1/1
1小さな箱から
1小さな箱
箱を見つめる
者がいた
この世界での物語は
ここから始まる
小さな箱とは
今 貴方が見ている箱それである
なぜここに居るのか
彼には
わからなかった
無性に
寂しく悲しかった
彼は
あてもなく歩きだした
2近寄らない気配
あてもなく歩く彼
足取りは重く
手がかりもない
自分が
何をするのか
何者なのか
何かの気配はするが
それ以上ではない
それ以上というのは
その気配に近よれば
近よる分だけ遠ざかる
一定の距離で
気配はする
最初から
その正体を知ろうとも思わなかった
なぜなら向こうも
明かそうとしていないのが
わかっていたから
どれだけ歩いたか
わからなかった
疲れては眠り
朝が来ては歩き
何日も何日もそれを繰り返した
近寄らない気配と一緒に