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『再会』

カノンの体力は大きく消耗していた。

傷はどれも深くは無かったがそれでも、立っていることが出来ず片膝をついてしまう程だった。

やっと、大鰐人族(アリゲータマン)の長、1体は倒したがまだ相手は何百と控えている。


(ははっ。こりゃ、駄目だな・・・・。)



なんとか敵の大将格を倒したが所詮は一体。この先にはまだ何百の敵がいる。更にボスにはあの大龍だ・・・・。カノンは苦笑いを浮かべる。




そんなことを思っていると左側にいた亀人族(タートルマン)が一体で降りてくる。恐らくこいつが長だろう。手には槍を持っている。


『よくぞ人間の分際で我が同眷族を倒したな。奴はお主をなめすぎた。

だが、私は油断はせぬっ。一族皆で貴様らを滅ぼすとしよう。』


亀人族(タートルマン)の長は槍を高らかに掲げる。


カノンの周りにギネとビビッドが集まる。カノンを中心に身構える。


絶望的な状況の中、カノンの頭にはリサの笑顔が思い浮かんだ。まだ、異世界に来て僅かな期間ではあるが死を感じて尚、頭に浮かんだのはリサだった。



(ここで、倒れるわけにはいかないんだ。せめて、せめて少しでもこいつらを減らすことがリサを守ることになるんだ・・・・。)



『二度と大切な人を失う訳にはいかない!俊くんやブランの二の舞にさせるかっ!!!』



カノンは自分を奮い立たせるように立ち上がる!




『では、死ぬが良い。やれ!者共!』


亀人族(タートルマン)の長は構えた槍を振り下ろした。


一斉に亀人族(タートルマン)大鰐人族(アリゲータマン)が飛びかかって来る。






・・・・その時だった。










『待てっ!!!!!!お前らっ!!!!!!!』



高い所で寝ていたはずの大龍が起き、此方を見ている。

その咆哮は凄まじく眷族達はおろかカノン達も動けずにいた。




ゆっくりと龍が近づいてくる。異世界人である俺でもわかる。こいつにはどうあがいても勝てない。

恐らく、一瞬で消されてしまうだろう。せめて、ビビッドとギネだけでもと一瞬の機会を絶望の中伺っているのが限界だった。



だんだんと近づいている。

(駄目だな。今、動けば食われるのが早まるだけだな。)



大龍はカノンの鼻先まで顔を寄せる。






・・・・・・・・。


・・・・・・・・?


・・・・・・・・????


っん??????????




『ご主人様??????』



大龍が何か言っている。

カノンは言っている言葉が理解出来ない。



『やっぱりそうだ!!!姿や声は変わっているけど匂いはご主人様だ!!!』



龍はバッタン、バッタンと巨体な尻尾を降りながら舌を出してハカハカ言っている。



カノンは状況が飲み込めなかった。

しかし、この感じ・・・・以前に何処かで・・・・・・・・。


デジャヴに近い感覚。喉元まで出かかってるような・・・・あの感覚。あと、少し・・・・何か切っ掛けがあれば思い出せるような気がする・・・・。


カノンはジーと龍の瞳を見つめる。綺麗な眼だ。そう、何処かで見たことがある眼だ。綺麗な茶色。これは、たしか・・・・・・・・



っ!!!!!っ!っ!!!!!




『ブラン!!!!!!!!!』




カノンの言葉に大龍は答える!




『ワ"ンッ!!!!!』



巨大な咆哮が洞窟に響き渡る。

天井からパラパラと岩の欠片が落ちてくる。



カノン以外は天井や壁を見回しどこからか崩れないかと気を付けている。


『・・・・。ブラン!・・・・本当にブランなのか????』


カノンは今にも泣き出しそうな顔で龍の鼻を撫でようとする。



龍はそっと目をつぶりその手を受け入れる。


二人の時間が止まる。




そこには幼い少年と小さな子犬の姿があった。










どれくらいの時間が経ったろう?

5秒のような気もするし一時間経ったような気もする。


二人にしかわからない何かを確認するかのように少年と龍は動かない。



二人が同時にそっと目を開ける。



『・・・・ブラン!ブラン!本当にお前なんだね。良かった。生きてたんだな・・・・。』



『ご主人様!ご主人様だ!また、会えるなんて・・・・。嬉しい!今日は最高の日だ!!!』



二人はお互いにじゃれあう。


『それにしても、ブラン!でっかくなったなぁ~!っ!そうだ!あの時、やっぱりブランも死んでしまったんだよな!?』


『うん。あの時僕も巻き込まれて死んでしまったんだ。ゴメンね、ご主人様。あの時僕がご主人様を守れなかったから・・・・』



龍は申し訳なさそうにカノンに頭を垂れる。



『何言ってるんだ!俺の方こそお前を巻き込んでしまってゴメンな。』

そっとカノンは龍に頬を寄せる。



『ってことは、ブランもあの犬の神様に甦らせて貰ったんだな?』



『・・・・・・・・ん???違うよ。僕は馬の神様だったよ。』




『えっ?馬????』


『うん。シマウマ。』



・・・・・・・・・・・・・・・・。




『ブフッ!なんだよ!シマウマの神様って!!!』

カノンは龍の顎を笑いながらバシバシ叩く。


『アハハッ!本当だよっ!ご主人様こそ犬の神様ってどういうこと???。』





二人は笑いながら会話を弾ませている。



それを他の者達はポカーンと見ている。



この状況・・・・なんだ?????



ビビッドと亀人族(タートルマン)の長は顔を合わせ首をかしげるのだった。






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