!!」


シーク 「ノアッ!!!!」


ノア:……! ゴァァァァァッ!!!


フィオ 『…来世も……君に逢えるかな』



(シルアーナ-玉座の間)

シーク 「ニコッ!!!」


ニコ  「シーク…ッ!? フィオは……」


シーク 「……」


メイド:お逃げ下さい、シーク様…ニコ様ッ!!


シーク 「…ニコ」


ニコ  「シルアーナは…」


シーク 「もう、間に合わない」


ニコ  「…逃げるって…どこに逃げるの…」


シーク 「わからない…ただ…逃げ続けるしかない」


ニコ  「…わかった……」


シーク 「…どうか…僕を赦して欲しい」


メイド:お二方の幸せを…願っております


シーク 「…外にノアを待たせてる…行こう…ノ…ア……?」


ニコ  「そんな……もう…ロノグァの兵が………!?」


シーク 「初めから撤退するつもりなんて無かったんだ…………ッ!」


メイド:お逃げ………く…だ……さ…い


シーク 「こっちだ……ッ!?」


(すでに回り込まれていた2人)

ニコ  「……嘘…なんで……」


シーク 「……ニコ…ッ」


ニコ  「シーク…ッ!」


シーク 「…愛してる…」


ニコ  「私も、一生貴方………と……」


シーク 「…ニ………コ………」


ニコ  「……これ………なら……ずっと……一緒…ね………シー……ク…」


シーク 「…も…う……二度………と…はなれ-」



ヴェン 「1つの槍に二人で貫かれるとは」


バリス 「実に滑稽、本人たちはこれを望んだのだろう。なら良いではないか」


サーシャ「……シルアーナの国の者は全て殺しなさい」


ヴェン 「畏まりました。バリス殿」


バリス 「どうした」


ヴェン 「結果として勝ちは揺ぎ無かっただろうが、シルアーナの先代は国を越えて知られるほどの戦上手。

もしニコ女王でなければ何かが変わっていたと思われるか?」


サーシャ「そんな不毛な会話に何の意味があるの?」


ヴェン 「…不毛…ですと…?」


バリス 「先代王を暗殺したのは私だ」


サーシャ「私が命じたのよ、邪魔だから殺せと。ニコが就任すれば、国は崩壊するのはわかりきっていたことよ。フフッ…」




-年前(???)

ニコ  「大きな式場で綺麗なドレスを着て……貴方と誓いのキスをするの…!」


シーク 「今からそんな話してどうするんだ」


ニコ  「良いでしょう…! 私の昔からの夢なんだもの…! 絶対に叶えるんだから!」


シーク 「はぁ」


ニコ  「ねぇ、シーク!」


シーク 「なんだよっ…!」


ニコ  「あなたは…私の王子様だから…いつか、結婚して」


シーク 「……う…うん」


ニコ  「あ、うんって言った!」


シーク 「…ニコは…僕の…お姫様だから……その……」


ニコ  「なぁに?」


シーク 「なんでもない…ほら、行こうッ!」


ニコ  「ちょ、ちょっと待ちなさいよッ!」


END

sΩrAノ果テ -ソラノハテ-

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