表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
籠ノ中ノ鳥ハ溺レル  作者: 氷崎煉歌
2/3

囀ル私ト兄~過去編

 私は、鈴宮凛音(すずみやりんね)。今年で18歳となる。

両親共に仕事で忙しく、全くといっていい程構ってはもらえなかった。

 そんな私の面倒をしてくれたのは、二歳年上の兄 皐月(さつきだった。

 皐月はとても優しく、いつも泣いてばかりいた私のことを助けてくれたり慰めてくれた。そのため、私も皐月のことを信頼していた。

 歳が経つにつれ、私は自分の中に一つの感情があることに気が付いた。そしてそれは皐月と家の中で顔を合わせると胸を締め付けてくる、茨のような感情だった。そのうち私はこれが友達が話していた恋心だということに気が付いた。

 それからというもの、妙に皐月のことを意識してしまい段々と会話もぎこちなくなっていった。


 しかしそんなことが続き、とうとう私はこのぎこちない空間が嫌になった。嫌になったというより、耐えられなくなってしまったのだ。

 そしてある日とうとう私は聞いてしまった。

「お兄ちゃん、私のこと好きー?」

 そう皐月に聞いてみた。すると皐月はにっこりと笑い、

「うん好きに決まってるじゃん。なんで?」

 と聞き返された。単純な私は皐月に面と向かって「好き」と言われ有頂天になった。しかしその夜よくよく考えてみれば、あれは妹として「好き」と言っているのであって女としては見ていないということに気が付いた。

 私は悲しくなった。その日は枕がびっしょりと濡れてしまうほど泣き、いつの間にか眠っていた。

 

 年は流れ、私は中学に上がった。しかし、皐月への気持ちは変わらずむしろ昔より締め付けが激しくなっていた。

 ところが事件は突然起きた。

 私が中学二年生になった頃から皐月は私を避けるようになった。

 理由は分からなく、話しかけても生返事が返ってくるだけだった。

私は初めて避けられた時、それは酷く泣いた。自分には覚えが無く、もしかしたら何か皐月の癪に障ることをしてしまったのではと思った途端に泣き出してしまったのだ。

それと同時に私は自覚した。

 ーーこれで私と皐月の関係は崩れてしまった、と。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ