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異世界転生 第一章 『異世界転生』

・・・気持ちがいい風だ。草の香り。暖かい日差し。鳥のさえずりが心地よい。

(今は何時だろう。たしか、今日は俊君と夕御飯を食べる約束だったはず。んっ?今、何時だ???寝過ごしてしまったか。)


ハッと、顔を上げてみる。


・・・・俺の目の前には広大な草原と雄大な山々がそびえ立つ。


えっ????ここは・・・・・・・・




どこだっ!!!!


一目で日本でないことはわかった。何故なら俺は子供の頃から富士山にちょくちょく登っていた。最初は体力作りの為だったが最近は頂上までたどり着いている。それはさておき今、目の前にある山々は富士山の5倍はある。

こんな山はありえない。

よく見てみれば太陽も2つある。西と東に1つずつ。



「なんだ、ここは・・・・・・・」

混乱している。どうなっている?待て待て、こういう時こそ落ち着かなくてわ。

胸に手を当てて気持ちを穏やかにする。

最後に覚えてることは、なんだった?あれは、たしか・・・・・・・・




赤と黒の世界。そうだ、俺はあの時トラックに跳ねられて・・・・・・・・

そして、どうなった?





そうだ・・・あの後、あいつに会ったんだ。



あの後気付くと目の前には犬が杖を持って立っていた。

なんだ、これは????夢???


「余は神である。」


俺は何も言わずジーっと見ている。



「余は神である。」


さっきよりも少し大きな声ではっきりと喋った。

犬が喋っている。この犬、なんていう品種だったか。どこかのセレブが飼っていてテレビで紹介されてたな。えぇーと、何て言ったっけ?



「余は!!神である!!!!」



でかい声で繰り返したなぁ。

そういえばエジプトの壁画にこんなのが描かれていたような。



「おいっ!聞こえているんだろ!お主、我の言葉も理解しておるだろ??返事位するのがマナーであろう。それに、神に会ったのに驚きもしないとはなんたる侮辱!少しは驚くのが優しさであろう。」


「あっ、すいません。ちょっと、考え事してたんで。」


目の前の神と名乗る犬は不機嫌な顔でこっちを睨んでる。


「ところで、ここはどこですか?」

周りを見渡しても真っ白で部屋なのか外なのかさえもわからない。


「ウホンッ!ここは次元の繋ぎ目と呼ばれる所じゃ。そなたは前世で死に、魂だけがここにたどり着いたのである。」


「次元の繋ぎ目?魂?あぁ、俺、あの時死んじゃったのか・・・。あっ!そういえば、一緒にいた俊君とブランは??」



・・・・神様と名乗る犬は首を横に降る。


「お主と共にいた者達もあの時死んでおる。」






・・・・・・・あぁ。俺は二人を守れなかったのか。大切な二人。自分が死んでしまったことより彼らを守れなかった悔しさが涙と共に溢れだす。



「・・・っ!俊君!・・・ブランっ!!ごめん・・・。」


涙が止まらない。あの時、俊君を突き飛ばせば助けることが出来たはず。あの時ケージを置いていればブランは助かったはず。僕が二人を死なせてしまった。ごめん。ごめん。ごめんなさい。

立っていることが出来ず崩れ落ちる。





「お主は前世で大きな未練を残しておるな。さすれば、この次元の繋ぎ目に来れたことは幸運かもしれん。・・・お主、転生する気はあるか?」



俺は涙を拭きながら神を見つめる。

神の話では死んだ者は輪廻転生といい、また同じ世界で生まれ変わるという。だが、まれにこの次元の繋ぎ目に迷い混む魂があるのだという。次元の繋ぎ目はここ以外にも存在し、それぞれに神と呼ばれる者が管理をしているという。通常は元の世界に戻すのだが特に明確なルールは決められていないのだという。そこで、この神はこんな提案をしてきた。


元の世界とは違う世界でやり直してみないか?

異世界と呼ばれる世界で転生してみないかと言うのである。メリットはいくつかあるらしい。1つは前世の記憶を全て引き継げること。茂木一彦という個性を引き継げるのである。次に恩恵という物があるらしい。これは神が転生者に贈るボーナスらしい。神が言いたいのは、この2つの特典を活かして次の人生は悔いのないように生きろという事らしい。


「恩恵というのは具体的にどのような物なのですか?」

僕は早速今の話に食い付いた。ゲームと漫画好きの性である・・・


「今から余が質問する。その中で恩恵を決めていく。」


黙って頷く。


「お主が一番に大切に思う物を教えよ」


考える。両親は大切だ。自分の事をここまで育ててくれたのに結局、何ひとつ親孝行せずに死んでしまった。

しかし、やはり思い付くのは・・・・・・・


「友です。友がいることで僕は心強く感じるので」


「なるほど・・・・。供を持つことで強くなる能力だな。よし、お主には《魂の共有:リンク》を与えよう。」


(んっ?・・・・なんか話が噛み合ってないような・・・・。)



「あっ!あの・・・」

「では次の質問だ。お主の忌み嫌う物を教えよ」


・・・・こいつ、俺の話を聞いていないな。。。



「さぁ、答えよ!」


忌み嫌う物?なんだろう。嫌なこと???




「うーん。強いていうなら不健康ですかね?」


「なるほど。戦争と疫病の神 ネルガルが憎いと。」




(はいっ?ネルガルさん?誰ですかその方は???こいつ、俺の話ちゃんと聞いてるのかなぁ。)


「よしっ。では、《神体強化術:ジンガ》と《超回復術:キュアペリン》を授けよう。」


「あのー、すいません。ちなみに恩恵というのはいくつ頂けるものなんですか?」

僕は話を聞かない神に聞いてみた。


「うむっ?わからん。異世界転生自体初めてなのだ。」


「えっ????」


「そもそも、神と話せる人間なぞおらんからな。異世界転生には本人の承諾が必要になるのだ。」


・・・・どういうことだ?であれば、なぜ俺は今、会話が出来ているんだ???


「あの~。であれば俺って何で今、神様と話せているんですかね?」

恐る恐る聞いてみる。


「なんだ、お主自分で気づいてはおらんかったのか。お主は生前から《異獣思念会話:ビーストテレパシー》の才能を持っておったのだぞ。」


ビーストテレパシー???動物の考えてる事がわかったというのか。そう言われればいくつか思い当たる点はある。。。



まさか、超能力者だったとわ。


「だから、神様とも話せているんですね。」


「うむっ。余は生きている時は犬と呼ばれる存在であったからな。神になるには清き魂のまま12回転生をすることで初めてなれるものなのだよ。」


はぁあ。まさか、生きている時は自分が動物と話せるなんて思っていなかった。無意識に能力を使っていなかったのだろう。そういえば、あの事故にあった時・・・・誰かに危ないっ!て言われような気がする。あれって、もしかしたら・・・・



「では、行ってこい!次は良き人生を歩めるように!悔いのないように死ぬのだぞ!」


「あっ!ちょっと、まっ・・・・」


ヒュシュン!!!


既にその場に一彦の姿はなかった。

神は顎を掻きながら考える。


(あの時の恩はこれで返したぞ。あとはお主次第じゃからな。)


静寂の中神様もどこかへと歩き出すのであった。

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