美波との出会い(中学編)
この作品は実話を再現したものです。
中学編から社会人編までと長期的なものになりますので、その都度の主人公の成長などを楽しんで頂けると幸いです。
また、感想などを頂けると嬉しいです。
目次(書き次第、常に更新していきます)
作品タイトル『前へ』
①美波との出会い(中学編) パート1
バスケ部に入部し、シュート練習をずっとしてきた中1の夏が終わった。
なぜバスケ部かというと、バスケが好きだからというわけでもなく、特に気になる人がいるからというわけでもない。
ただ、健人が通っている学校に部活動がバスケ部と水泳部とマーチングバンド部の3つしかなかったからだ。
もともと小6までサッカーをやっていたこともあり、球技は基本的に何でも好きだった。そういうわけで何となくバスケ部に入った健人だが・・・
中2になり、新しいクラスになった。
新しいクラスは個性が強い人ばかりで心配はあったが、なぜか親しみやすい環境だった。
あるホームルームで名前が呼ばれる。
O君、Kさん、Mさん、Y君・・・
健人が呼ばれてから3つ後くらいに心に響く声が聞こえた。
美波さんだ。
つい声の聞こえた方向へ首を傾けてしまった。
とてもキレイで声が心に残り、可愛らしい感じがした。このころの健人は、自分を上手く表現出来ず、クラスでは面白いキャラと気持ち悪いキャラが混ざったような存在だった。
クラスの人からはイジメられることもよくあり、自分に自信を持てないでいた。
「できない、弱い」などのマイナス発言ばかりをしていたという。
そのためか女子とは全くというほど話をしなかった。
イジメられることはあったものの、仲の良い友達を作れなかったわけではない。
クラス自体は全体的に仲が良かったため、すごく仲の良いとは言えないが、友達もできた。
ただ、健人は今のイジメられる弱い自分に満足は出来なかった。
また、とても不器用で何をするにしても他の人よりできないのが当たり前だったので、他の人とは違う下の人間なんだと思っていた。
人と関わることが好きではなかったのと、何もできないと思う自分が嫌いだった。
そんな中、美波はバスケ部でレギュラーとして活躍しており、足も速く女子の中ではカッコイイ存在になっていた。
「自分と同じ年齢でこんなに違う人もいるんだー」
そういった能力が羨ましく感じた。
期末テストがやってきた。
頭は良いかと言われたら良いはずがない。
下から数えて4、5番目って感じだ。
健人は彼女の成績を知る機会があった。
美波はというと、そこまで成績が良いわけでもなく、学年で中間くらいだ。
中2のクラスは3クラスあり、それぞれ30人くらいだったためどちらかといったらそこまで良くない部類だろう。
しかし、数ヶ月後のある模擬試験で驚くべき結果を知ることとなった。
なんとクラスで上位5位に入っていたのだ。
期末テスト以前の彼女の模擬試験の結果を運良く知ったが、中間より下で到底上位になれる人とは思えない結果だった。
あとからこの結果になった理由を耳にしたところ、塾に通っていたらしい。
そのころ健人は成績が悪いため、塾を探していた。
すると偶然見覚えのある人の名前が1位で模試結果として貼っているではないか!
つい目を細めて凝視してしまった。
「この人は塾に入ってどれくらいなんですか?」
「入って6ヵ月ですよ!」
塾の受付の方が優しく教えてくれた。
「入ったときもある程度成績が良かったんですか?」
つい聞いてしまった。
「いや、入ったときはそうでもなかったんですよ!
彼女はとてもやる気があってすごく努力しています。」
自分とは違う世界の人間だと感じたのもあったが、それ以上にすごく努力家で凄い人だなあと改めて感じることとなった。
中2の一学期が終わるにつれて、健人は美波に対する尊敬する気持ちが強くなった。
それと同時に、少しでも美波のようになりたいと思うのであった。
「健人、美波のこと好きなんじゃねぇー」
クラスの仲がより良くなったことでイジメられることは中2の一学期でほぼなくなった。
ただイジメではなく、完全なイジられキャラに変わっていった。
常にイジられていることもあり、美波を気になっている=(イコール)好きとなる。
気になっていないと言ったら嘘になるし、イジる側は雰囲気とかで健人が美波を気になっていることがわかるみたいだ。
まあ、女子と全くというほど話さない健人でも、もちろん女子には興味はある。
しかし、現時点では、美波に対して特に恋愛感情はなかった。
が、この後神様がチャンスを下さったのか、思いも寄らないことが起こることとなる。
二学期が始まった出来事だった。
パート2に続く