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『衝撃』

巨大なドラゴンが村人達を見下ろす。


ドラゴンはこの異世界でも稀な存在である。

その圧倒的な力の為、ある一部の地域では神格化さえされていた。


というのも、この世界に純粋なドラゴンは三匹だけだった。


物語や言い伝えで出てくるドラゴンは人間に災いと死をもたらす存在・・・・・・・・。



「おぉーい!みんなー!こっち、こっちー。」




リサ以外は顔を伏せ震えながら祈っている。



「あれ?こっからじゃ聞こえてないのかな?」

カノンはドラゴンの頭をポンポンと軽く叩く。


『おい!ブラン、こっから下ろしてくれ。』


『えぇーっ!せっかくご主人様を乗っけれたのにもう、降りちゃうのー。』


ドラゴンは悲しそうに渋々頭を地面に近づけた。


リサがすぐにカノンに駆け寄る。

「カノン君!良かった!無事で!」

泣きながらリサはカノンにしがみついた。


カノンはビックリした表情をうかべる。

リサの良い匂いと柔らかさに少し頬を赤く染めた。


「ただいま。無事に戻ったよ。皆も無事だったかい?」



「うん。でも・・・・・・・・バカ!バカ!カノン君!一人で戦いに行くなんて・・・・死んじゃうかもしれなかったんだよ!!」



リサは泣きながらもカノンから離れようとはしなかった。

カノンはまたリサを泣かせてしまったことに若干の罪悪感を感じた。


「カノンっ!?カノンなのか???」


やっと、アロンが顔を上げカノンへと近づいてきた。

間違いない、たしかにカノンだ。


「カノン!良く無事で・・・・それよりも、この状況だが・・・・説明して貰えるか?」



カノンはそっとリサの肩を押し笑いかける。


「ただいま戻りました。皆さん!怖がらなくて大丈夫です。このドラゴンは僕の家族のような者なんです。」



 

村人達は固まる。




・・・・・・・・??????





(あっ!この顔久々に見た。)

いつも、カノンが何かする度になる例の表情だ。


(まぁ、たしかに今回は仕方がないか・・・・。)


カノンは頬をポリポリと掻きながらブランを見上げた。


ブランは嬉しそうにこちらを見ている。


「とっとにかく、このドラゴンは害はありませんので皆さん安心して下さい!」


カノンの声が聞こえるか聞こえないかぐらいの遥か後方に村人達がひとかたまりになり此方を伺っていた。


「みんなー!宜しくねー!」


カノンはブランの余りにも軽い挨拶にガクッとなった。



!!!!!!??????っっっっ!!!!!!


村人達が更に驚いている・・・・



えっ?????



「ドッ・・・・ドラゴンが喋った!!!???」

誰かが叫んだ。


(えっ!???ドラゴンが喋った??いやいや、そりゃあ、ドラゴンでも喋るだろ。生き物なんだから。)


「皆さん、落ち着いてください!こいつは・・・・」


「あっ!ブランだよぉー!こんにちわー!」


(いやいや、だからそんな軽いノリじゃない・か・・・・ら。んんん( -_・)?????ブランお前???)



「ブラン!お前、まさか?人の言葉話してる????」


「うんっ!」



「えーっ!!!お前、いつから!!!??」


「うーんとね、神様に転生させてもらった時にお願いしたの。次は人間と話をしたいって。」



あぁ。なるほど。そういえば、こいつも転生したんだから神様から恩恵を貰ってるはずなんだよな。



「そうだったのか。ところで、お前、他には神様から何の・・・・」



アロンが話を遮る。

「・・・・カノン、話してるとこすまないが・・・・その、後ろにいる魔物達も・・・・安全なのか???」



( -_・)んんん?????



カノンからはブランに隠れて見えなかったがダークウルフ達の他に蜥蜴人族(リザードマン)大鰐人族(アリゲータマン)亀人族(タートルマン)の魔獣の群れが並んでいた。

その数およそ300体。


生前漫画で見た魔王軍みたいだった・・・・。



「あぁ~、アロンさん安心して下さい。こいつらも皆さんに危害を加えるような事はしません。ちょっと、数が多いからびっくりしたと思いますが」


「・・・・・・・・いやいや、びっくりというレベルではない。この数の魔物ならギャミ王国さえも侵略出来るだろうよ。まぁ、それでも、このドラゴン一匹の方がよっぽど・・・・あれだが・・・・。」


アロンがチラッとブランに視線を送る。


ブランと目が合い慌てて視線を反らした。


「ですよね。皆さんの気持ちは痛いほど分かるんですが実はお願いがありまして・・・・あのですね~、その、なんというか・・・・。」



カノンはしどろもどろになりながらチラチラとアロンを見る。


「ん?どうした?カノン?何なんだ?」



「いや~、大したことでは無いんですよ・・・・その、ですね・・・・」


アロンは少し微笑みながらカノンの肩に手を置く。


「村の英雄が何を遠慮している!何でも言ってみろ!」



アロンはこれでもカノンの親代わりという自負がある。たとえ、異端な力を持っていても本当の息子のように思って今まで面倒を見てきた。そんな、かわいい息子の頼みを聞いてやれないような父親ではいたくない。



「ありがとうございます!この、魔物達も村で一緒に暮らして良いですか?」






・・・・アロンはそっと気絶した。



2018.6.24


ブランが人間の言葉を話せる設定を追加しました。


以前、蛇と戦ったときに布線をはっときながらすっかり忘れてました。


蛇の崇めるボスはドラゴンのブランの事でした・・・・。

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