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『人化の術』

とりあえずメンバーは決まった。


蜥蜴人族(リザードマン)の長(新任):ガハも『付いていきます』と言っていたが村の警護を頼んだ。アロン達と協力して留守を守ってほしいと伝えると素直に聞いてくれた。



しかし、こいつは駄目だった。


ブランは一通り話が終わると当たり前のように話し始めた。



「わーい!久々のお出かけだね♪ご主人様と遊びに行くのは楽しみだなぁー。」



(えっ?まさか、ブラン・・付いてくるつもりなのか?)


僕は一瞬耳を疑ったがこいつのご機嫌な表情を見るとまず間違いなく付いてこようとしていると悟った。



「ちょっと!!ブラン!まさか、お前、付いてくるつもりなの?今回は少数で静かに行くつもりだからお前は付いてこれないよ!!」


ブランは一瞬で凍りついた表情になった。


「やだ!」



(へっ?)



「やだ!やだ!やだ!やだ!」



村は集会所がガタガタと揺れる。


(ちょっ!ちょっと、ちょっと!)


「行く!僕もご主人様と一緒に行くもん!!!」


さらに駄々をこねる竜は尻尾をバタバタさせさわぐ。


建物は揺れを増し皆柱にしがみついていた。



「ちょっと!わかった!わかったから暴れるのはやめろ!やめてくれ~」




数分後やっと、落ち着いたブランにカノンが話す。


「ブラン!今回は本当に気づかれる訳にはいかないんだ。お前がいると嫌でも目立ってしまうんだよ」


カノンはブランの体を撫でながら優しく説得した。

すると、ブランは何かを思い出した。

「あっ!それなら大丈夫だよ!ちょっと、待ってて!」



ブランは瞳を閉じ何かを呟き始めた。


すると、全身が光に包まれ姿を変えた。


一人の少女が目の前にいた。

茶髪の紅い眼をした女の子。歳はリサの弟、イロスと同じ位だ。


・・・っ!!


まっ!まさか・・・



「ご主人様!これなら大丈夫でしょ!」


少女は急ぎ足で勢いよくカノンの胸に飛び込んできた。



「おっ、お前、ブランなのか?」


カノンは驚き、やっとこさ声を出した。



「そうだよ!ご主人様!どう?凄いでしょ?」


(いやいや。え?なんで?竜って人の姿になれるの?)


「ちょっと、ちょっと!ブラン、それ、どういうことなの?」



「あっ!これ?ご主人様にいってなかったっけ?」


ブランはカノンに抱きつきながらも話始めた。



ブランは前世で死んだあと、カノンと同じ様に神様の前で気がついた。そこにはシマウマがいたらしいが、ブランはそのシマウマに精一杯気持ちを伝えた。


その望みは1つだけ。


人間になりたい!!!



シマウマの発する言葉はカタコトだったが理解出来たらしい。


人化の術:人の言葉を話せたり聞ける。また、姿も人間に変化出来る。



なるほど、そのお陰でブランは人の言葉を話せるのか・・・。


まぁ、僕には《異獣思念会話:ビーストテレパシー》があるから僕とだけは会話出来たと思うけど。


(いやいや!ブラン、でも何故女の子?お前、犬の時は雄だったよね?しかも、裸。いくら幼女とはいえ目のやり場が・・・いや、幼女なら気にする方が変か・・・いや、いや、幼女だからこそ・・・)


カノンが混乱している時、集会所の扉が開く。



「皆さん、お疲れ様です。お茶をお持ちしましたよ~。」



扉からリサが休憩のお茶を差し入れに持ってきた。


っっっっ!!!!!????



「えっ????カノン君・・・・」


リサの顔色が真っ青になっていく。



カノンは慌てて説明をしようとするが、


「最低っ!」


リサは素早く熱々のお茶をカノンにかけた。


「うわー、あちー!!!!あつっ、あつ!ちょっと、違う!違うんだぁー!」


ブラン(人型)はそれを颯爽とかわしカノンだけが熱々のお茶まみれになっていた。


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