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前へ  作者: ソラの日常
2/2

やらないよりはやって後悔する

①美波との出会い(中学編)パート2


「席替えしますー」


「これからは運動会、音楽会などたくさんのイベントがやってくる。そこでたくさんの人と話してクラス全体がもっと仲良くなるために、定期的に席替えを行なって行こうと思います。」


クラス委員と担任の先生との間で話をしていて決まったらしい。


中2になってから2回目の席替えだ。


そしてなんと美波の隣の席になったのだ。


「よろしく」


これが健人と美波の初めての会話だ。

周りはざわついている。


イジられキャラで気持ち悪いイメージから美波にはあまり良い印象ではないようだ。


ただ、女子と話すという半端ない緊張と隣になれたという嬉しさがひたすら健人には残った。

その後もぎこちない会話ん何度か話した気がするが、毎日ドキドキ感が強く気がつけば次の席替えになっていた。


席替えは約1ヵ月ごとに行なっていた。

2回目の席替えは近い席になることを祈った。また奇跡が起きたのだ。


さすがに3回目は隣にならなかったが、三学期最後の席替えではまた奇跡が起きたのだ。

合計3回も隣の席になるなんて自分でもびっくりだ。周りもそうだが、美波も驚かざるを得なかった。

そのため、美波も最初は嫌そうな感情があったように感じたが、だんだんある程度は普通に会話をしようとしてくれていたように感じた。


健人はイジられキャラで気持ち悪いイメージはあり、オタクっぽい性格ではあるが、顔は悪くない方だ。ただ、イジられキャラでキモキャラになってしまったせいか、会話をしたいとはあまり思わないのだろう。


結果は分かっている。でももう少しで中2が終わってしまう。中3になると違うクラスになってしまうかもしれない。このまま、嫌なイメージで終わってしまうのは嫌だ。彼女へ尊敬の意と想いを伝えたい。


健人の中で気持ちの整理が出来ていても、女子と仲良くなるためのコミュニケーションを上手くすることができないのだ。


それでも後悔だけはしたくない。


「あのー。掃除が終わって放課後少しだけいいかな?話したいことがあって!」


授業が終わって机を下げてこれから掃除をして今日は部活もないから早く帰れる。

そういう状況だった。部活は健人も美波と同じバスケ部なので状況は分かっている。

席が隣なので、授業が終わって机を下げるときが話すチャンスなのだ。


「うん、わかった。」美波は答える。

健人の仕草とかから感づいたのだろう。

周りの人間が健人をイジることや健人の仕草から健人が美波に好意を持っていることはバレバレだった。

「ありがとう、じゃあ放課後美術室の陰の廊下で。」

健人は美波に照れくさそうに伝えた。



どうしても諦められなかった。努力家の美波の姿と告白のときの美波の涙と健人が自分に好意を持ってくれたことに対しての感謝の「ありがとう」の言葉を健人は忘れることが出来なかった。ただ、もう今までの自分は嫌だ、変わりたい、もっと成長したいと思う自分がいた。



そんな中、卓球部を作ろうという動きがあった。健人は卓球は小学校のころから興味があったため、地域のスポーツセンターで友達とよく遊んでいた。もともと卓球部があれば卓球部に入りたかったが、部活はバスケ部か水泳部かマーチングバンド部のみなので諦めていたのだ。

もちろん部員は誰もなく、希望者候補が健人を含めて3人のみだった。

健人は無理だと思ったが、変われるチャンスだと思い、形だけのリーダーとなって本格的に動いた。その結果、恵まれたこともあり、5人の入部希望者を2週間で集めることができ、卓球同好会ができた。


同好会として本格的に活動をスタートするため、健人は正式の部長となるわけだが、全くリーダーという経験がないのと、そんなキャラではなかったので上手く部員をまとめられるはずもなかった。

それに、マイナス思考で自分に自信を持てない姿についてきてくれる人なんているわけがないだろう。


しかし、どんなに無理な状態でも努力次第で変われるということを美波から教えてもらったのだ。以前の自分なら諦めていただろう。でも今は違う。ありがとう。




中3になった。クラスは運良く美波と同じクラスになれた。中2のときに告白して振られていることもあり、かなり話しにくい状況になっていた。ただ、実は中2の告白はただ振られただけではなかったのだ。



告白当日、美術室の陰の廊下で、健人は好きだという想いと美波に対する感謝の気持ちから簡単なプレゼントを用意していた。

このプレゼントは逆バレンタインデーとして、もらうもらわないに関係なしにバレンタインデーの日に渡す予定だったが渡せなく、数日後の告白のときに渡すことにしたのだ。

逆バレンタインデーなんて、やってることは変な感じに思えるかもしれない。重く感じてしまうかもしれない。しかし、何か形として美波に渡したかったのだ。



そのころ美波は、クラスで記念品として文集を作っていた。

告白当日の待ち合わせ時間は分かってはいたが、美波は文集作成のメイン係だったため、なかなか抜け出すことが出来なかったのだ。


健人は告白することに精一杯で文集係のことを忘れてしまっていた。

しばらくして美波が来ないので、健人は教室に様子を見にいく。


教室に健人が戻ると、美波はすぐに気がついた。

「ごめんね。ちょっとまだ行けなくて」


慌てて健人も返事を返す

「あっ、こっちこそ文集忙しいのに本当にごめんね」


クラスの周りの空気が一瞬静かになった。


健人はまた美術室の陰に戻る。



それから数十分後、美波が告白の場所にやってきた。


告白の場所は静かだった。階段の陰からこっそり告白の現場を目撃しようとしている人がいたみたいだが・・・





「好きです。足の速いところ、カッコイイところ、頭の良いところ、可愛いところ、努力家なところ、全てが好きです。これを受け取って下さい。」


健人はプレゼントを差し出す。


「ありがとう。でもごめんなさい。私、好きな人がいるの。だから・・・・」


だからの後は美波の涙で聞き取れなかった。


その数秒後、美波はそのまま走って去っていった。


大切な人、大事な人を泣かせてしまった。何てことをしてしまったんだ。

健人は後悔した。初恋の人、大切な人を泣かせて傷つけてしまった事実は変えることはできない。


彼女自身も重く感じてしまい、困ってしまったんだろう。


「後悔だけはしちゃダメだよ。」


唯一の親友O君は励ましてくれたがどうしても健人は自分を許せなかった。


不器用で心が弱かったため、本気で自分の存在意義を否定した。

ただ美波と仲良くなりたかった。仲良くなって美波の力になりたかっただけなのに。

そんなことに泣かせて傷つけてしまってから気づくなんて。


僕なんていない方がいいんだ。不器用だし、大切な人も傷つけるし、いろんな人に迷惑をかけて生きているだけ。


死にたい。死にたい。健人は泣き叫びながらこう思っているうちに気がつけば学校の屋上にいた。


身体が風に揺られ、そのまま風に吹かれ、空に飛んでいくように。


もう一人の存在がいなければ、今頃天国か地獄をさまよっていただろう。



時が過ぎ、中3の夏が終わり、卓球同好会も高校受験のため、引退となった。

結局中1かは中2の12月までバスケ部に入り、2月〜中3の夏まで卓球同好会に入っていたことになる。卓球同好会は、中3の12月に正式な卓球部となり、翌年には大会にも出て県大会ベスト8にもなったという。


中3では、美波とは同じクラスにはなったが、席が隣になることはなかった。

ただ、もう一人の存在のおかげもあり、美波とは普通に話せる程度にはなった。


そしてとうとう中学を卒業する時期となる。


振り返ると、健人の頭には、中2のクラスがとても印象に残っている。

また、今もなお、中2のクラスの文集が宝物として心と手の中にある。


「美波ちゃん、ありがとう、このクラスで絶対同窓会しようね!」





中学編 完














ありがとうございます。


中学編は終了です。


これから、健人が屋上にいたときのもう一人の存在とは?

また、美波と健人の今後の関係は?

また、新たな高校での出会いとは?


これからどんどんストーリーが展開されていきますし、あと社会人編から夢達成までと本当に始まったばかりです。


これからもよろしくお願いします。


ソラ

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