『討伐依頼』
『それで、お主らにやってもらいたいことだが・・・・・』
カノン達は黙って聞いていたが誰もがこの状況に納得していなかった。※ブランを除いて
特にシンとナルケンは裏でカノンが止めなければ確実に殺りにいったであろう。
『この森の奥深くにいる幻鸚鵡族を退治してもらいたい。奴の名はショー、一族の裏切り者だ。』
幻鸚鵡族の長は苛立た表情で語る。
それを聞く皆は更に輪をかけて苛立っているようだった。
『それで、そのショーってのは何をしたんだ?』
カノンは仲間をなだめつつ話を進める。いっ!シン!隙あらば仕留めにいこうとするな!)
幻鸚鵡族の長は尚も見下す表情で話す。
『ふっ、奴は一族の秘宝である【肥沃の種】を持ち出したのじゃ。それは門外不出の伝説級アイテムであり代々長にのみ受け継がれる一族の宝じゃ。お主らが奴を倒し、その秘宝を無事取り戻せたのならばこの森より解放してやってもよいぞ』
ビビッドが【肥沃の種】と聞いたときピクリと反応したのが見えた。
『おいっ、幻鸚鵡族よ!【肥沃の種】と言ったか!?それは古代に絶滅したと聞くあの種のことか?』
ビビッドはカノンの頭まで移動し遥か上空ににいた幻鸚鵡族へ問いただした。
『ほう、少しは価値が分かる者もいたか・・・・お主のいう通り【肥沃の種】は古代カクダ時代に絶滅したと言われる伝説級アイテムだ。 一撒きすれば瞬く間に豊養で巨大な森へと変化する我が一族の秘宝よ。永年の一族の知の元、絶滅より復活させたというのに・・・・・おのれ!奴め!勝手に持ち出しおって!!』
カノンが会話に割ってはいる。
『ちょっと待て!その【肥沃の種】っていうのは1つしかないのか?もし、そのショーって奴がそれを使っていたら俺達には機会がないじゃないか!!』
幻鸚鵡族の長はカノンを見下し話す。
『阿呆め。【肥沃の種】はひと月のうち満月の夜しか力を発揮できない。奴が何に使おうとしても今宵の満月の時までは奴は手元に持っているはずじゃ。』
それを聞きカノンもムッとなる。
(いやいや、最初からそれ言えよ!!あと、シン、殺る ?殺る ?っていう目で見てきても殺らないから!!)
(裏切り者の幻鸚鵡族を見つけだしてその【肥沃の種】とやらを持ち帰ればいいんだな。ここで断っても先程の状況に戻るだけだしな。)
『わかった。その条件をのもう。』
カノンは仕方がなくその条件に従うことにした。
『たわけ!人間ごときが!お主に決められる話しではないわ!おいっ!東のっ!なぜ、弱小なる人間ごときと共にいる?お主の目の前でうろついておる目障りな虫をなぜほうっておるのだ!?』
幻鸚鵡族の長は羽をバタつかせギネに問いかけた。
ギネは込み上げる怒りを一度飲み込み幻鸚鵡族の長へ話す。
『聞けっ!この方こそ我々の主であり、魔獣の王!カノン様である!』
ギネの高らかな声は静かな森とカノンの恥辱を感じている心に響くのだった。




